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何もない僕が国際連合を旅する話  作者: ヨン・ルイ
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僕には何もない

僕には、何もない。


学校でいじめられているわけではない。でも誰かの一番の友達、という存在じゃない。普通だ。

親が冷たいわけではない。特段優しくもなければ、ひどいことをするわけでもない。普通だ。

頭が悪いわけではない。運動ができないわけではない。成績は大体が中の上から中の下。歴史と地理が少し得意で、英語と数学が少し苦手。普通だ。

でも先生に褒めてもらうことができるのは三者面談の時くらいだ。よほどの問題児でも無い限りみんなそうだろう。普通だ。

人に自慢できる趣味なんてない。特段好きなものも、嫌いなものもない。

しいて言えば異世界転生ものの小説にはまっていることだろうか。それも普通だ。


僕はこのまま、ずっとこのまま人生を過ごすのだろうか。何もない人生を?


嫌だなあ。


このことを相談した先生は言う。「高松君もいつか誰かの特別になれるよ。もちろん、高松君は私にとっても特別な生徒だよ」

でも「先生にとってはみんな特別な生徒なんじゃないですか?」と聞くと「そう、一人ひとりみんな特別だよ。」というありきたりな

答えが返ってきた。それ以降「でも相談してきてくれて‥」とか言っていたけれどそのあたりはもう聞いていなかった。

どうせ、だれに同じ相談されたって同じようなことを返すのだろう。



父や母には聞かなかった。大抵どの親も自分の子供は特別だろう。

この先僕を特別と認めてくれる人は現れるのだろうか。


ああ、この小説のように異世界に転生して、そこで特別な力を使えればいいのに。

みんなが僕を特別な存在、と認めてくれればいいのに。


そんなことを考えながら、僕は明日の学校に備えてベッドに入った。



----



ふと、目の前で何か光がちらちらしているような気がして目が覚めた。

少し肌寒く感じ、かけ布団を引き上げようとする。

しかし、布団はなかった。

ベッドから落としたかなと思ったとき、自分が横たわっている場所がベッドではないことに気が付いた。

目を開ける。そこで見えたのは見慣れた少し古いシーリングライトと薄いベージュ色の天井ではなく…


木漏れ日が差し込み、緑のきれいなはっぱを付けた木の枝だった。

おかしいな、と思いながら寝ぼけた頭で起き上がる。

状況は明らかに変だというのに、僕は学校に行くために準備をしようとした。

しかし、できなかった。当然だ。

僕が起き上がった場所は朝日があまり差し込まない6畳一間の自室ではなく、

木の間から暖かな光が差し込み、頭上で緑の葉がゆれる森だった。


起き上がる。頭がまだ追いついていない。

僕は自室のベッドで寝た後、なぜか森の中で起き上がった。

夢なのだろうか?それにしてはっきり感覚がある。


明らかに異常な状態なのにもかかわらず、寝ぼけている僕は普段通り学校に行くために制服を探し始める。

あたりを見回しながら歩き出す。森とは言うが、光がたくさん差し込み、ずいぶんと明るい。林といってもいいのかもしれない。

地面には短い草がたくさん生えていて足が結構チクチクする。はだしのせいなのだが、ちょっと嫌な感じだ。

空を見上げる。方角が分からないので朝日なのか夕日なのかはわからないが、日はまだ傾いている。

太陽の光を浴びているうちに目が覚めてきて、頭が自分の置かれている状況を理解しはじめた。


これは、夢じゃない。

僕は明らかに僕の部屋じゃないところに来ている。夢で見る場所は必ず自分の記憶にあるどこかともう言うが、ここは全く知らない場所だ。

ジャージ姿で外へ出ることはあまりないが、空気の感じも妙にひんやりとしている気がする。ここは自分の部屋でもなければ近所でも全くない。

僕は誘拐されたのか?ならなぜあんな森の中で放置されていたんだ?デスゲームでもやらされるのか?小説のように?ん?小説…?

まさか、僕は。


異世界に来てしまったのでは?


その考えになったとたん、後ろの低木の茂みから「ガサッ!」という音が聞こえた。

思わず身構える。僕は何のスポーツもしてないし、武器も持っていない。

この世界に来た時に特別な力でも得ていない限り、魔物に襲われたらひとたまりもない。

ガサガサと揺れる茂みから飛び出してきたのは


「ワンッ!」


犬だった。

なんとなく力が抜けてしまい、構えをとく。

「わんわんっ!」

こちらに向かって吠えながらしっぽを振る中型犬の後ろの茂みからリードが伸びており、その茂みの中から再びガサガサ音が聞こえ、誰かが近づいてきた。

誰か来る。なんだろうか、人間か?エルフか?ドワーフか?それとも…

「どうしたんだい、リガ。いきなりわき道にそれたりして…」

僕の期待と不安は、茂みから小柄な外国人のおばあさんがふうふう言いながら出てきて、こちらと目が合ったとたん「あら」というような顔で固まったことで

あっさり拭い去られた。


これが、僕がこの世界…「#架空国家国際連合」の世界の人間とのファーストコンタクトだった。


ツイッター上の架空国家国際連合の世界を舞台にした小説を書いていきます。

皆さんが使用しているメインキャラクターなどは直接の登場はさせませんが話の中には出てくるかもしれません。

基本的に無断で国を乗せていってしまうので、何かあればヨン・ルイまでご連絡願います。

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