龍の子供
ここはドラゴンと人が共存する数少ない村、龍人村。
その村にはドラゴンが人に姿を変えて、人と同じ生活を送っている。
ドラゴンの姿に戻る時もあるが、有事の際以外は人の姿をしている。
……という事が他所の村には伝えられているが、本当はそうではなく、人とドラゴンの血を持つヒューラという種族が住んでいる。
「まぁ、共存しているからって、子供まで作ってるとは思ってないだろうし」
「そうね。貴方達人間って、種族間の嫌悪感ってあまり抱かないけれど、異種族間での子作りってしないのよね」
「常識の範囲の人間なら特にそうだよ。まぁ、僕の場合は異種姦に憧れてたから……おっと異種間だった。危ない危ない」
「……そう言う変わり者が龍人村に勝手に来るわけなのよね。何処かで噂を聞きつけてね」
そう。この村の噂を広げている人間がいて、その人間が原因でヒューラが産まれて来ているのが現状である。
ヒューラの特徴は、親が純血のドラゴンと純血の人間かつ、人間ベースに尻尾が生えていないとそう呼称されない。
「妻よ。ヒューラの証を持たない時はどう呼ばれるのかな?」
「そうね……。私の父違いの兄は、尻尾が無かったけど、その代わりに翼が生えていたから、ヒドラと呼ばれていたわね。なんでも、ドラゴンの血が強いと極稀に尻尾では無く、翼が生えるらしいのね」
「ヒドラか。お伽話とかで聞くヒドラって首の多い蛇って聞くけど、その親戚扱い?」
「伝承とかお伽話とか関係ないわね。この村特有の呼び方だわね」
人とドラゴンの間では、ヒューラ・ヒドラの基本的にはどちらかしか産まれない。
「……じゃぁ、この子は何て呼べば良いんだろうか?」
「そうよね……。私も産んでから考えたんだけど、どうしようね?」
ここにいる人間(♂)とドラゴン(♀)の間に産まれた赤ん坊が1人。
身長体重は平均値、人間ベース。安産で痛みも少ない出産だったが、何か変わった点があった。
腰の辺りから伸びる尻尾を見て、ヒューラと呼ばれかけたが、背を見ると、僅か……ほんの僅かだが、肩甲骨周りから伸びる翼骨が生えていた。
この時点でヒューラとヒドラどちらの性質を持っているため、呼称される種族がわからなくなってしまった。
そして、イキナリここで10年後に進む。
「んで、結局ボクは何なのよさ。ヒューラ?ヒドラ?」
「えっとね。一応ヒューラに見えるから、ヒューラってことにしてあるわね」
「そうだよ。村役場とか産婦龍科には知っている者はいるけど、基本的にはヒューラとしているよ」
そう。10年経っても同じ性質を持つ者が産まれない為、迂闊に言いふらさずそのままになっている。
「あー。っとだな、一応種族名は決めてあって役場では申請も通っているから、教えてあげよう。10歳の記念だよ」
そして、10年来の種族名の発表になる。
「息子。君の名前が種族名そのままだ。スライム種のスライムみたいな感じで分かりやすいぞ」
その名は……




