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来た道を引き返す間、モンスターや魔物には遭遇しなかった。
ちょっとばかし狭い道で吹き飛ばされるモンスター達というのを見てみたかった。
と思うのも束の間。
元の道に戻った途端、ウッドランがこんにちは。
「エアブロー!」
ラビの指輪が緑に光り、ウッドランは壁に打ち付けるように吹き飛ばされた。
衝撃で蔦がぼろぼろと落ちる。一緒にウッドランも。
「トドメだよー!」
無防備になったウッドランにシロハさんがナイフでひと割き。
ウッドランは動かなくなった。
「一瞬だ……」
「先に進みましょうか」
倒れたウッドランを気にすることなくシロハさん達は先に進む。
攻撃手段もそれっぽいのもないし、ウッドランって見た目だけで実は弱いのか?
キノコマンみたいにやられた後胞子を出す訳でもないし、ただ走って突っ込んでくるだけ。
まあ、シロハさんとラビが有無も言わさず倒しているだけかもしれないが。
そんなことを思案しながらシロハさん達の後ろについて行く。
「ご主人様! 青い地面が見えるんだよ!」
ラビの声を聞いて小走りして近づくと確かに青い光が見える。
魔具かもしれない石を見つけたし、一旦帰還してもいいかもしれないな。
多分、ラビもそれを意図して言っているんだろし。
「どうされますか?」
遅れてクロハさんが俺に尋ねてくる。
どうしよう。戻ろうかな?
そう思いながらポケットに仕舞っていた赤い石を取り出す。
見た感じ魔具ではない、単なる石、良く見て宝石。
ここまで来るのも大変だったしな……。
違った場合また来るのが辛い。
「もう少し進みます。これが魔具かはわからないので!」
「かしこまりました」
「了解なんだよ!」
「オッケー!」
赤い石をポケットに仕舞って、動き出すシロハさん達の後ろに着いていく。
もちろん青い地面をスルーして先を進む。
「今度は赤い地面が見えるんだよ!」
「次に行こうかー!」
「次の階層に期待です」
「無理はしないでくださいね」
俺達は赤い地面に飛び込んだ。
~第17階層~
「芝じゃなくて草原です……」
第17階層に着くとやっぱり緑の量が増えていた。
芝はくるぶしほどの長さの草になっている。
壁にまとわりつく蔦の量も増えている。
緑が濃い。この先はどこまで濃くなるのだろう?
ジャングルとかになるのかな?
ちょっと見てみたいな。最終階層まで行くのもありかもしれない。
そう思いながら先を歩く二人に着いて行く。
「………………」
さっきの階層よりかは歩きやすい。
柔らかいものを踏むと言うより草を潰して進む感じ。
走ったら草に滑ってこけそうだ。
「………………」
前方の二人を見る。
あの二人は大丈夫かな?
明らかに走りにくいはずだ。
走ってモンスター達に突っ込むシロハさんは動きにくいはずだ。
それに戦う時、滑ってこけたりしないだろうか。心配だ。
そう思いながら自分が足元を滑らせてこける。
「い、たたた……」
「大丈夫ですか?」
言いながらクロハさんは手を差し伸べてくれる。
「はい、大丈夫です……」
答えながら腕を取って起き上がらせてもらう。
少し恥ずかしい。
「行きましょうか」
「はい!」
気を取り直して再び歩いていく。
転ばないように、転ばないように。
時々足元を見ながら背中に着いていく。
「あれ? あの光って」
五分程まっすぐな道を歩いていると赤い地面が見える。
道中、分かれ道や宝箱など全然見つけられなかった。
この階層は短いのかな?
「どうするアリスお嬢様ー? 先にまだ道はあるけどー?」
「私はまだ探索したほうが良いと思うんだよ」
「そうですね。宝箱もこの先にあるかもしれませんしね」
「奥に進みます!」
俺の返事を聞いてシロハさんは「了解ー!」と言いながら奥の道へ進んでいく。
次の階層に行くのも良いがクロハさんの言う通り宝箱があるかもしれないからな。
確認してから戻ってくればいいだろう。
◇
進むこと10分(体感)。
シロハさんが何かを見つけたようだ。
「何かあるよー! もしかしたら宝箱かもー!」
「確かに見えるんだよ!」
シロハさんとラビの声を聞いて俺も歩みを早める。
もちろん転ばないようにだ。
足元には細心の注意を払う。
「本当だ!」
二人がさっきまで居た位置に立つと確かに宝箱のようなものが見えた。
これは期待できる。
「宝箱だねー!」
「確認するんだよ!」
先に向かっていた二人に追い付くとラビが宝箱に小石をぶつけていた。
反応はないようだし、問題はないようだ。
「来たねー! アリスお嬢様ー!」
「ご主人様! 開けても大丈夫なんだよ!」
「はい!」
宝箱に手を掛ける。
一体何が入っているのかな?
一回目は金貨、二回目は赤い石。
そろそろ魔具が入っていてもいいはずだ。
俺はワクワクしながら勢いよく宝箱をあける。
「これって……」
『はずれ』
「……あー」
「わ、私じゃないんだよ!」
「天然ものですかね」
俺は『はずれ』を破り捨てた。
「次行きましょう!!」
「アリスお嬢様、おこだねー!」
「ほ、本当に私じゃないんだよ!」
「次に期待しましょうか?」
俺は露骨に機嫌が悪くなりながら、元来た道を5分かけて(体感)また、引き返すのだった。




