花嫁と《秘匿されし聖女》が穢されたことへの報いを
【注意】残酷表現あります&グロテスク&シリアス‼︎苦手な人はご遠慮下さい‼︎
今後もよろしくどうぞ‼︎
風邪を引いたので、次の更新はできないかもしれないデス。
(………もう……何日過ぎたかも…分からない………)
真っ暗な闇の中。
ローラは起きる気力もなく、ただ床に寝そべっていた。
あれから何時間も拷問は続いた。
ローラは拷問の痛みに早々に全てを話していた。
自分が転生者であり、この世界が乙女ゲームの世界だと気づき……タイムリープの力を持っていたこと。
タイムリープの力は強大な力ゆえに代償が必要だった。
だから、悪役令嬢であるミュゼを生贄にすることで発動していたこと。
タイムリープを繰り返し、本物のアリシエラを嘘で都合よく動かしてゲーム通りのシナリオを進めさせた。
ゲームの知識が元々あったのと、繰り返した人生から得た知識でアリシエラの身体を奪ったこと。
ゲームの世界だからこそ、アリシエラになれば……ラグナを手に入れられると思ったこと。
全てを話したが、拷問は止まらなかった。
それはそうだろう。
これは邪竜主催の復讐劇なのだ。
五回目ではないとしても、ローラはミュゼを四回も殺してきたのだ。
ミュゼが壊れた原因なのだ。
ローラは、ミュゼが人外へと堕ちた原因なのだから……家族であるシェノア家の拷問は止まらない。
この拷問は次の場面に移り変わるまで終わらない。
ローラは日々精神的に衰弱していったが……未だに狂っていなかった。
一本一本丁寧に指を折られて。
溺死するか寸前まで水の中に沈められて。
暴力で自白を迫られて。
薬で思考をおかしくさせられて。
熱したコテで皮膚を焼かれ。
鋭いナイフで少しずつ、少しずつ皮膚を、肉を剥ぎ取られていく。
でも、それらは全て聖女の力で治ってしまう。
ミルカの拷問は、彼女自身が拷問官として慣れているから……淀みがない。
しかし、エドワードとビビアンは駄目だった。
拷問は、強靭な精神力を持つ者しかできない。
初心者だからこそ、二人は躊躇ってしまう。
傷は治っても痛みは残る。
あの二人に拷問された後は、その痛みが顕著だった。
そうして時間がくればあの暗闇の中に放り込まれる。
寒くて、暗くて、誰もいなくて、静かな……暗闇に一人、取り残される。
狂いそうで狂えない。
怖くて恐くて堪らない。
数時間なのか数日なのか数十日なのか?
ずっとずっと暗闇の中で一人。
こんな残酷な世界、ゲームじゃあり得ない。
この世界はゲームではない。
ゲームだったらアリシエラに優しい世界になっているはずだから。
ローラは今頃になってやっと気づいた。
だから、この世界がゲームの世界ではないのだと、数多の間違いの先に……やっと辿り着いたのだ。
だが、ゲームの登場キャラクター達はこの世界に存在して。
この世界がゲームじゃないと理解しても、ラグナに恋をしていたローラの思考は未だに彼が自分を助けてくれるのだと信じて疑っていなかった。
いや、正確には……拷問の辛さをそんな風に思い込むことで乗り越えようとしていた。
その思い込みは、真実さえも飲み込んで……虚実で塗り替えられる。
虚実こそが現実なのだと、錯覚する。
そうしないと、ローラは精神を守れないほどに……追い込まれていた。
ズルリッ……。
そんな暗闇の中で聞こえた音。
その音にローラは虚ろな瞳に、光を宿し始める。
(ラグ、ナ……ラグナ……ラグナっ‼︎)
ラグナが自分を助けてくれると信じてしまった彼女は、頬を緩めて笑みを浮かべる。
だが、それは更なる絶望が動いた音で。
「おや……人間というのも、中々に良い技量をお持ちのようだ」
「…………え?」
その声に、ローラは目を見開いた。
視界が暗闇にあろうとも関係ない。
だって、その声は……。
「なんでっ……あんたが来るのよっ‼︎アルフレッドッッ‼︎」
公爵家子息アルフレッドのモノだったのだから。
暗闇の中からクスクスと楽しそうな声がする。
そして、彼は優しく……ローラの頬を撫でた。
「申し訳ないがね、お嬢さん。わたしはアルフレッドの肉体を被っているけど、アルフレッドではないんだ」
「…………は?」
「わたしの名前はパラサイト。アルフレッド君の精神は私が喰らい殺した」
そう言われたローラは言葉を理解できなくて首を傾げる。
すると、彼は再びクスクスと楽しそうに笑った。
「言っただろう?これは邪竜様の復讐劇だと。ならば、君だけでなく花嫁様を殺した実行犯達にも復讐されていると考えつくだろう?」
「……ま、さ…か……」
「宰相子息は、魔物達にレイプされて魔物の苗床となって胴から肉体を喰われて再生してを繰り返した後、投獄された。元騎士候補生は邪竜様自ら何度も斬られ、再生して……今は魔物の眷属として淫魔の令嬢に調教されているらしい。元王太子殿下は《邪竜教》と接触している時、邪竜様に脳内を弄られて……正気であるが正気ではないという壊れた人間、一種の廃人とも言えるかもしれぬが……まぁ、辺境の地で一生幽閉されることになるだろう。そして……公爵家子息は、わたし、寄生虫に寄生され、体内を貪り喰われ、意識を殺された。残ったのは肉体のみ……それ相応の末路だよ」
彼女はそれを聞いて言葉を失う。
だって、それほどまでに残酷だった。
ローラは、自分が無実のミュゼを殺したことを棚上げして、酷いと……思ってしまった。
「……どぉ…して……」
「どうして?簡単な話じゃないか。君が手を出したのは邪竜様の花嫁様なのだぞ?花嫁様はもっともっと酷い死を迎えられた。復讐されども生きていることに感謝した方がいい」
パラサイトは「さて」と息を吐くと、パンパンッ‼︎と手を二度叩く。
その瞬間、周りに無数の存在感が現れた。
「今から君にもヴィクターと同じことをされてもらおう。あぁ、安心するとよい。魔物を産み出す苗床にはしないからのぅ」
「………え……え?」
「さぁ、諸君。この女は聖女だ。聖なる者を穢すことは我ら魔物にとって力の増強に繋がる。だかしかし、残すのは闇の魔力のみにせよ。間違えても子を産ませるようなことをするでないぞ?」
「嫌…嫌っ……」
ローラが逃げようとするが、それよりも先に手足が見えない何かに拘束されて地面に大の字で押しつけられる。
ねっとりとした冷たい何かが肌を這う。
「さてっと。ボク達の出番っすね‼︎眷属の皆さん、催淫を発動するっすよ‼︎」
「女としての矜持を穢された花嫁様と、本物の《秘匿されし聖女》のために……それ相応の報いを」
甘い匂いが一気に立ち込めて、ローラの脳内を痺れさせる。
身体に甘い疼きが走り、口元からはだらしなく唾液が零れ落ちる。
だが、聖女の力はその催淫に対しても効果を発揮して……彼女の意識を元に戻す。
しかし、元に戻らない方が幸せだったかもしれない。
…………目の前にいるであろう、魔物達は……その催淫が解けないままだったのだから。
「「思い思いに乱れ狂い、淫蕩に濡れて下さいっす」マセ」
その声と同時に襲われるローラ。
「アァァァァァァァァァッッッ‼︎」
ローラへの復讐は、まだ終わらない。