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CODE:AW EPISODE Ⅰ 赤き指輪と夢見の魔女  作者: 黒咲鮎花 - AYUKA KUROSAKI -
第一章 配属と再会

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プロローグ

※2025/09/15 作品全体の再校正及び加筆を行いました。


明けましておめでとう御座います。

2024年となりましたが、元旦から災害や事故が発生し、日本の国内事情もそうですが、世界情勢もますます雲行きが怪しくなってきております。


このお話、CODE:AWは、2026年の東京を舞台にしたお話です。米国で新たなに立ち上げられたとある捜査機関UCIA、その日本支部の人間達が常識では解決の糸口すら見つからない事件に向き合いながら、徐々に世界を覆い始めている深淵へと対峙していきます。


今回の『赤き指輪と夢見の魔女』はその第一巻となる作品です。


今から3年後の近未来を舞台に、人間の脆さや愚かさ、混迷を極める世界で問われる人の在り方を、作品の中で描いていきたいと思っております。


ゴシックミリタリーアクション長編小説

CODE:AW EPISODE 1 赤き指輪と夢見の魔女 をお楽しみください。

 テクノロジーが更なる発展を遂げ、AIが日々進化する現代。

 どんなに物質的な豊かさを得ようとも人間の心は進化すること無く、同じ過ちを繰り返し続けている。


 聖アルサード教会の聖典である創世の書。

 その冒頭にはこう書かれている。


 我々は変化しなければならない。

 許さなければならない。

 救わなければならない。


 光の女神(アルサード)の祝福あれ。全ての命に輝きあれ――と。



 

 プロローグ


 私は走っていた…… この誰もいない異様な街の中を……。


 目の前に広がる異様な空間…… 赤黒い空は夕暮れなのか、異世界なのか判断できず、本来なら騒がしいはずの都市の騒音も、季節特有の蝉の声も聞こえてこない。

 普段ならたくさんの人が歩いているはずの道。車すら一台も走っておらず、大都会のど真ん中にいるにも関わらず、生命を感じることができない……。


 まだ日は暮れていない筈なのに、急激に気温が下がったような異様な感覚。寒さによる震えなのか、恐怖による震えなのか、背筋が凍るように寒い……。


(何が、何が起きたの……)


 もうどれくらい走り続けているのか分からない。


 エレベーターを降りて、フロントから外に出た…… 今思えばそこから既におかしかったような気がする。視界に広がっていたのは、見たようで見たことのない景色だった。突然異世界に迷い込んでしまったかのような恐怖。吸い込む息が重く、苦しい。


 形容しがたい不気味な赤黒い空に、心がジワジワと侵食されるような一切の静寂。たくさんのビルはまるで蛻の殻のように、大都市の墓標のように並んでいるだけ……。


 そして、()()()()()()()()()()()()()が、私を追ってきている……。


 振り返ることはしなかった。振り返った瞬間に恐怖で体が動かなくなる。『振り返るな』と本能が告げている。


 全身が汗だくになり、呼吸が苦しい。足も限界に痛くなっている。汗で下着やキャミソールが肌に張り付き、不快感が激しい。もう何処を走っているのか見当もつかない。


 永遠と続くような見慣れない景色。いつもの道のようで、明らかに違う景色……

 

 やがて走ることが出来なくなり細い脇道に入ると、入り組んだ脇道の先にあった大きなビルの外階段を登り始める。

 

(苦しい…… もうダメ……)


 足を引きずるように、階段を登っていく……。


 必死の思いで階段を上りきり、やがて屋上に辿り着いた。息が苦しく、その場に崩れるように座り込んでしまう。コンクリートの地面が何ともいえぬ温かさで気持ち悪い……。


(!?)


 ふと俯いた顔を上げたその時だった。

 私は空中に浮かぶソレを見て、恐怖で体が動かなくなる……。


 赤黒い空。いつの間にかに出ていた大きな月……。

 不気味にこちらを見下ろすソレは、神々しくも禍々しい絶対的なオーラを放っていた……。


「――ゴキゲンヨウ」


  空中に優雅に浮かぶソレが発したと思われる言葉が、直接脳裏に響いてくる…… その低く冷たい声が心臓を鷲掴みするような恐怖に、声すらまともに発することが出来ない……。

 

「――お前はその指輪を使い、他人の恋人を奪い、他者を傷つけ、幾多の人間を危険に晒した」 


 凄まじい恐怖で身震いが止まらなくなる……。


 右手の中指に嵌められた赤黒い指輪が、まるで生きているかのように輝き鼓動し始める。まるで心臓とリンクするように、その鼓動が徐々に速くなっていく。


「許して…… ユメミ…… サマ…… わたし…… わた…… しは……」


 必死の思いで振り絞った声。次の瞬間、空中に浮かぶソレが一瞬まばゆく光ったかのように思えると、その手には大きな銀色の大鎌が握られていた。


「――払え。その願いの代償を」

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