天を貫く物語
「さぁ、今日からお前も15歳になったのだから旅に出なくてはいけないよ」
そう言っているのは俺の母レストア。
母の職業は国一番の吟遊詩人で、若い頃は歌で世界を練り歩き、父と出会い結婚したそうだ。
その父は、かつて勇者と呼ばれた父親を持ってはいたものの、才能に恵まれず勇者としては名乗らず、普通の冒険者として生活していたそうだ。
そして、祖父の血を深く受け継いだ僕が2人から命を授かった。
勇者カラクサ(祖父)が魔王を倒しておよそ70年。
世界は再び魔王の脅威に晒されようとしている。
世界はそこから再び始まろうとしている。
「どうだろう?15歳の祝いに私と手合わせを最後にしていくかい?」
「……母よ。俺は15歳だが、母は55歳だぞ?その歳で勝てるとお思いか」
「息子の成長を見ずして、送り出せないよ」
「はぁ……勇者の血を引く俺と戦ってどうなるか知らないよ」
「いざ!勝負!」
………その後、めちゃくちゃボロボロに負けた。
「まぁ、勝てるとは思ってなかったけど、母よ。手加減してくれても良かったと思うんだが」
「洗礼だよ。敵を見た目で判断しちゃいけないからね」
「じゃぁ行ってくるよ。魔王を倒した暁には帰ってくるから」
そして、俺は15歳の春、魔王を倒す旅に出たのであった。
実家目の前の天を貫く魔王塔に。




