第三話 邂逅
この話からキャラクターのプロフィールを後書きの欄に書こうと思います。需要があるのかは知りません。
「…で、どうすんのさ」
灼熱の太陽が照らす中、ラビアがため息混ざりにそう言った。彼等はヴァルザの故郷であるボルカニアの火山地帯に馬車で向かおうと決めた矢先、目的地を伝え間違えて砂漠のど真ん中に来てしまったのだ。
「誰だよ運転手に行き先伝えた奴は…」
「アンタだよ」
「君だよ」
ほぼ同時に2人が指摘すると、ラビアが続けた。
「なんで地元の位置を間違えられるんだい?」
「地理は苦手でよ…」
高い気温のせいもあり、3人の口数はいつもより少なくなっていた。数分ほど歩いた時、不意にラビアが口を開いた。
「あぁもう無理だ!こんな気温の中歩いていられるか!2人とも、悪いけど僕は先に行くよ。砂漠の端で落ち合おう!」
そう言うとラビアは宙に浮かび、ものすごい速度で青空を翔けていった。
「速え…」
「有無すら言わせなかったな…」
「俺たちはゆっくり歩いてこうぜ?」
「ああ、賛成だ」
そうしてリーフェウスとヴァルザは雑談をしながら砂漠を歩いた。
「そういえば、ヴァルザの異能ってなんなんだ?」
「ああ見せてなかったな。よく見てろよ…」
ヴァルザは、鮮やかな紫色をした大剣を取り出すと、近くにいたサソリ型の魔物に突き刺した。そしてそのサソリに向かって手をかざすと、暗い紫色の球体を手に浮かばせた。
「これが俺の異能だ。分かったか?」
「分かるか」
「殺した相手の魂をストックして、それを使って色々できるんだよ。傷を治したり、身体を強化したりな」
「なるほど。便利だな」
「そうでもねえよ。ストックが尽きたら何もできねえからな。だから普段から虫とかを殺したりしてストックを貯めてる」
「大変だな…」
そんなことを話しているうちに、2人は異変に気がついた。
「…なんか音がしないか?」
「聞こえるな。まるで虫の大群みてえな…こっちに向かってきてるような…」
「あんたさっきサソリ殺してたよな」
「それがどうかしたか?」
「実はあのサソリって死んだ時に仲間を引き寄せる匂いみたいなのを出すらしい。食糧の少ない砂漠で生き残るために自分の死体を仲間に食わせるそうだ」
「なんでもっと早く言わなかった!?」
「言おうとしたらもう殺してた。それより見てみろ、ざっと数十匹はいるぞ」
「余裕こいてる場合かよ!さっさと武器出せ!」
「戦うつもりか?頑張れよ。俺は逃げる」
「はあ!?どういうつもりだ!?」
「あの数相手に2人は厳しいだろう。俺の異能なら最大時速200キロは出るから逃げきれると思う。じゃあな、死ぬなよ」
「おい俺も連れてけ…」
「バカ服を掴むな…」
だが既に走りだそうとしていたリーフェウスは急には止まれない。結局リーフェウスは、ヴァルザという荷物を引っ提げて砂漠を駆け抜けることとなった。
一方その頃…
「日陰がある分砂漠よりマシだね…」
ラビアは砂漠を抜け、岩陰で涼んでいた。まあ「比較的涼しい」だけであるということは言うまでもないが。と、その時
「ああああああああああああ!!」
ものすごい叫び声が聞こえてきた。それもさっきラビアが来た道からである。大体誰の叫び声なのかは想像がつくが、顔を上げて見てみると、ラビアの目の前を人型の物体が高速で通り抜けていった。
「はぁ…?」
訝しげな表情をしてその物体の着弾点を見に行くと、十数分前に別れた旅仲間がいた。
「…何してんの?君達…」
「話せば長くなるな」
そしてリーフェウスとヴァルザは何があったのかを話し、その話を聞き終えたラビアの反応はというと
「…ハッ」
これだけであった。
それから更に半日ほどして、一行はようやくヴァルザの故郷に辿り着いた。
「酷い有様だ…」
さほど大きな集落ではなかったが、そこで何があったのかは想像に難くないような光景が、そこには広がっていた。この前のヴァルザの発言からも考えられるように、ここを襲った者たちは恐らくこの集落を拠点にしていたのだろう。家などはほとんど破壊されており、ところどころに焚き火の跡がある。
「おかしいな…あの時の襲撃は複数人だったと思うんだが…誰もいねえみたいだ」
「はぁ…無駄足ってこと?」
「調べれば何かあるかもしれないだろ」
そんなことを話していたその時、
「ここに何の用だぁ?」
いかにも悪人といった感じの声が聞こえた。声のする方を見ると、ボサボサの黒髪と鋭い目つき、そして、鋼鉄の茨が巻き付いた大剣を持っていることが特徴的な青年がいた。
「その武器…間違いねぇ。あいつが俺の故郷を滅ぼした奴だ!」
「何だと?あれが?」
「あれ呼ばわりとは失礼だな。俺は…ヴェンジェンスNo.4、『復讐鬼』ディザイアだ!」
「そんな組織聞いたことねえぞ…!」
「俺もだ…」
「コードネームあるのに本名名乗るんだ…」
「「そこじゃねぇ(ない)!」」
「聞いたことねぇか?俺の組織の名前は。だったら教えてやるよ。死者の魂が集う場所『奈落』、そしてそこを治めてる死の神『タナトス』。その死の神直属の10人の精鋭部隊…それがヴェンジェンスだ!」
「奈落だと…?じゃあてめえ『魔族』なのか!」
「なぁラビア、魔族ってなんだ?」
「奈落にいる奴らの総称さ。すっごい寿命長いの」
「半分正解だなぁ。俺は元人間だぜぇ…」
知らない言葉が沢山出て来た為にリーフェウスの頭はパンク寸前である。
「まぁ少し喋り過ぎちまったかもな……これから死ぬ奴らには不要な情報だからなぁ!」
そう叫ぶとディザイアの足元から、幾つもの鋼鉄の茨が伸びてきた。そしてそれはリーフェウス達に襲いかかる。
「痛っ…!」
ヴァルザとラビアは反射的に避けられたが、頭がパンク寸前になっていたリーフェウスは避けられずに腕に裂傷のようなものができた。それも中々エグめの。
「うわ痛そう…」
若干引いているラビア達をよそに、ディザイアは攻撃を続ける。そしてディザイアは、負傷者であるリーフェウスを優先して狙っていた。
「ちょっ」
「待っ」
「おいっ」
「何故俺だけ狙うんだ!」
「ガキみてえなこと言ってんじゃねぇよ!戦場でそんな言い分が通じるとでも思ってんのか!?」
ディザイアは更に、リーフェウス付近の壁から棘を生やした。
「チッ…」
「もう下がってろ。あいつは俺が…」
そう言いかけた時
「あ…!?」
足に違和感を覚えたヴァルザが自分の右足を見てみると、ディザイアの茨が突き刺さっていた。
「終わりだな。名も知らねぇガキども。死ね。」
…だが、その瞬間
「あ?」
雷を纏った槍がディザイアの目の前に飛んできた。
「誰だ…?」
その疑問について考える間もなく、今度は双剣を構えた赤髪の少女が斬り込んでいった。
「チッ加勢か…これ以上人数が増えるのは流石に厳しいから撤退させてもらうぜ」
ディザイアは後にこう続けた
「誇ると良いぜ。俺と戦って五体満足で帰れた奴は居ねえからな」
そう言い残すと、ディザイアはどこかへと消えた。
「あぁ死ぬかと思った。ヴァルザ、無事か?」
「お前の傷の方が深いだろ…そういや、あの加勢は誰なんだ?正直助かったから礼が言いたいんだが…」
「アタシ達に言いたいことでもあるのか?」
その声に驚いたリーフェウスとヴァルザが振り向くと、そこには先程見た赤髪の少女と、槍を持った金髪の少女がいた。
キャラクタープロフィール①
名前 リーフェウス
種族 人間
所属 主人公陣営
好きなもの 金 小説 魚介類
嫌いなもの 花粉
異能 能力の複製
作者からの印象
主人公なのにキャラが定まらない上に能力がまんま某ゲームの主人公なので正直あんまり好きじゃない。ただ、1番最初に考えたキャラクター故に愛着はある。ヴァルザとの口調での差別化が難しい。基本的には感情入れてない方がリーフェウスです。