王は魔法にちょっと引く
森に入ってもう30分。
特に異変はなさそうだ。ここで魔法の練習をするか。
さて問題は二人をどうするかだ。どうしようか。
「レウス、ユーリ。お前たちは何をする?」
そうすると、レウスとユーリはきょとんとした顔をした。
「え?アリオスと同じかとをやるけど?」
「ええ。私もそのつもりよ。」
え?お前ら中級魔術使えるのか?と口から出そうになったアリオスだが抑えているようだ。目に見えてわかる感じで。
「俺はこれからかなり難しいことをする。一人のほうがいいから二人はこの本でも読んでてくれ。」
と、初級魔術の本を投げる。内容は常識的なことからちょっと豆知識的なものまでとかなりいいものだ。この本でやっと魔法的常識が付いたからな。
「あ、そうなの。じゃあ僕はユーリとこの本読んでるね。」
「ちょっと私まだしっかりと文字読めないのよ。」
「じゃあ、僕がこの機会に教えるから一緒に読もう?」
「それならそうするわ!」
おいおい、文字がまだ読めないって大丈夫なのかと心配するアリオスだがこの世界では6歳で文字の読み書きができるというのは貴族か、よっぽど勉強熱心なもの位である。むしろレウスのほうが珍しいのである。
そうして、やっと一人になったアリオスは魔導書を読みながら魔法のイメージを図る。
この世界での魔法はイメージが大切だ。
火の魔法なら炎を頭の中で灯し、水の魔法なら頭の中で水を出す。
それくらいのイメージを必要とするのである。
なので魔法使いは基本的に師弟関係が必要となってくるのである。
それをなぜアリオスは無視できるのかというと前世で見てきたもののおかげのほかないだろう。
「氷魔法 アイスカッター」
その瞬間、アリオスの目の前にあったざっと4メートルはある木は上から小野を振り上げたかと思うくらいに綺麗に切れた。
その切れ味は驚異的で人など簡単に殺せそうであった。
その切れ味にアリオスは
「え?えぇ・・・嘘だろ?」
と、少し引いていた。
自分でやったことだろうに。
「まあ・・いっか。よし、次のやつ行くぞ。」
と、アリオスは二時間くらい魔法を試しまくっていたのであった。
だが、彼は気が付かなかった。
彼の魔力を感知した魔物が、近づいてくることに。