第四話 恨みの矛先
12月暇すぎて2本以上出せそう
リーフェウス達が、ヴァルザの故郷を滅ぼした張本人であるディザイアと交戦していたところ、謎の少女2人が加勢し、ディザイアは退いた。
「助かった、ありがとう。ありがたいんだが…あんたらは?」
至極当然の疑問をリーフェウスが投げかけると、金髪の少女が答えた。
「アタシは硝光。こっちの髪赤いやつは灰蘭。」
「そうか、改めて感謝する。俺はリーフェウスで、こっちがヴァルザだ。よろしく頼む」
「そっか、よろしく」
「よろしくな」
灰蘭と呼ばれた方は口数の少ない性分なのか、会釈だけして目を逸らした。
「リーフェウス達はその2人で行動してるのか?」
「ん?そういやなんか忘れてるような…?」
その時、近くの瓦礫が音を立てて吹き飛んだ。
その中心にはラビアが立っている。
「ああそういや、戦闘中にこいつ見なかったな。どこ行ってたんだ?」
と、ヴァルザが聞く。だが…
「どこ行ってたも何もあいつの茨を避けようとして跳んだ君に撥ねられたんだよ…」
「…悪い」
「ま、もういいさ。それより見慣れない人がいるけど?」
「こいつらはだな…」
ヴァルザは今までの経緯を説明した。
「ふーん。硝光と灰蘭ね…よろしく」
「というか、何故俺達を助けたんだ?」
久しぶりに口を開いたリーフェウスが聞く。
「いや…目の前で襲われてる奴らがいたんだからそりゃあ助けるだろ?」
「当然」とも言いたげな表情で硝光は答えた。
「別に襲われた訳でもないけどね…」
「…貴方達は何の目的があってここに来たの?」
淡々とした口調で灰蘭が尋ねる。リーフェウスが旅に出た理由を説明すると、「ならアタシ達も」ということで硝光が自分達の目的を話し始めた。
「アタシ達は、こいつの…灰蘭の姉貴を探してるんだ」
「私の姉は…ある日突然私の家族を皆殺しにしてどこかへ行ってしまったの」
「君らも復讐の為か…」
「違うわ。確かに当時は若干ショックだったけど、今となってはどうでもいい。例え姉さんの行動にいくら怒りを抱いたとしても、過去は変わらないから」
「ならどうして?」
「ただ知りたいの。あの日の前日までは、特になんのトラブルとかもなかったのに、どうしてあんなことをしたのかを」
「へぇ…」
ラビアは感心した。理由ではなく、その考え方にである。だが、全員がそう思った訳ではなかった。
「お前は家族なんてどうでもいいって思ってんのか?」
そう聞いたのはヴァルザである。当然だろう。ヴァルザは捨て子だった。だからこそ、自分に愛情を注いでくれた家族というものを心の底から大切に思っていたのだ。
「やめろヴァルザ。アンタの価値観が全てじゃない」
「ごめんな、灰蘭の考え方は少し変わってるんだ。悪い奴じゃないから…」
2人から宥められ、ヴァルザは抜きかけた矛を収めた。
「…そうかよ」
納得はしていないようだった。そんなヴァルザをよそに、リーフェウスは何かを思いついたようだ。
「そうだ、なんならあんた達も俺達と来ないか?」
「いいよ」
「軽いな…もう少しよく考えたらどうなんだ」
「だって断る理由がないしな…灰蘭は?」
「硝光に任せるわ」
ということで、これまで男しかいなかった一向に、女性が2人加わった。
「そういえば、2人の異能は?」
「無いよ。アタシも灰蘭も」
「え?異能が無いのに魔力を扱えるのか?」
そう言いながらリーフェウスはラビアの方を向く。まるで説明を求めているかのように。
「面倒くさいから例え話でいい?」
「ああ」
「武器の扱いが苦手だからって戦士になれない訳じゃないでしょ?格闘の道を行けばいいんだから。そういうことだよ。ま、魔力属性の相性とかはあるけどね」
「すげえわかりやすいな…今度聞かれたらそう言おう」
ヴァルザが感心したような口ぶりで言う。
「貴方達の目的は神に会うことでしょ?だったら、カレアスに行ってみるのはどう?聖教会の本拠地だし、何かわかるかも」
唐突に灰蘭が提案した。理にかなっていたので全員がそれに賛同した。だがここで問題が…
「遠いんだよね…ここからカレアスは。大体100と何キロかくらいかな…」
「まさかまた徒歩だと言うんじゃないだろうな?」
「楽勝だろ?この程度の距離」
「「無理だわ!」」
ヴァルザの徒歩への抵抗感の無さに呆れたリーフェウスとラビアは思わず叫んだ。
「待って。何か音がする」
「何の音だよ?」
「機械が飛んでくるような音…段々近づいてる」
その言葉を皮切りに、全員が警戒を強める。
「よう!お前ら元気か!?」
飛来してきたその物体は人型だった。リーフェウス達の頭上を一周して、正面に降り立った。
「初めまして。俺はヴェンジェンスNo.5『機兵』ベルだ」
「君も本名一緒に名乗るのか…」
「今日はお前らに話が…」
と言いかけたとき、ヴァルザの大剣とリーフェウスの剣が振り下ろされた。
「うぇえっ!?」
そりゃそんな声も出るだろう。
「いきなりどうした?!」
「その組織のとある奴にいい思い出がねえんだよ」
「ヴァルザは因縁があるだけまだマシだろう。俺なんて今日初めて見た奴に腕裂かれたんだぞ」
「それ俺関係なくね!?」
「君みたいな喋り方のキャラが増えると作者が困るんだよ」
「作者ってなんだよ!」
「ディザイアと同じ組織に属した自分を恨めよ」
「お前らの恨みの矛先おかしいだろ!これじゃ話しはできそうにねえな…ここはひとまず…」
「どこへ行く?」
瞳孔の開いたリーフェウスがベルの言葉を遮って斬りかかる。
「…!?」
だが、その斬撃は激しい金属音と共に弾かれた。
「驚くことかよ?見ての通り俺は機械だぜ?それも太古の戦争で使われた兵器の試作品だ」
「試作品ってことは結局のところガラクタだろ?」
「ヴァルザって言ったか?それは違うぜ。俺が試作品になった理由は…火力調節が出来なかったからだ!」
そう言うとベルは腕に付いている砲門から砲弾を地面に撃ち、煙幕を発生させた。
「悪いがお暇させてもらう。お前らと戦う気はねえからな」
煙が晴れた頃にはもうベルの姿はなかった。
「…なんだったんだ、あいつ」
「知らねえよ」
「てか、ヴェンジェンスの奴らって全員がディザイアみたいな感じだと思ってたよ」
「敵意は感じなかったわ…」
「ならいよいよあの『ゲル』とか言うのは何しに来たんだよ」
「硝光、『ベル』よ。会った人の名前くらいは覚えて」
「今度会った時は話くらい聞いてやるか…」
一悶着ありはしたが、一行は再びカレアスへの長い道のりを歩み始めた。
キャラクタープロフィール②
名前 ラビア
所属 主人公陣営
種族 人間
好きなもの 単独行動 飛行 和食
嫌いなもの 牛乳の味がするもの 虫 暑さ
異能 不明
作者の印象
説明役として非常に便利な男。個人的にメタ系のネタが好きなのでやらせるとしたらこいつ。レインコートを普段使いしている理由は「傘を持ち歩く必要がないから」ちなみにリーフェウスと共に花粉症というクソどうでもいい設定がある。