妄想は悪いものじゃない。
ここ数日天気が良くて洗濯物がよく乾くのは有り難いが、体の表面がじゅーっと言いそうな程暑い。何が嫌って、画像で何か所にもモザイクがかかる位脱いだところで暑さはどうもならんという事だ。ついでにワイセツ物陳列罪でお巡りさんに囲まれてより暑くなり前科まで付くオマケつきである。やさぐれても仕方があるまい。
文明の利器であるエアコンや扇風機の使用は電車などの公的機関や屋内に限られる訳で、表を歩いている時にはTVの中の菅田将暉であり横浜流星のように、手も足も出ない。
まあ本人が目の前に居ても通常手も足も出せないし、出したらお縄なのだがイメージである。
これが、冬のように「着込めばあたたまる事が可能」という【コナンに事件を任せればまるっと解決】方式であれば、
「夏ね……いいんじゃない?プールや海も楽しめるし。太陽はいいわよね」
と石原さとみのように大人の女性の微笑みで白いワンピースにストローハットで軽やかに歩み去れる訳だが、若さも美貌もスタイルもない、いや一時的にあったとしても遠い過去のものになっている私には、ただの腐乱死体テンパイな季節であり、たまたま腐らなかったから秋冬春も生きていられる、というのを繰り返しているだけである。
こんな辛い季節に暑い暑いと言っていても涼しくなる訳ではないので気分転換をする事が多いのだが、そこで今回のテーマは『妄想』である。
皆さんは、電車の中で見た印象的な人物を尾行した事はあるだろうか?
……いや待て待て待てブラウザを閉じないで欲しい。大事な話はここからだ。
大丈夫だ、通報待ったなしになる事はしていない。
私のような自分の限界を知る物書きは、常におニューのネタを求めてスマホのメモに控えているのだが、例えば仕事帰りの電車で会ったオジサンやお兄ちゃん、お姉さんなどに勝手に話を当てはめたりする。
「実は妻以外に定期的に会う女性がいる。今夜もその予定だがどうやって誤魔化すか」
「義姉さんと兄弟姉妹以上の関係になるため親に温泉旅行の切符を買っている」
「流れで職場の上司(♂)と一夜を共にしてしまったが、彼女がいるので続ける気はない」
とか、大概は現代ものだが妄想する訳だ。
そこで音を消してなかったりして相手にLINEの通知音が鳴ったりすると、
(むむ、愛人からのラブコールか)
黙々とメッセージを打っていると、
(義姉さん、仕事が遅いなら夜道は危ないから駅まで迎えに行くから連絡よろ、と)
という妄想をはかどらせる。そしてスマホにメモる。
今の所現代ものは殆ど手つかずなので、日の目を見るかは不明だ。
そして乗換駅について降りるタイミングで相手も降りると、ルートが同じなら尾行する訳だ。勿論、自分の帰り道ルートから外れればそれでサヨナラである。
先日は、赤と緑と黄色のペンキをぶちまけたようなシャツと明るい青のパンツを履いたアグレッシブな色彩感覚の20歳前後の背の高い青年がいたので、
(この男はパリピな格好で違法薬物の売買をしながら、孤児院で育った幼馴染と結婚する費用を貯めている)
と妄想しつつ新宿で降り、そのまま私と同じ乗換方面へ向かったので尾行したが、妖艶な年上美女と待ち合わせだったらしい。
こんな美女が薬物を、何て事なの東京怖い、と目頭を押さえつつ(嘘)またメモをする。
まあ妄想に妄想を重ねてミルフィーユ状態にする訳だが、6,7割は正直言って屑ネタである。
多分「お題」を与えられて考える小噺みたいなもので、パッとストーリーが浮かぶように癖をつけているようなものだと思っている。
そこから使えそうなものを拾って物語にする。
私にとって現在妄想するのはネタを拾い上げる作業に等しい。
どうやって話を考えればいいのか迷っている物書きを考えているアナタ。
街中に結構ネタは転がっている。
スマホにメモアプリを入れて妄想を書き込む習慣をつけることをお勧めする。
妄想も鍛え上げると物書きには役立つと私は思っている。
今のところは異世界ファンタジーの連載が続いているので、何故か我が家にはバナナが常に置いてある。1つずつむしって踊らせたり、マジックで目や口を書いたりしているが、これは決して私が精神的に病んでしまっていたりコミュ障を拗らせて擬人化した果物と語って寂しさを紛らわせている訳ではないので誤解しないで欲しい。
まあ余り一般的な社会人ではないかも知れないが、連休だというのに食料を買いに行く位しか表にも出ないで黙々とHPを作っていたり、小説を書いているのが幸せで仕方がないと思っている大人しい害のないヒッキーである。
ブクマ、評価ありがとうございます。