0日魔女は天国に
連投します(^O^)/
目が覚める。
そこはお城のように天井が高く、室内も広い。窓もたくさんあって、いままで浴びたことのないぐらい日光が差し込む。日差しが強いところは、真っ白で精密な刺繍がされた布が守ってくれる。
私は部屋の真ん中に置かれた、雲のようにフカフカなベットに寝ていた。味わったことのない、感覚に少し浮足立つ。なぜなら微睡の世界とは正反対の、豪華で真っ白な世界だからだ。
天井には見たことのないランプがたくさんついていた。この白い世界には必要ではないようで、明かりは灯されていない。ベットサイドには、ちょっとした箱がありその上には花が置いてある。
(見たことのない色と見たことのない形。誰のための花なのだろうか。食べられるものだろうか、食べれられるのなら隠して後から食べるように取っておきたい。花を挿していた、器の水も非常用に取っておかなければ。いや、いっそのこと今、飲んでしまおう。ちょうど喉が渇いていた。なんて天国とは、素晴らしい世界なのだ。この時を待っていた…。ああ、まずは水を…)
ゴクリ…とのどが鳴る。
ためらったのは一瞬だった。片手で花をつかみ、もう片方で器を口に運ぶ。
「…なんだこれは。すごい…水一つなのに、こんなに甘くて心が…満たされる…」
1口のつもりだった。気が付いたら、一気に飲み干していた。勢いあまって口から零れ落ちる。それもぬぐっては、口に運ぶ。水なのだから無駄なのはわかっているが、しないわけにはいかない。もったいない。
「もしかして花も…」
花を食べたことはなかった。でも私の直観が「たべろ」を言っている。
(1本だけ、いや、花びら1枚。それだけ食べてあとは隠しておかなければ)
「…!」
(これも、おいしい…。だめだ、これはいま食べないと…」
天国は、水だけないく花も美味しいらしい。温かい気持ちになり、涙が出そうになる。もちろん流れはしないのだが。
また、1本。1本、1本と身体に吸収させていく。止まらなかった。異常な行動だとはわかっているけどこれはどうしても抗うことができないことだった。
一番遠くの窓は少し開いていた。風がそよそよと部屋に流れてくる。
(なんて…天国とは素敵なところなのだろう…。家出して本当に良かった…)
「き、きゃぁあああああああああああああああああああ」
そう思いふけっているのと同時に、食器が落ちるような甲高い音と聞いたことのない悲鳴が上がった。
ここは本当に天国なのか…。
次回:やっと、登場人物が増えます。(´;ω;`)