王は戦う2
と、言ってみたものの不味い状況には変わりない。
このままでは負ける。
愛用していた(前世の)剣もないのだ。私の武器はこの魔法しかな・・・くはない。
そうだ、魔法形態”創成”で作ればいいのだ。
剣を作る術は知らない。それも作る。
そう考えていても熊は追ってくる。
果たしてそんな時間を熊は与えてくれるのだろうか?
いや、その時間も作る。
それが俺の殺し《やり》方だ。
「GGGGGGGOOOOOOUUUUUUUUUUU----」
叫び声を上げながら近づいてくる。
逃げるのが今は先決だ。そう考え一度木を上る。
幸い、かなりの大きさの木があったので日ごろの運動の成果で登った。
積み上げはやっぱり大切だな。
さて時間ができた。
これで、魔法を作る。
これまでの経験上、魔法のは基本イメージと魔法名が必要だ。
今回ならば剣を作るのが目標なのだからイメージは完璧。魔法名も大体できている。これなら、できる!
「氷創成魔法 アイスソード」
安直な名前だって?
魔法はむしろ安直な名前のほうが効果も出やすいしいいんだ。
決して、ネーミングセンスに自身がないとかじゃないぞ。
そして、その出来上がった剣に自身の雷魔法も付与する。
「雷付与魔法 サンダーウェア」
これで完成。込めた魔力は中級魔法に込めるものの倍は込めた。
魔法理論で行くと魔力で作ったものは魔力を多く籠めれば込めるほど固くなる。
あのでかい熊公もこれくらいになればダメージは通るであろう。
木をゆっくり降りていく。
本当なら飛び降りたいところだが、今の体でそれをやると熊じゃなく地面に殺されることのなるのでここは大人しくゆっくり降りる。
「GGGGGOOOOOOOOOOOO-----」
熊が迫ってる。早く下りないと。
「どぉぉぉんん」
あ、やばい。熊が突進したことによって木が倒れる。不味い不味い不味い。
ふぅぅぅ。あっぶない。ギリギリじゃん。
まあでもこれで戦える。
アイスソードで切りかかる。
「ごらぁぁ」
か、硬い。毛皮だろそれ。
これはやっぱり魔法がいる。
撃っていくか。今日散々試した中級魔法を。
『氷創成魔法 アイスカッター』
効果は抜群だった。狙いは外れたものの、腕の一本は持って行けた。
この調子でいけば勝てる。そう希望を抱いた。が、打ち砕かれた。
奴の手が再生した。嘘だろ。これじゃあどうやって勝つんだ?
熊は怒ったのか乱暴な攻撃をする。
「GOGOGOGOGOGOGGGGGGGGUUUUUUUUUGGGGGGGGG----」
不味い。周囲にまだ魔物がいたら確実に来る。
そう半ば確信し魔力感知を展開する。
するとあることに気が付いた。
熊の魔力が大きく減っていることに。
そうか。奴は魔力を使って再生をする。だから、限界がある。
しかし、先ほどのような攻撃にも限界がある。
魔力をかなり持っていかれるからだ。
こりゃ、持久戦か。
『氷創成魔法 アイスカッター』
『雷創成魔法 サンダーヴェクト」
魔法名を唱えることで、先ほどのより少し小さめの氷の刃と雷でできた矢がクマに向かって放たれる。氷の刃は熊の手足に、雷の矢は熊の目に向かって一直線だ。
目論見通り、熊の手足と目に刺さる。
先ほどと同じように手足は再生するしかし、雷の矢は形態を保たせることによって周りが見えないようにした。これなら、勝てる。
そんな幸運を感じたのもつかの間、奴は視界を失ったことによってすごく暴れる。
倒れる木々と舞う土埃によって視界が悪くなるばかりだ。
「GGGGOOOOOOOOOOUUIOUIGJHGGYUGFRDUDTYFDIYI+OGGGGG」
先ほどより大きく耳に不快感を与える叫び声は聞くに堪えない。
もう奴の魔力はわずか。
だが、視界が悪いことで狙いが定めれない。
推測になっているが奴の異常なまでに硬い毛皮はおそらく身体強化によるものだ。
理由は、奴の手足を切ったとき、最初より弱かった刃にもかかわらず切れたことだ。
勝てる。だがこのままでは木などで死んでしまう。
もう、出し惜しみはできない。
やるしかないのか。あれを。