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九 山男 4/8

 菊池弥之助という老人は若い時は駄賃(駄賃馬稼だちんうまかせぎはいわゆる馬子で、馬による運送業です)を稼業にしていました。

 彼は笛の名手で、一晩中馬を走らせるときなどはよく笛を吹きながらしていました。


 ある薄月夜うすづきよ(月が薄雲に隠れて照らす夜)に多くの仲間と共に海を目指して境木峠を越えたときの話。

 彼な手慰みに笛を吹きながら大谷地おおやち(地図にはありませんでした。日本中にある地名のようです)という所の上を過ぎました。

 大谷地はその名の通り深い谷でで、繁る白樺の林の根本には葦などが生える湿った沢です。

 この時谷の底から


「面白いぞー」

 と読んで来るモノがありました。

 一同はことごとく真っ青になり、走り逃げたといいます。



『ヤチ』はアイヌ語で『湿地』(正確には湿った泥)の事です。『ヤツ』『ヤト』『ヤ』とも言います

山男シリーズはしばらくお休みです

なんだか正体がだんだん分かってくるのが良いですね

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