表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/10

学園3

「おまっ! キャサリン! 何でお前がこんな所にいるんだよ」



目の前に出て来たのは、鮮やかな赤の瞳に赤みを帯びたオレンジの髪をした、昨日迄私の婚約者だった女だ。



「幼馴染みで、隣に住んでるんだから来るでしょ! サミュエルこそどうしたのよ突然動き出すなんて、屋敷中凄い騒ぎになってるわよ。私の屋敷迄、伝わる程なんだから」



なんだこいつ? これが、あのキャサリンなのか? 同じ名前の別人じゃないのか。声も話し方も顔つきまでもが違うぞ。何だよこれは昨日からおかしな事ばかりだ。



「凄い汗よ。これで拭きなさいよ。来週から又、学園が始まるわよね……


 学園で何かあったの?だから帰ってきてこんな事しているの?悪い様にはしないから教えなさい。


 私なら上手く対処できるわよ。サミュエルの事はずっーと気になってたのよ。けど貴方、構うなって言うから……


 ねえサミュエル私に力にならせてよ」




あのキャサリンが、私の顔中の汗を拭いている。この様な優しい言葉などかけてもらった事などないぞ。驚きだ……どうした事だ。



「大丈夫なの? ボーとしてるけど」


「大丈夫だ……少し庭を走ってくる」




私は背後で何やら言っているキャサリンを置いて、走り出した。貰った布は汗を拭くのに丁度良いから、首に巻いておこう。


 この身体は汗が良く出るから、直ぐに目に入って痛いからな。良い物を貰った。



「待ってよ! 私も走るわ」



横を見ると、何時ものドレスよりかなりボリュームは少ないが、明らかに走るには不適合な服装で私に追い付き、尚且つ汗だくな私と違い、軽やかに笑顔で走っているキャサリン。


 何だがムカつくぞ!私は必死で走る走る走る走る走る走る走る走る…………


30分もしないうちに限界が。芝生の上に寝転び、もう一歩も動けない。ヒューヒュー息が……


 喉が熱くて血の味がする。何なんだよ! これは。


 以前の私なら一時間は軽く走れていた。それも軽々とな。サミュエルになった私は、これ以上は無理だ。これ以上走ると確実に死ぬ。




「大丈夫サミュエルお水持ってくるから待っててね」



キャサリンが心配そうに見た後、走って屋敷に向かった。良い奴だとは思うが、やはりムカつくぞ! 


 それにしても婚約者のキャサリンと、今のキャサリンの違いに何が何だか判らないが、今はとにかく痩せてやる!


 先ずはそれが第一だ。以前のサミュエルの奴は何故痩せなかったのだ! 少し努力して、食べる物を減らせば確実に体重なんて簡単に減るだろうに? 不思議な事だ。


 これからの私の人生がかかっているんだ。こんなところでつまづいてなるものか!



「お待たせ! サミュエルお水持って来たわよ。起き上がれる? 飲めるかしら?」


「ありがとう頂くよ」



こんな水初めてだ。美味い美味すぎる! 水はこんなにも甘いものだったのか? 生き返った。よし! 私はこれから痩せて、思うままの人生を歩むぞー!! 何になろうとも何をしようとも私の自由だーーーーーーー!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ