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幕間・幻竜が歩んだ道のり


ラグナの眷属ではないけど、共にいるマキナのお話です。

タイトル通り、マキナの正体が分かります‼︎

まぁ、マキナは本編で何も説明なかったですからね‼︎


取り敢えず……よろしくどうぞ‼︎







灰銀の髪に金色の瞳。

幼いながらも美しい顔立ちの少年の名前はマキナ。


生まれて間もなく、ラグナに拾われた《迷霧の幻竜》である。





ことの始まりは、マキナが百歳(人間年齢にすると五歳ほど)の時のことだ。



幻竜種というのはその名前で自身の存在を定義する。

もっと分かりやすく言うと、名前を持って自分の力を固定するのだ。

マキナは一応・・幻竜種ではあるが、正確には水竜と幻竜のハーフで……幻覚魔法や水を操ることができた。

加えて、マキナは固有能力とも言える……特別な力を持っていた。



その能力は、他の存在の能力せいしつを自身に付与すること。



例えば、インビシブルは気配すらも遮断する隠密能力を持つ。

それはインビシブルだけが有する唯一無二の能力だ。

しかし、マキナはその性質をコピーして自分に付与することができる。

付与できる能力は毎回一つだけだし、本家と比べると若干劣化版ではあるが……それでも、竜の中でも異例な力だった。

ゆえにその力が備わる肉体うつわが成熟するまでは……通常なら五十年で事足りるが、マキナはその時まで名前を与えられていなかった。




そんな名無しの幻竜だった頃。

両親と幸せに暮らしていたマキナの日常を奪ったのは、竜狩りだった。

竜狩りとはその名の通り、竜を狩る者達を指し示す。

幻竜はその身に強い、幻覚効果やステルス効果を持ち、隠密などの装備で重宝される。

水竜はその美しい水面のような鱗や、角などが装飾品として加工される。

つまり、マキナの両親は金儲けの材料として狩られてしまったのだ。



マキナが無事だった理由は……それこそ親の愛としか言えない。



マキナの両親は死してなお、暫くの間……マキナの姿が認識できなくなる魔法を使った。

どれだけマキナが泣き叫ぼうとも、その声は聞こえない。

その気配は辿れない。

ただ、目の前で両親が死ぬところを見ていることしかできなかった彼は……数百年後、一体の竜と出会う。



それこそが《破滅の邪竜》……ラグナだった。



ラグナは竜種の中でも、かなり特殊性が強い能力を持つ子竜が、死ぬことすら忘れてそこにいたことに、気まぐれを起こし……。

なんとなくでソレを連れ帰ったのだ。

特に何かをする訳でもなく。

語らうことなく。

食べ物を与えることなく。

ただラグナはマキナを側に置いていた。


拾ったからには、それなりに世話をするのが人間の常識である。

しかし、ラグナは邪竜で。

その当たり前はラグナにとって当たり前ではない。

当時のラグナにとって、この世の全ては等しく特別ではなかったから。

全て、破滅へと至るモノでしかなかったのだから。

だから、ただ、なんとなく側に置いてはいたけど……それ以上は何もしなかった。



そして、それはマキナにとっても居心地が良かった。



いつも悩んでしまっていた。

どうして両親は一緒に死なせてくれなかったのだろうと。

どうして置いて逝ってしまったのだろうと。

悲しくて、悔しくて、憎くて……でも、弱虫な彼は何もできなくて。

独りで泣いていた。

でも、ラグナはそれに救いの手を差し伸べることはなかった。


結局、そんな風に泣いていようが……マキナは救いの手を差し伸べられていたとしても、取ることはできなかったのだ。

いや、しなかっただろう。

他人に、自分の気持ちが分かるはずないと。

親を亡くした自分の気持ちなど、理解できるはずがないと思っていたのだから。

だから、自分で割り切るしかなかった。

自分で気持ちの落とし所を見つけるしかなかった。

でも、そうやって強がっても独りでいるのは寂しくて。

だから、ただ側にいるだけの関係が居心地良かった。

必要以上に関わらず、だが共にいるだけの存在。

互いの傷を舐め合うような関係ではない。

何か特別な感情が芽生えることはない。

気まぐれだけで成り立った関係は……独りになったマキナに、ほんの少しだけ力を与えて。

散々泣いて自分の足で立つ覚悟ができた時、

マキナはラグナの生き方を道標にした。





それから、数百年が経って……またラグナの気まぐれで魔物の眷属が増えたり。

ラグナの代わりに彼らと交流することで、独りだと思っていても他の存在と共に生きているということを学んだり。

ラグナの生き方は強いがゆえに成り立つモノだと知ったり。

他との関わりで、様々なことを知った。

そして……いつしか彼は、自分という存在を〝マキナ〟と名で確立した。



迷い迷って……邪竜ラグナを道標に、他者との関わりを経た自分は《迷霧の幻竜》だと、定義した。




そして、また数百年経って……。

ラグナが愛しの花嫁を見つけて、溺愛したり……彼女のために、復讐に駆り出されたりとラグナのワンマンプレーの一面を新たに知ったり。

永く生きていても知らないことはまだあるのだなぁ……と無表情ながらに思った。





まぁ……その更に千年以上後には。

邪竜と花嫁の子孫であり……先祖返りの少女の従者になって、なんだかんだと事件に巻き込まれたり、溺愛したりするのは、また別の話だ。









もう一つの作品『伯爵令嬢はヤンデレ旦那様と当て馬シナリオを回避する‼︎』も読んでくださっている方もいらっしゃるそうです‼︎

シリアスダーク(?)溺愛系なこっちと、コメディー溺愛系なもう一方でかなーり感じが違うのですが、今後も毎日交互に更新できるよう頑張ります‼︎

両方ともよろしくどうぞ‼︎

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