第二十四話 新たな地へ
キャラクタープロフィールがネタ切れなのと、今話から新章開幕ということで、2週目に入ります。好きなものとかが少し変わってると思いますが、旅の中で変化したんだと思ってください。
「…ってことがあったんだ」
「じゃあ、しっかりアレは渡せたんだな?よかったぜ」
リーフェウスは、旅仲間達に深淵の事を始めとした先日の出来事を話していた。
「それにしても、淵族…得体の知れない相手だから関わりたくないわね」
「全くだな」
「それより、そろそろ新しい場所に行かないかい?急ぐ必要なんてないけど、同じところにずっといるんじゃ、目的には近づけないよ?」
「それもそうだな。ラビアの言った通り、俺の用事は急ぎじゃない。誰か、行ってみたい場所がある者は?」
「と言っても…俺達が行ってない国なんて、そうそうねぇだろ?この世界は国の数自体少ないしな」
「あ、だったらアタシに考えがあるんだ」
硝光が元気よく手を挙げた。
「アタシと灰蘭の地元、スケイドルに行かないか?」
「スケイドル…確か、旧世界の文化が強く残っている場所だったか?」
「うん。『日本』って国の文化だね。最も分かりやすい例としては、スケイドル人の名前は『漢字』っていう日本の文字で構成されてるんだ」
「ここから、そう遠くありませんよね?」
「なら、早速向かうとしましょう。久しぶりの帰省だわ」
こうして一行は、2人の仲間の地元であるスケイドルを目指して歩き始めた。
「そういえば、この前の戦いでも結局ラビアは刀を抜かなかったな」
道中、リーフェウスがふと呟いた。
「確かに。初めて会った時から持ってるけど、それ大事な物だったりすんのか?」
「アタシも気になるぜ」
「私も…『やばくなったら使う』みたいなことを言ってましたが、脇腹を貫かれた程度じゃ使わないってかなり特別な刀だったりするんですか?」
仲間が口々に疑問を呈する。そんな中、ラビアの答えは…
「いいさ。教えてあげよう。まず僕が刀を持っている理由、それは…」
全員が自然と言葉を止める。
「かっこいいからだよ」
その瞬間、リーフェウスの拳がラビアの顔面に飛んでいった。
「え?何で今僕殴られたの?」
「いや、すまない。なんか…反射的に」
「僕反射で人殴るような奴の側で戦ってたの!?」
「でも…正直私も『そんな理由?』って思いました」
「ちゃんと他にも色々あるよ。刀を使わない理由は、『戦闘が早く終わり過ぎちゃう』からだよ」
その言葉に、全員が目を丸くする。
「…私もいつか、そんな悩みを持てるようになりたいわね」
「持たなくていいだろ…てか持てないだろ」
「ま、使おうが使わなかろうが、どいつもこいつも雑魚ばっか。もっと歯応えのある相手と戦いたいもんだね」
(初対面の時もそうだったが…やっぱりこいつは色々と得体の知れない奴だ)
一行がそんなような雑談を繰り広げながら歩いていると、段々と気温が下がってきた。
「なんか、急に寒くなりましたね」
「スケイドルって寒いんだよな…風邪引かないようにしろよ」
「流石、薄着で外を走り回って何度も風邪を引いた人は、言うことが違うわね」
リーフェウス達は灰蘭が言ったその内容を、何故か容易に想像できた。
「そ、そんなことより、着いたぞ!」
そこには、今まで訪れた場所とは違う、和風な風景が広がっていた。
「趣のある場所だね。来たばかりだけど、既にちょっと気に入ってるよ」
地元を褒められて得意気な硝光が、普段よりも数段元気に言う。
「泊まる場所の当てはあるんだ!着いてこい!」
硝光に着いていくと、他と変わらない普通の一軒家が建っていた。
「じいちゃん!帰ったぞ!」
硝光が家に向かって叫ぶと、物腰柔らかそうな老人が出てきた。
「おお硝光か、久しぶりじゃのう」
「ただいま、おじいちゃん」
「おかえり、灰蘭。後ろの方々は?」
「私の旅仲間よ」
「そうかそうか。灰蘭からの手紙で、既に皆の事は知っておる。スケイドルにようこそ」
「紹介するぜ。この人は『平安』じいちゃんだ!行く場所のなかったアタシ達を拾って育ててくれたんだぞ!」
「よろしく頼む」
「よろしく」
「良い人なんだな、よろしく頼むぜ」
「よろしくお願いします」
皆、口々に挨拶を交わす。
「そんでじいちゃん、アタシ達はこれからしばらくスケイドルにいるんだけど…」
「言いたいことは分かっておる。この家に泊まっていくといい」
「じいちゃんありがとう!」
「ありがとう、おじいちゃん」
こうして、リーフェウス達は久しぶりに屋根の下で眠ることができるのであった。
「ああ、旅仲間の方々、それと硝光、灰蘭、『北西』の廃村には近づくでないぞ?」
「分かってるって、じいちゃん」
「北西の廃村に何かあるのか?」
リーフェウスが首を傾げて聞いた。
「ワシもまだ生まれてないほど昔の話じゃ…その村では、天災を鎮める為と称して生贄を捧げる文化があったらしいんじゃが…」
「ほうほう」
全員が、興味深そうにその話を聞いていた。
「ある時の生贄が、怒り狂って村民全員を大虐殺したそうなんじゃ…鉄の棘などを操る力を持っていたことから『鉄鬼』と呼ばれ、恐れられていたそうだ。それから、あの村には鉄鬼の祟りがあるという噂が流れておる…」
『鉄の棘』という言葉を聞いて、一行は小さい声で話し始めた。
「それ…ディザイアのことじゃないか?」
「あいつスケイドル出身だったのか?じゃああの名前は偽名ってことかよ」
「アイツにも…色々あったんだな」
「ええ…でも、その悲劇が後世に語り継がれているだけ、救いがあるかもしれないわね…」
全員が、初めて会った時のディザイアの顔を思い浮かべた。酷く淀んだ目と、その目の奥に燃え上がる峻烈な憎悪。彼と面識のないメイも含めた全員は、ディザイアの心身の安寧を密かに祈っていた。
こうしてリーフェウス達は新たな地に降り立ち、一時の休息に浸っていた。だが、旅に問題は付きものである。スケイドルにもまた、その影が見えかけていた。
キャラクタープロフィール19(なぜか◯がなかった)
名前 リーフェウス
種族 人間
所属 主人公陣営
好きなもの 魚介類 本 金
嫌いなもの 花粉
異能 能力の創造
作者コメント
物理メインの汎用アタッカー。戦闘であまり魔力を使わない理由は、経歴の関係上魔力を使って戦う習慣が無いから。なんとなくこいつの能力で出てくる文字は「漢字一文字」みたいな認識が浸透しているかもしれないが、そんなことはない。最近ハマっていることは釣り。よく硝光と釣果で勝負をしているが、「負けたことはない」と誇っている。単に硝光の性格が釣りに向いてないだけということを、彼はまだ知らない。




