0日魔女の回顧
超絶ご無沙汰してます(´;ω;`)
(チリンっ…)
軟禁されていたときも、橋の下へ逃げたときも、石の牢獄にいたときも、眠りにつくといつも同じ感覚があった。意識はないはずなのに、〈意識がある〉そんな感覚。目覚めるとそれは、夢だったという解釈になるのだが、夢というには具体性もなく変化もない。
そこはただただ、色はなく暗闇の中を彷徨ってしまっているかのような微睡の世界だった。時々血のような鮮血色が登場することもあったが、対外寝る前に身体を痛めつけられたときに現れた。
今日もその〈微睡の世界〉に私は居た。
いつもと変わらぬ色のない空間に、座り、いつか終わる(目覚める)だろう時を待つ。
正確にいえば、おそらく私は死んだので目覚めることはないのだが。
(チリン…チリンっ…)
長い時間をこの世界で過ごしている自覚はある。ここに座り続けても、景色が変わるわけでも現状に変化があるわけでもないらしい。
どういう終わり方だろうと、天国へは自動的に行けるものだと思っていた。小さな精霊や、景色のいい川、小さな箱舟に乗って連れていってくれるのだろうと。はっきり覚えていないが、幼少期のいつの日か読んだ本にはそう書いてあった。すでに軟禁は始まっていたため、すさんだ心には心強い〈いつか報われる〉と子供ながらに生きる糧にしていたこともある。
その本でささやかな〈天国への希望〉を心に日々を過ごしていたが、毎日の極限状況が私を粉々にしていった。死ぬのは〈希望〉。でも、他人には左右されず自分で終わりにしたい。矛盾しているが、死にたいからこその行動力が私にはあったらしい。
(チリリンっ…)
それが、先日の家出だった。
それが、私の魔女の始まりにもなった。
どうでもいいが、早く私は天国に行きたい。この人生の終わり方に文句はない。
何がいけなかったのか。なんで私はまだこの〈微睡の世界〉にいるのだろう。
もしやこれが天国なのだろうか…。
(っ…)
どれくらい逡巡していただろう。
(リリン…チリン…っ…)
思考するのも疲れたとき、ふと鐘の音が耳に入ってきた。
「…この音。さっきから…?」
(チリン…チリンチリン…)
(とうとう…お迎えが来たのかもしれない…!なんですぐに気が付かなかったんだ、私は)
私はその場から、勢いよく立ち上がった。どちらが天で地なのかもわからないこの世界に、初めての異物感。何かと何かが当たっているような、音が高めの鐘。間違いない、やっと天国へ行けるんだ。
道もなければ空もないこの空間で、音だけをたどっていく。
この世界で歩いたことはこれまでの一度もなく、ただ目が覚めるのを待っている毎日だった。
時折、方向を見誤ると音が遠くなる。方向があっていると音が近く聞こえる。そんなことの繰り返し。
(チリリリリン…チリリリリン…チリリリリン…チリリリリン…)
(ここだ、ここが…)
そこはなんの変哲もない黒い空間。でも根拠のない確信があった。私は誰に指示されるわけでもなく、手を伸ばし、〈その場所〉に触れていた。
(これで天国にいける…。ありがとう。さようなら。)
すると、またあの石の牢獄での最後のような、浮遊感を感じた。
お読みくださりありがとうございます。
お待ちいただてた方は少ないかと思いますが、、、
またひっそり頑張ります。