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そうだ、小学校に行こうその2

今回の話は個人的には微妙ですが、最後まで読んでいただければ幸いです。

 だが、俺の家の近所には泉原(いずみはら)という名の小学校が存在する。創立四十年にもなる古い小学校だ。


 少子高齢化ためいくつもの小学校が潰れていく中、未だに存続しているのは凄いことだろう。しかも、JSが六百三十四人もいるのも素晴らしい。


 だが、ロリコンの増え続ける現代。いつ変態共が、六百人を越えるJSを狙って学校を襲撃するかも分からない。


 俺と同じJS愛好家たちは、気が気じゃないだろう。しかし安心してくれていい。


 なぜなら、泉原小学校の正門と向かい合う形で交番が存在するからだ。常時二人の警官がいるので、ロリコンの魔の手から麗しのJSを守ることができる。


 そして現在、俺は華恋と共にその交番にいる。


 二人で並んで椅子に座っている。なぜか俺だけ両手を後ろに組んで、ワッパをかけられた状態だが。


「君は前回あれだけ叱られたにも関わらず、まったく反省してないようだね?」


 俺の正面に立つ二人の警官の内、四十代ほどの外見の男が口を開いた。


 交番が学校の正面にあるため、彼らは前回の生着替え騒動のことをよく知っている。というか、俺が教員に捕まったのは、この二人が教員に協力したせいでもある。


「そんなに誉めないでくださいよ。照れるじゃないですか」


「どこをどう聞き間違えれば、誉められたと勘違いできるんだい?」


「え、違うんですか?」


「まったく違う」


 おかしいな。確かに誉めてくれたと思ったんだが。まあ、おっさんに誉められてもまったく嬉しくないが。


「そんなことより、この手錠外してくれませんか?」


「ダメだ。君のようなロリコンをこのまま世に放つなど、我々警察の沽券に関わる」


 俺がロリコンという前提で話を進められても面倒だ。ここらで訂正しておこう。


「俺はロリコンじゃありませんよ?」


「君がロリコンじゃない……? はっはっは、冗談は顔と性格と性癖だけにしてくれ」


「おい、人が下手(したて)出てれば、随分と好き勝手言ってくれるじゃねえか」


 警官じゃなければ殴り飛ばしてるところだ。


「好き勝手も何も、否定しようのない事実じゃないか」


「ふざけるな! 俺がいったい何をしたって言うんだよ!?」


 これが世に言う冤罪というものだろうか。最近の警察が腐ってるというのは、どうやら本当らしい。


「つい先程小学校に不法侵入した気がするが、私の気のせいだろうか?」


「誤解だ! あれはちゃんと校長に事後承諾してもらうつもりだったんだ!」


「結果的に承諾してもらえなかったわけだから、不法侵入じゃないか」


「え、承諾してもらえなかったのか?」


 おっさんの言ったことが初耳なので、思わず聞き返してしまう。


「私たちを呼んだのは、その校長だからな。ロリコンが不法侵入したから、捕まえてほしいと電話が来た時は驚いたものだよ」


 バカな……なぜ承諾してもらえなかったんだ?


 俺は確かに、小学校に許可なく入った。それは認めよう。しかし、おかしなことは何もしてない。


 ただ校長室に行って、校長にJSの生着替えの撮影許可をもらおうとしただけだ。なぜか校長は終始受話器に手を置いてたが、どうでもいいことだ。


 無論、誠意は見せた。自分で言うのも何だが、渾身の土下座だったと思う。サービスで靴まで舐めてやろうとしたが、全力で遠慮された。少しサービスしすぎただろうか?


 まあともかく、やるべきことは全てやった。すぐには返答できないと言われたので話はまた後日ということになったが、俺は確かな手応えを感じていた。


 次来る時は、正門から堂々と入れるだろう。そんなことを考えながら学校を出たところで、目の前の二人に捕まってしまい現在に至る。


「まったく……何が君をそこまで駆り立てるんだ?」


 何が……か。中々いい質問だな。せっかくだから、答えてやるとしよう。俺が小学校に侵入した理由、それは、


「性欲」


「師匠、そこは嘘でもいいから執筆と言いましょうよ……」


 しまった。つい本音が。


 交番に連行されてから一言も話さず、隣に座ってた華恋の的確なツッコミが俺を正気に戻す。


 この警官、かなりのやり手だ。まさか誘導尋問で俺の本音を暴くとは。腐っても警察ということか。


 今更遅いかもしれないが、一応警官の反応を確認する。


「何ということだ……これが次代を担う若者なのか」


 目頭を押さえて泣いていた。


「落ち着いてください、部長! 彼のような変態は特殊ケース。そう何人もはいません!」


 もう一人の警官が、ふざけたことを抜かす。どうでもいいことだが、おっさんの方は部長なのか。今後は部長と呼ぶことにしよう。


「そうか……そうだな。こんな変態がこの世に二人といるはずがない」


 勝手に納得しないでほしい。


「……ところで、一つ聞きたいことがあるんだがいいかね?」


「何だよ?」


「そこの少女は何だ?」


 部長が隣に座る華恋を指差す。


「は、初めまして! 弟子の華恋です! よろしくお願いします!」


 多少上擦った声音で、華恋は勢いのいい自己紹介をする。


「……確か君は、ライトノベルとか言う若者向けの本を書いてるのだったかな?」


「そうだ。それがどうした?」


「ライトノベルの作家になると、催眠術でも使えるようになるのか?」


「おい、それはどういう意味だ? 返答次第じゃ、タダじゃおかねえぞ」


 言ってることが、ウチの幼馴染と同じなのが腹立たしい。


「君のような変態の弟子になりたい物好きなど、この世に存在するはずがないだろ」


 断言しやがったよ。ワッパをかけられてなければ、ぶん殴っていたかもしれない。


「ちょっと待ってください、お巡りさん! その物好きならここにいます!」


「華恋、お前はちょっと黙ってろ。話がややこしくなる」


「そんなあ!?」


 華恋が嘆くが知ったことではない。これ以上話がややこしくなって、あらぬ誤解を受けるよりはマシだ。


「……随分と好かれてるようだな」


 すでに手遅れだった。


 ここから誤解を解くのに、数時間ほど時を要した。その後は警官二人の説教を受け、今回の件を出版社に伝えると言い渡された。


 ちなみに出版社に伝えるうんぬんで一悶着起こり、俺は土下座と靴舐めを敢行することになったが、それはまた別の話だ。


 

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