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星命  作者: Isel


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第三十九話 蜒輔r萓ョ繧九↑

リーフェウスはラビアに呼び出され、森の奥へと足を進めていった。

「何の用だ?俺は早めに寝たいんだが…」

するとラビアは、足を止めて静かに言った。

「…君はさ、何の為に旅してるんだっけ?」

「何の為って…俺の正体を知る為だ」

「ああ、そうだね」

それだけ言うと、ラビアはまた歩き始めた。

(何が目的だ…?『ああ、そうだね』って…)

しばらく、沈黙が続いた。その沈黙を破ったのは、ラビアの方だった。

「ねぇ、もし…」

「何だ?勿体ぶらずに早く言え」

それを聞いたラビアは、足を止めて振り返る。その顔には、いつもと変わらない飄々とした笑みが浮かんでいた。

「もし僕が…『君の正体を知っている』と言ったら、信じるかい?」

リーフェウスは、自身の鼓動が急激に加速するのを自覚した。魔物に襲われて死にかけた時も、死を司る神と敵対した時も、その神を瞬殺出来る程の実力を持った存在と相対した時も、僅かにしか加速しなかったその鼓動が…だ。

「本当に……知っているのか?」

「信じるかどうかを聞いてるんだ。どっちだい?」

リーフェウスの答えは、決まっていた。

「…ああ、信じるさ。アンタが俺の正体を知っていると言うのなら、教えてくれ」

「ハハッ。いいさ…教えてやるよ。君の正体は…」


「三神柱の一体…『アダムカドモン』だ」


ラビアの口から出たその言葉は、リーフェウスの想像を遥かに超えるほど衝撃的なものだった。

「は…?ラビア……寝ぼけているのか?」

「そう見えるかい?ま、無理もないね。突然自分が神だって言われたんだ…当然か」

(俺が……神?しかも…三神柱だと?アルヴィースと同格の存在なのか?俺が…?)

思わぬところで真実に辿り着いたリーフェウス。だが、その心には正負の入り混じった雑多な感情が渦巻いていた。突然の出来事、という点を抜きにしても、リーフェウスの心には何かが小さく引っかかっていた。

「で、どうだい?自分の正体を知った感想はさ」

リーフェウスは依然として沈黙している。

「流石に脈絡無さすぎたか…」

その沈黙の最中、リーフェウスはとある異変に気がついた。その異変は…決して良いものではない。

「ちょっと待て…この前、カロスが俺の魂を見た事があったよな?」

「うん」

「なら…俺の正体も分かって当然の筈だ…魂の情報を読み取れるんだから」

「そうだね」

「魂の情報を見ても分からない俺の正体を…何故アンタが知っている?」

その問いを聞いて尚、ラビアは不敵な笑みを浮かべていた。

「酷いなぁ…僕を疑ってる訳?」

「疑うしかないだろう……魂からも読み取れない情報を知っているだなんて……」

『知っている』という言葉を発し、リーフェウスの中で1つの仮説が出来上がった。それは…リーフェウスとしては的中していてほしくない仮説だった。

「まさか…アンタは…」

「…そうさ。『皆』も気になってただろ?僕の正体は…」


「三神柱の一体『アルヴィース』さ」


リーフェウスは、ラビアの発した『皆』という単語が引っかかってはいたが、今はそれどころではない。

「アンタが…アルヴィース…?」

「驚くよね…『皆』はどう?予想通りだったりするかな?」

リーフェウスの頭は、既にパンク寸前である。だが、まだ聞かなければならない事がある。

「アンタが…アルヴィースなんだとしたら…何が狙いだ?目的は何だ?」

「僕の目的…ね」

その瞬間、リーフェウスに向かって一筋の斬撃が降ってきた。リーフェウスは運良く避けられたが、酷い動揺に襲われた。

「何をするんだ!」

「あれ…外しちゃったか。今ので仕留めるつもりだったのに」

リーフェウスは既に武器の柄を握っている。

「どこまで話したっけ…ああそうそう。僕の目的か」

そしてラビアは、笑みを浮かべたまま答える。

「僕の目的は…全ての神の抹殺。そして…この世界を滅ぼすことだ」

「全ての神の抹殺だと?そんな事が…」

「できるさ、僕ならね。突然だけど、君とも今日でお別れだ」

ラビアが手を翳した途端、リーフェウスの目の前の空間が捻れた。

「させんぞ」

その裂け目から、鎌を振り回しながらカロスが飛び出してきた。そしてラビアの背後の上空から、セツが槍を向けて落下してくる。だが、それら2つの攻撃を、ラビアは危なげなく躱しきった。

「血気盛んだね…」

「リーフェウス!大丈夫か!」

一足遅れて、裂け目から仲間達が駆けつける。

「ラビア…さん…」

ラビアの顔に浮かぶ笑顔は、一見いつも通りの笑顔だった。だが、その裏には厭悪などの悪感情が渦巻いているという事が感じ取れた。

「あーあ…ヘタ打ったなぁ…ま、いいや。全員よく聞きな」

リーフェウス達は耳を傾ける。

「僕は今すぐに計画を実行する訳じゃない。1週間やるよ…僕を止めたきゃ、1週間後に深淵まで来な」

そう言い残すと、ラビアは空間に黒い穴を作り出し、黒い霧のような淵気と共に笑い声を上げながら姿を消した。

そこに残ったのは、ただ黒く広がる夜だけだった。

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