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三九及び四〇 狼《おいぬ》 4/7及び5/7
佐々木さんが幼い頃に、祖父と二人で山から帰ったときに、村に近い谷側の岸の上に、大きな鹿が倒れているのを見ました。
横腹は食い破られ、殺されて間もないようすで、そこからはまだ湯気が立っていました。
祖父は
「これは狼の食ったものだ。この皮はほしいけれども狼は必ずどこかに隠れているに違いないので、取ることはできない」
と言ったそうです。
草の長さが3寸(約10センチメートル、親指の横幅3つ分。短いです)あれば狼は身を隠すと言われます。
草木の色が変わりゆくにつれて、狼の毛の色も季節ごとに変わっていくものです。
遠野物語は一一九話まであるので、これで1/3が終了しました。今後ともお付き合い願います




