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星命  作者: Isel


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第二十九話 黒鴉と死神

ちなみにラビアの名前の由来はフランス語で「生命」「人生」を意味する「La Vieラ・ヴィ」です。

リーフェウス達が深淵の片鱗を垣間見ている頃、

カロス、メイ、ヴァルザの3人は、黒鴉の行方を知る為にスケイドル北西部に位置する廃村へとやってきた。こう言うと距離が遠いように感じられるが、徒歩で30分程の場所である。

「…本当にこんな所にいるんでしょうか?」

「どっちみちここしか当てがねぇだろ?」

「まぁ、それもそうですけど…」

雑談を続けるメイとヴァルザとは対照的に、カロスは沈黙を貫いていた。その表情はいつもと変わらないように見えはしたが、よく見れば少しの焦りが感じ取れる。

「何かここ寒くねぇか?」

「…ああ、すまない。辺りを警戒している故、少しだが魔力を出し続けているんだ」

「冷房かよ」

「君も私のことを冷房と呼ぶのか…」

3人は廃村を歩き回っている。

「ここ…本当に酷い有様ですね」

「そういえば、メイ殿はディザイアとは面識が無かったな」

「はい。話は大体聞いてるんですが…」

「知っての通り、私は彼の上司だ。彼が過去にどんな扱いを受けていたのかもよく知っている」

「…私も、大まかな想像はつきます」

「彼の性格は、恐らく君の想像と同じだ。だが、彼も根は善人なんだ」

「へぇ?例えばどんな所がだ?」

「アステールを覚えているか?」

「はい…忘れる訳がありません」

「少し前、アステールがヴェンジェンスの定期会議にて、自身が教皇になる為の計画を話していたんだ。君達兄妹を嵌めるということもな」

「そうなんですか…」

「だが…それを聞いたディザイアは、私でさえ見たことがない程に怒りを露わにしていたんだ」

「アイツがか…」

「恐らく彼は…自身のように理不尽な扱いを受ける子供を増やしたくなかったのだろう」

「…意外と、優しい面もあるんですね」

「全く、人は見かけによらねぇな」

そんなような事を話しながらしばらく歩いていると、前方に人影を発見した。メイの記憶通りの、黒い槍と仮面をつけていて、黒く長い後ろ髪を1つに纏めている姿…黒鴉である。

「あ!あの人です!」

「…」

カロスは、真剣そうな表情で黙り込んでいた。やがて黒鴉は振り向き、警戒しているかのような声色で言った。

「…誰だ?私に何の用だ?」

黒鴉の表情は仮面のせいでよく分からなかったが、カロスを視界に入れると少し驚いたようにこう言った。

「ほう…貴様、生きていたか」

「その声と外見…やはりそうか……セツ…」

カロスが言った『セツ』という名前は、どうやら黒鴉の本名らしかった。

「カロス!コイツ知ってるのか?」

「ああ…知っているも何も、人間時代の私の同僚であり…」


「人間時代の私を殺した張本人だ」


それを聞いた2人は戸惑いを隠せなかった。

「カロスさんの人間時代って…2500年前ですよね?じゃ、じゃあセツさんって…人間じゃ…」

「私が1番戸惑っているさ…昔から人間離れした身体能力をしているとは思っていたが…今直に見て確信した。君は…」

カロスが何かを言おうとした時、セツが突然槍を構えた。

「私の質問に答えろ。無意味に生きながらえた半端者の偽善者が、私に何の用だと聞いている」

「…用があるのは私じゃない。私の後ろにいるメイ殿だ」

「あ、あの時、助けてくださって、ありがとうございます!」

それを聞いたセツは、今にも襲って来そうだったと言うのに、何故か槍を下ろした。

「フン…不要だと言った筈だが…それでも礼を言いに来るとはな」

それだけ言うと、セツはどこかへと消え去った。

「何だったんだ?アイツ…」

「ここで戦闘にならなかったのは非常に幸運だ。彼の実力は…都市伝説程度で片付けられていい物ではない」

「あの人…相当強いんですね」

「まあ、一応目的は達成したことだし、とりあえず帰ろうぜ」

その時、3人は遠方に見慣れた4人の姿を見つけた。

「なんだ…もう終わってるのか」

「来て損した…帰ろ帰ろ」

「アタシは運動できたから良しとするぜ」

「ラビアは運動不足なんだからこれくらい我慢しなさいよ」

「全員、無事だったか。調査の方は?」

「あれは…成功と言っていいのか?」

「ど…どういうことだ…?」

カロスは嫌な予感がしながらも、話を聞いた。

「なる…ほどな。まぁ、君達は深淵に詳しい訳ではないから、その対処も1つの正解だ」

「そっちは?黒鴉には会えたのか?」

今度はメイが、さっきあったことを話した。

「なるほどね…黒鴉はセツって名前で、カロスの同僚だったと」

「これからどうする?色々あったけど、とりあえず目的は全部達成しただろ?」

「いや…俺に1つやりたいことがある」

リーフェウスが何かを閃いたように言った。

「セツはカロスと同じくらい長く生きてるんだろう?ということは、アルヴィースについても何か知っているかもしれない」

「…有り得なくはない。セツの頭は良い方だからな」

「けどよ、アイツをもう一回探すのか?それ大分骨が折れるだろ」

それを聞いたカロスは、ニヤリと笑った。

「案ずるな…私に考えがある」

ラビアは、なんとなくだが良い予感はしていなかった。

キャラクタープロフィール㉔

名前 メイ

種族 人間

所属 主人公陣営

好きなもの 外出 夜空 ラビアの話

嫌いなもの 特になし

異能 なし

作者コメント

マダンテを覚えた僧侶。瞬間火力だけで見たらラビアと並ぶレベルだが、こいつのは1回限定である。逆にそれほどの火力をメラみてぇな感覚で出すラビアがやばい。最近ハマっていることはラビアの(嘘)話を聞くことだが、メイ本人は全く嘘だと思っておらず、ラビアに「信頼と盲信は違うんだよ」と諭されるが、それもただの説法だと思っている。多分死ぬまでラビアの話を信じている。

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― 新着の感想 ―
物語の構成やキャラクターの関係性は非常に魅力的で、特にカロスとセツの因縁が物語の軸として強く働いています。一方で、情報量の整理や、キャラクターの動機の描写をもう少し丁寧にすることで、より引き込まれるス…
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