表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/396

04

 

「どこ? と訊かれるとそうですね……」

「ここはルベリア。遺跡や美しい湖畔が有名ですね」

「ルベリア?」

「ご存じありませんか?」

「はい……全然」

「そうですか……」


 これからどうすればいいのだろう?

 予想するに、あの扉を通じてこの見知らぬ世界に来てしまったのだろう。

 だが、現在の状況が分からない。

 気づいたら馬車の中に居た。分かるのはそれだけだ。


「あの? お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「名前?」

「はい。お名前です」

「服装を見る限り、身分の高いお家のご令嬢とお見受けしますが……」


 名前……? そういえば思い出せない? どうしてだろう?

 それにご令嬢? この人は何を言っているのだろうか……?


「……分かりません」

「そうですか……困りましたね」


 本当に困ったような顔をしている。何か悩んでいるようだ。

 俺はどうしていいのか分からず彼女を見つめる。


 長い紫色の髪に見慣れた黒い瞳。

 スラっとした身体のわりに胸がとても大きい。

 それに着ている服が特徴的だ。


「メイド服?」

「これですか?」


 黒いワンピースのような服に、要所要所がフリル調の白いエプロン。

 首元に彩られている碧色のブローチは、まさしく俺の知るメイド服だ。


「そういえば(わたくし)の自己紹介をしておりませんでした」

「私はヨツバ家にお仕えしております、クロハと申します」

「ご想像の通り、メイドをさせて頂いております」


 スカートの両端を軽く持ち上げ挨拶をしてくれる。


「あ、あの!クロハさん!」

「何でしょうか?」


 俺は。 と言いかけて止める。

 この姿で言うと違和感しか感じないだろう


「その……私はどうして馬車に乗せられていたのでしょうか?」

「事情をお話しておりませんでしたね」


 クロハさんは今に至るまで経緯を説明してくれた。

 クロハさんが仕えているお嬢様の命令で、ワインの買い出しをしていたこと。

 その帰り道に倒れている俺を見つけて、馬車に乗せて保護してくれたらしい。


「助けていただいて本当にありがとうございます」

「いえ、偶然お見掛けして保護しただけですので」

「あ、あの! 実はお願いがあるのですが……」

「お願い……ですか?」

「私を助けてください!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ