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~第11階層~


「ドンドン行こうー!」

「だよー!」


 第11階層に着いて早々、シロハさんとラビは勢いのままに進んでいく。

 一応トラップには警戒しているようだが、ペースが早いので追い付くのが大変だ。

 正直クロハさんが居なかったら置いてきぼりにされてた気がする。


「クロハさん、二人がどんどん小さく……」

「急いでトラップを見落とすと危険なのでゆっくり行きましょう」


 小さくなる背中を見つめながらゆっくりと歩いていく。

 道中スライムの死骸や炭の塊が落ちてる。

 だけどシロハさんとラビは戦闘しながらなのに全然速度が落ちてない。


「クロハさん、私が足が遅いばかりにすみません」

「いえ、私もあんなに早くは走れませんよ」


 苦笑いしながら謝る俺に「二人が早すぎなのです。気にしないでくださいね」とつけ足してクロハさんは気遣ってくれる。もう気にするのはやめよう。



~第12階層~



 シロハさんとラビは相変わらずの速度で進んでいく。

 俺とクロハさんは道端のトラップに気をつけながら後ろを進んでいる。

 入ってすぐはシロハさん達がトラップを確認していたのに、今では自分たちでやらなくてはいけない。

 お陰で俺もトラップの見分けが出来るようになってきた。


「クロハさん、この出っ張りってトラップですか?」

「そうですね。気を付けてください」

「はい!」


 これしかすることがない。

 ノーリ遺跡の時は、目の届く距離で戦闘が行われたいたので戦う姿を見るとかしてたなー。

 隣にイノリお姉ちゃんが居て、一緒に喋ったり。

 けど……。


「こちらにもありました」

「こっちもです」


 トラップの話しかしてない。

 しかも発動すらしてないからどんなトラップかもわからないし。

 トラップ報告合戦。正直ひどすぎる。

 そしてたまに気づいたように


「ラビたち早いですねー」

「そうですね。楽でいいですけどね」


 と会話するだけ。

 ワクワクしない。ドキドキしない。

 まあ、魔具が見つかるのは第15階層以降だからそれまで淡々と行こう。


~第13階層~


 淡々と進んだ。

 シロハさんとラビが遠かった。



~第14階層~


 炭の塊がたくさん散乱していた。

 スライムの死骸もたくさんだった。



~第15階層~


「ガラッと雰囲気が変わりましたね」

「ええ、ここからが本番ですね」

「ここからは火気厳禁だよー!」

「もちろん分かっているんだよ」


 第15階層にたどり着くとシロハさんとラビは止まって待っていてくれた。

 それに一安心するのも束の間、明らかに先程までの階層と比べて雰囲気が異なる。

 壁にまとわりつく蔦。足元はなぜだか芝。なんだか緑がすごい。


「ここからはトラップを警戒しなくても大丈夫ですよ」

「なんでですか?」

「この階層からはトラップが無いからです」


 クロハさん曰く、この階層は蔦などがあるだけでトラップが無いらしい。

 強いて言うならばこの自然こそがトラップなのだと言う。

 なるほど。気をつけなければ。


「宝箱を探そうー!」

「おー! なんだよ!」


 二人は前を歩いていく。

 先程までと違って背中が頼もしい。


「歩きにくいですね」

「転ばないように気をつけてくださいね」

「はい!」


 クロハさんの隣を歩きながら二人について行く。

 ここに来てやっと緊張感が出てきた。

 ワクワクだ!


「モンスターだよ! キノコマン3……とウッドラン1!」


 視点を足元から正面に映すと、跳ねながら近寄ってくるキノコマンと走る小さな木が映る。

 木が根っこを足のようにしながら走ってる! なんだあれ!


「クロハさん! あれなんですか!」


 ウッドランと呼ばれていたモンスターを指さす。


「ウッドランですか? 簡単に言うと走る木です」

「そういうことじゃなくて!」


 言いながらもウッドランはどんどん迫ってくる。

 火気厳禁って言ってたしどうするんだろう?

 クロハさんの後ろに隠れながら見るとシロハさんが動き出す。


「まとめて片付けちゃうよー!」


 シロハさんが迫ってくるキノコマンとウッドランに向かって駆け出す。

 そしてキノコマンとウッドランを通り過ぎた。


「えっ?」


 俺が声を漏らして数秒。キノコマン達とウッドマンの動きが止まった。


「なんで止まって」

「終わったよー!」


 シロハさんがそう告げるとキノコマンとウッドマンは、バタンと音を立てて倒れた。

 通り過ぎただけだよね?

 思わず確認しようと一歩踏み出してクロハさんに肩を掴まれ止められる。


「アリスお嬢様。胞子が出ているので近寄ってはいけませんよ」

「あっ、ごめんなさい」


 そういえば身体がマヒする胞子を出すんだっけ。

 立ち止まって見ているとキノコマンから黄色の煙が出始める。

 あれがそうなのだろう。危うく危険に近寄るとこだった。


「ここは私に任せるんだよ!」


 ラビの付けている緑色の指輪が光り出す。

 あの指輪って!

 ラビが部屋の掃除の時に使おうとしていたやつだ!


「エアブロー!」


 ラビがキノコマン達に向かって唱えると、黄色の煙が一瞬で吹き飛ばされる。

 ついでに残骸まで吹き飛んだ。


「終わったんだよ!」


 滅茶苦茶だ! 掃除の時に使っていたと言っていたから、もっと……こう……埃を払うぐらいのものを想像していた。けど目の前のそれは暴風だった。飛んでったよ! シロハさんの方に!


「すごい風だねー!」


 シロハさんに危ないと伝えようとしたら何食わぬ顔で飛んでいくキノコマン達を躱していた。しかも全然風の影響を受けていない。


「風魔法の魔具ですか。すごいですね」

「言う割にクロハさん全然驚いてないですね」

「私も使えますからね」


 どうやらラビがやらなかったらクロハさんがしていたらしい。

 これ倒す前に吹き飛ばすのは駄目だったのかな?

 そんな疑問を持つ前に「進みましょうか?」と促される。


「分かれ道だよー! どっちに行くー!」

「右にするんだよ! 何となくありそうなの!」

「では右にしましょうか?」

「はい……そうですね」


 周りと比べてテンションを少し下げながら右へと向かうのだった。


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