マーテェフェル国のお話
色々と名前や階級を間違えていました(・_・;
書き直ししました。
《マーテェフェル国》
マーテェフェル国の王宮奥には、神聖なる森が存在しているのだが、人間は滅多に近寄らない近寄れない特別な場所だ。
その森には国を静かに護っている守護獣が住んでいる。本来なら誰も人間は近寄れないその場所に、今日も騒がしい声が響いている。
「ねぇねぇお兄様聞いてよぉ~ 酷いのよ。ローレンスが又、私の耳を聞こえなくしたのよ。私は別に誰に何を言われても気にしないのに! 心配し過ぎなのよ」
「そうだね。アメシスは強いから大丈夫だよね」
プリプリ文句を言いながら歩いているのは、腰までの長さでふんわり風に靡く黒真珠の様な黒髪に、ルビーの様に紅く光り輝く瞳を持ったマーテェフェル国の小さなお姫様と、後数年したらさぞかし精悍な風貌に変化していきそうな、キラキラ輝く黄金の髪と瞳を持った王子様。
「そうよ。私には、お父様・お母様・お爺様・お婆様・お兄様や動物達が居るんだからね。わからず屋の大人達は知らないわ。
この髪も私のお気に入りなのよ! お母様譲りの艶々な黒髪は私の自慢なんだからね。それについてグズグズ言われてもねぇ」
マーテェフェル国は短い間にアンソニー王子が指揮し、国内の改革を成功させた。
貿易管理制度も新たに設立し、周辺国とも友好を交わし、輸出入を国が仕切り信頼のおける商人達を使い、今では安定した財政を維持している。
元々資源が豊富な国だったので、これを機にと周辺国が狙い、危ない事も起こりそうだったのだが、サーフウィカ王国の陰の援助があり、最悪の事態からは免れたのだ。
けれども、いくら国が変革したからと言っても、個々の気持ちはなかなか難しく。未だに、マーテェフェル国の王妃であるレイファ妃の事を良く思っていない人間も未だ残っている。
アンソニーとレイファの子供達である。アルフォンスとアメシスにも良くない影響は出ているが、二人には護ってくれる力と本人達のキチンとした知識や強さがあるので、今の所は大事無く過ごしている。
「そうだわ! そう言えば、お兄様昨夜又、鷹さんと出掛けたでしょう。私みんなから聞いたのよ。何で私も起こしてくれなかったのよ! 何処に行ったの。リリアンお姉様の所じゃないでしょうね」
「違う……お父様の指示で、セイバー王国に行ったんだよ。リリアンはセイバー王国のサンタフェリカ学園時代の友人の結婚式でアルファディア国に行ってるんだよ」
「そうなの。セイバー王国……私、お手紙出してリリアンお姉様のセイバー王国へ遊びに行こうかな? 来年はセイバー王国のサンタフェリカ学園への留学始まるから、下見にも良いじゃない。セイバー王国なら鷹さんに頼べばすぐだわ」
「駄目だよアメシス。君は未だ幼いだろ。鷹様が大人しいと言っても、何が起こるか判らないからね。お父様とお母様も学園を卒業しない内は、空は駄目だときつく言われただろう」
「わかってるわよ。でも、お兄様楽しそうなんだもの……私も乗りたいわ」
二人は、慣れたもので背丈ほどの草等も物ともせず、ずんずん森の奥深く歩いていった。すると、いきなり風が変わり空気も神聖なものに変容した。
先程まであった草達も跡形もなくなり、かなり広い野原に出ると目の前には、巨大な鷹に小鳥達が纏わりついているという景色がみえた。
(なんじゃ今日もアメシスは騒がしいのう。もう少しお淑やかにならねば、ローレンスにお嫁にもらってもらえんぞ)
「鷹さんーーー! おっはよ。私ね鷹さんの背中に乗りたいのー! ダメかな」
可愛らしく小首を傾げてのおねだりに、鷹は少し困った顔で。
(そうよのう……アルフォンスどうじゃ。わしはどっちでも良いんじゃが)
「駄目です。決まりですから」
「え~~~学園卒業後なんて長過ぎるよぉ~お願いお兄様。この森の中だけで良いからねっお願いお兄様!」
「…………仕方ないねえ。じゃあこの森の中だけだよ。鷹様この周りだけで、低めにお願いできますか? ゆっくりめですよ」
(わしはいいぞ。それじゃあアメシス乗ってみろ)
「わーい! やったー! はじめての鷹さんと空!」
少しだけ低めに屈んだ鷲の上へアメシスは、飛び上がりよじ登りどうにか自力で鷹の真ん中へ到着した。
(それでは、アルフォンス少しだけ行ってくるぞ)
「鷹様宜しくお願いします。低めでゆっくりめですよ」
(わかっておるよ)
「お兄様ーーーー! ありがとう! 行ってまいります!」
「楽しんでおいで」
妹を優しい眼差しで見つめ見送るアルフォンスの心の中には、一抹の不安があった。
昨夜国王である父王からこの森の中に呼び出され、今すぐセイバー王国の王宮へ行きなさいと言われたのだ。
そのまま直ぐ鷹に乗り飛び立ったアルフォンスを待っていたのは、セイバー王国の王族エドウィン・セイバーだった。
セイバー王国とサーフウィカ王国とマーテェフェル国は王族同士かなり親しくしており、お互いの子供達を他国の学園に留学させてその友好を続けて行こうとしている。
そのおかげで、貴族達も自国では無く自身にあった学問が学べる国に留学する事が支流になりつつある。国が、学ぶ事に力を入れていく事で、貴族だけではなく平民も学ぶ事ができる学校が、各地域に設立され、少しづつだが平民の中からも優秀な人間が現れている、そんな時代になってきている。
アルフォンスは楽しそうに鷹と飛び回るアメシスを見ながら。
「アメシスの同学年に禍々しい気質の魔力を持った女の子が入学してくるなんて聞いて、そのままアメシスとローレンスを入学させてくれだなんて……
私が、困難な目に遭うのなら進んで立ち向かって行くのだが、未だ幼いアメシスとローレンスをその中に進ませるなんて……
お父様は将来国王になるのなら、周りを動かしていく事も覚えなくてはならないとおっしゃっていた。身内だからと庇護するのではなく、辛い決断もしなければならないと……
わかってはいるんだ、だが……私はアメシスが可愛いんだ。大切な妹なのだから。幸せになって欲しいと思っているんだよ。アメシス」
あれ?続きそうですか?続きそうですね(>人<;)