チャプター11.秒速5センチメートル(54:46~)(1)
シーン3-5:十三年後の思い出の交差(54:46~)
(54:46~)
このコンビニはモデルが実在したらしい。詳しい場所について筆者は知らないが、検索すればすぐに探し出した方の情報が出たはずである。新宿付近であろう。
(54:49~)
ここですでに「One more time, One more chance」(1997)が流れ始めている。原曲は作中のこの時点あるいは作品劇場公開時点で、少なくとも新しい流行歌ではなかった。採用された経緯について述べられている資料があったはずである。
なお、このあたりは前後のつながりが不明確だが、52:21以降の場面から続いているように思われる。だとすれば、二〇〇八年二月ということになる。
(55:10~)
明里が立っているのは小山駅のホームである。すぐ後には、別のアングルから小山駅が写る。そして、貴樹が第一話で辿った道と、全くではないが同じものを通って東京へと向かうことになる。
また、岩舟からまっすぐ東京に向かっていたとすれば、51:11の岩舟駅のシーンと同じく、十二月の終わり、つまり49:49以降の貴樹のシーンと同時期だと思われる。従って、直前の貴樹の描写とは時系列が一致しているわけではないようだ。しかしそうなると、二人が同じ夢を見ていたのは別の日だったということになる。
この点については、このシーンが51:11と同日ではなかった(例えば結婚式の後に岩舟の実家に一度帰っており、東京に戻る日だった、等)と考えれば済む話ではある。一方で、貴樹にとっては水野に別れを告げられた日、明里は(以降は完全な推測なのだが)いよいよ結婚後の新生活へと向かう日、というような、それぞれの人生の転換点に、最後に会ったときの夢を見たのであると解釈すれば、そもそも夢を見た日が一致していなかったとしても大した問題はなさそうだし、むしろ本作の雰囲気には合っている気もする。
また、そもそもこの場面のモノローグが、映像で描写されている日に語られたものではなかった、と考えることもできる。
(55:30~)
貴樹が第二話で打ち上げを目撃した人工衛星ELISHについての記事。他のヴァージョンでは見られないので、読み取れる内容をここに書き写しておく。
(※以下、[]内は筆者の注記)
「国際深宇宙探査衛星エリシュ ついに太陽系外へ
long journey of ELISH from 1999 to 2008
図は海王星の観測をするエリシュの想像図。エリシュは今後太陽系内の探査を続けながら太陽系の外部を目指す。
JAXA(宇宙開発事業団[NASDAのこと]及び宇宙科学技研[この二つに加えて航空宇宙技術研究所が統合されてJAXAが発足した])が1999年に打ち上げた日本初の深宇宙探査機「エリシュ」は、搭載した観測機器により海王星大気の詳細データの取得に成功した。
取得されたデータは1989年にボイジャー2号が観測したデータと合わせ、大気成分のうち未解明であった物質の特定がなされるものと期待されている。
探査機を運用するJAXAフロンティアプロジェクト主任高山信二教授[おそらく架空の人物]は『我々はまだ知らないことも多いが、こうして地道な一歩を進めて行くしかない。今回の観測データは今後詳しい分析を進めることで新しい発見をお伝えできることになるかと思う。』と発言。
今後アメリカとの共同研究チームにて解析が進められて行くこととなるが、今回詳細なデータが得られたことで、海王星大気に含まれると考えられている未知の物質の解明につながるものと期待がもたれている。
[下に、サインか何かが見える]」
この人工衛星ELISHは貴樹と重ねられているようだ。少なくとも、作中で貴樹が深く感情移入しているということは確かだろう。それが太陽系という領域を超えて外宇宙へと向かうという作中の事実には明らかに象徴的な意味があろう。これまで身を置いていた社会から一人で踏み出していくという貴樹の状態と対応する、というのは筆者の解釈(の一つ)であるが、様々に考えられるだろう。




