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閑話 (フェルナンドSide)



ランチェスター侯爵家の次男である私は、帝国の第三皇子クリストファー殿下の側近として仕え、護衛も任されている。



ランチェスター侯爵家の跡継ぎとなるのは、3歳違いの兄アンドリュー。

一見物静かで穏やかな人柄に見えるが…貴族特有の腹黒さを持つ、冷静沈着で優れた男。


妻のカイラとも仲良く過ごし、一男一女にも恵まれ幸せそうだ。



このしっかりした我が兄の存在はとても大きい。

お陰で、次男の私は自由に過ごさせて貰っている。




───────




15年前…当時10歳の私は…剣術と魔術を学んでいた。


魔術指導を担当してくれていたのが、大魔術師のグランド様だった。



まだ幼く、他人のオーラが視えることに苦しんでいた時…精神的な支えとなって、私を救い導いてくれた恩師でもある。


自分や他人の感情に左右されず、緻密に計算された魔術を操るにはどうすればよいのか…精神面を鍛えられ、厳しい指導を受けた。





そのグランド様が、ある日突然…我が邸を訪ねて来られた。


グランド様は御年60歳、大魔術師という称号を次世代の者へ譲ることに決めたらしい。


『もう隠居するのだ…皇帝陛下へは許しとご挨拶を済ませてきた』と、昔と変わらない優しい顔で笑っていた。



「ご立派になられましたな。私はこの通り…すっかり歳をとりました。しかし、こんな年寄りでも、楽しみにしていたことがあったのですがのぅ…」



グランド様は、数年前に世話をした少女のその後をとても気にされていた。



「アンデヴァイセン伯爵家で虐げられているのなら…あの子を…イルシスを救い出してはくださらんか?」



グランド様から詳しく話を聞いて、少女が気の毒だと思った私は…恩師に『救い出す』と約束をした。




─────────




アンデヴァイセン伯爵家は、第一皇子のエリック殿下より、第二皇子のユーリス殿下を次期皇帝に…と企てる派閥の代表格。


私の仕えるクリストファー殿下は、実兄の第一皇子を支持されていて…将来的には臣籍降下を願っておられる。



─伯爵家を探ってみるのは悪くない─




─────────




ここ数日、侵入した伯爵家でイルシス嬢を探すが…全く見つからない。


伯爵家自体に怪しい動きなどはなかったが、とにかく陰鬱で淀んだ空気の邸だった。



“黒髪で金と赤のオッドアイの17歳の少女”



目薬を使っていれば瞳は黒のはず…にしても見付からない。


イルシス嬢に会ったことがない私は、マナや魔力を頼りに探し出すこともできなかった。

屋根裏部屋や地下室などにもいないが…どうなっている?



生きているのだろうか?







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