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幕間・偽聖女はゲームの彼に本気の恋をしていた


沢山の方に読んで頂きありがとうございます‼︎


最後のなんだ?と思う方もいらっしゃると思いますが、謎解きは次話に続きます‼︎


ちょっと次の更新はお休みするかもです……風邪ひいたので。できれば更新できるよう頑張ります。


それでは、よろしくどうぞ‼︎






「………レイド様が、病気で廃嫡?」



自室で侍女からその報せを聞いたローラは、呆然とした。


このゲームで重要になってくるのは、親密度だ。

最後の断罪シーンでは、二つの条件が鍵となる。


一つ目は、目的攻略対象の親密度が一番高いこと。

二つ目は、他の攻略対象の内、一人でもそこそこの親密度を維持できていること。


そうすれば、無事に攻略対象達の手腕によって断罪が成り立つ。

だからローラは、レイドと保険としてアルフレッドの親密度をそこそこの高さで維持していた。

ラグナを手に入れるためとはいえ、他のキャラと仲良くなるのは苦痛だった。



だから、ヴィクターが人身売買で捕まったって。

ジャンが学園を辞めて、教会預かりになったって。

元々、ラグナ以外の攻略対象キャラクターがどうなろうと構わなかったローラはそれを気にしていなかった。

しかし、先ほども言ったようにレイドは二つ目の条件のためにそこそこの親密度を維持していたのだ。


そんな彼が廃嫡。

それも病気で辺境の地に養生に行ってしまった。


つまり、あの断罪の舞台に立たないということだ。

一応、保険でアルフレッドの親密度も維持していたから問題はないが……こんなの、ゲームのシナリオにない展開だ。

だから、ローラは呆然とする。


「なん…で……なんでなんでなんでっ‼︎」


どうしてシナリオ通りに動かない?

この世界は主人公のための世界なのに、どうして主人公の幸せを邪魔する?

ローラは怒りに身を任せ、手元にあったティーカップを床に叩きつけた。


「アリシエラ様っ⁉︎」

「出てって‼︎一人にしてっっ‼︎」


侍女を追い出し、一人になった部屋で頭を掻き毟る。

おかしい。

この世界はおかしい。


「あの女の所為だっ……悪役令嬢のっ……」


だから、ローラはミュゼを逆恨みする。

彼女が〝悪役令嬢〟という役割だから。

攻略対象達が徐々に消え去るのも。

ラグナがダンスパーティーの後に会いに来てくれないのも。

この世界が思い通りにならないのは……ミュゼの所為だと決めつける。


普通に考えたのならば、この世界がゲームの世界ではなくそれに類似した世界だと気づいただろう。

しかし、ローラはこの世界はゲームの世界だと思っていた。

それほどまでに、ローラはゲームのラグナを愛していたから。



彼女は二次元のラグナに本気の恋をしていたのだ。



だから、ローラはそのラグナを手に入れることができるチャンスを、どうしても失いたくなかった。

ミュゼに邪魔されるのが許せなかった。

………チャンスがあるなんて、ローラの思い違いでしかないけれど。



「ラグナ……好きなの……大好きなの……どうしてヒロインの私を選んでくれないの……?」



そうやって呟くローラの姿はとても不気味で。

姿だけを見れば恋に涙する乙女だっただろうが、その行動性は異常でしかなかった。








しかし、その夜、ローラが待ち望んでいた人が訪れる。

自室の扉の前にいるのは、漆黒の髪に黄金の瞳を持つ魔性の美青年。

見間違えのはずがない。

彼が、そこにいた。



「会いに来たよ」

「……………ラグナ、様…?」



ローラは静かに涙を零す。





彼女が愛しているラグナが、会いに来てくれたのだから。






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