表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ききゆび

作者: 小波

彼女の左手は私の右手と同じ役割をしている。

同じ動きをする。わたしが左手を使いこなそうとすると全く違う世界に行ける。新しい感触だ。靴下の足と裸足の足くらい違う。シャツは着れたけどパンツをまだ履いていない時の違和感くらい違う。


 あなたの耳、あなたの足、あなたの左手、わたしの右手。


 左手を空間に伸ばしぎゅっと掴む。聞き手じゃない方が逞しい快感がある。右手はぼんやりしてる。

使われていない体の部位を使う新鮮さに例えばSEXがある。例えば出産がある。自分の体なのに普段全く触らない場所がある。あるのにない、だ。眠っている感覚を起こすのは左利きに挑戦する事だ。

右手に感覚を返してやる。すると、スムーズだ。そうそう、これ。といった感じだ。そして楽だった。

楽なのに好きになれない。新鮮で逞しい左手が良い。


私の右手も左手も本来どちらも私に求められている。

右手を使いたがるのは時間の短縮のためだと思う。そこまで忙しいのかと言われたらいつもいつもではない。なのに忘れて忙しいふりをして左手をいないものとしている。


本当は全部使いたい。小説書きも使われていない感覚が目を覚ます行動だ。


私はいつもスマホでパズルゲームをする。しながらお話が浮かぶ。浮かんだら小説家に戻り書き、止まったらまたゲームしている。


あなたの日常が全て左手で行われているなんて‥。

私の右手は嫉妬で震えそうだ。どこか落ち着かない左手で我が子の新しい現実へ手を伸ばす。


取り残された感覚を開けようとする時明日とか次とか今が、それで完成してるよう。未完の完結。何もかも新しく、それだけで十分だと言う気がする。

読んでもらえて嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ