1/2
はじめ
私、望月あかりはこの春、高校生になります──
春休みは、ほとんど1人暮らしの引っ越し準備で終わってしまいましたが、一つだけいいことがありました。
なんと、引越し先のマンションは、隣が狼くんだったんです。
狼くん、狼 嶺くん。幼稚園でいつも一緒に遊んでいた。いじめられがちだった私を、いつも守ってくれた優しい男の子。
卒園と同時に、ちょっと離れたところへ引っ越してしまい、それっきりだった。
狼くんとの思い出は細々としたものばかりだから、狼くんは私のことなんか、すっかり忘れているかもしれない。
そう思っていたが──