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学園2

私は目覚めた。身体中にある節々の痛みに耐えながらも起き上がり、周りを見渡すと……



「ここはどこだ? 狭いしみすぼらしい寝室だな。ベッドも硬く痛いぞ。我が王宮の私室では無いな」


「サミュエル様、皆様集まっておいででございます。お急ぎ願います」



扉の外からのメイドの声で、これからの私の名前がサミュエルなのだと言うことがわかった。


 本当に私は変化したのだろうか? 痛みに耐えながら立ち上がり、鏡の元へ向かった。覗き込むと、そこには……



「なんだ! この顔はこの姿は! 顔はブツブツだらけで、身体は締まりのない弛んだブニブニな肉に包まれているではないか!」



薄手の服だから余計に肉のタルタル加減がわかる。腕を上げると、肉がカーテンの様にフリフリ動くし、ボンっと飛び上がると、身体中の肉が大移動だ。


 あり得ない状況に頭の中が真っ白だ。どこをどうすれば、この様な身体になるのだ。



「サミュエル様、朝食の用意が出来ておりますが」


「いらん!」


「えっ? いらないのでございますか?」


「いらんと言ったであろうが! 下がれ」


「…………わかりました。それでは失礼致します」


「くそっあの男!! 何故こんな身体に変えたのだ! 我が第二王子の身体には、こやつが入っておると言うのか!?

あり得ん!! 見窄らしい体型にでもなったら、周りにも示しが付かないぞ!

くそっ! 先ずは、この身体をどうにかしなければ、恋愛も何も無いではないか! 何も縛られない生活の筈がどうしてこうなっているんだ」



改めて姿鏡で全身を見る……あり得ない体型だ。これを私にどうしろと言うのだ。



「ふぅー 仕方ない。剣術でもやるか…… くそっあの男……いつか捕まえて八つ裂きにしてやるわ」



私は動きやすい服を着て庭に出た。途中会った執事に、剣を庭に持って来させる様に言うと何故か泣き出した。泣きながらすぐにと言って走り去ったのだが……



「何なのだこの屋敷の人間は! 走り出すなど、伯爵家の執事にあるまじき行為であろうが!」



私は全てに怒りながらも、庭を目指して歩いた。どうにか中庭に出る事ができた。流石は、伯爵家。綺麗に整備された庭だ。王宮には劣るが、なかなか見事だな。


 歩いていて丁度良い剣術が出来そうな空間を見つけた。


 先程、支度をしながらメイドにあらかたの事を聞き、理解した。


 この屋敷はラジウィズ伯爵家で、領地も様々な物を手掛けており裕福で、屋敷の者も皆のんびりおっとりとしているらしい。サミュエルは、三男で上の二人は結婚もしており、各自領地の特産物の改良販売に忙しくしているらしい。


 サミュエルはしがらみも無く、自由で好きな事をしてのんびり過ごしていたらしい。その結果がこの身体なんだろう。



「ここなら、日差しも防げて良い感じに動けそうだ」


「サミュエル様剣を持って参りましたが、本当に大丈夫なのですか?危のうございますが」


「下がっておれ! 邪魔だ」



執事から、剣を受け取り素振りをしたのだが、なんだこの腕は、振り回す度に腕の肉がブルブル揺れるし、擦れて熱が出てきて熱いぞ!


 何という身体なんだ。足も踏み出すと足と足の間が擦れてくる。我慢して私は一時間休まず続けた結果、股から血が滲んできた。


 それに、何故かメイドやら何やら屋敷の人々が次々と見物に来ては、驚き帰っていく。見せ物ではないと思いつつも今は、休まず動き続ける。


 一通り、色々な型で素振りをして次の事をと思ったのだが、身体が動かん。


 この身体は本当に、役に立たない身体だ! 汗は滝の様に出て、目が染みるし。身体中の肉がブルブル動き回るし、最悪だ。


 ぶつぶつ文句を言っていた時、庭の先から女の叫び声が聞こえた。それはだんだんと近づいてきて、私の目の前に現れた。


 なんと! その女は!!!!!!!



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