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お屋敷でのんびり過ごす事1日が経過した朝。俺達はアジーン遺跡の扉の前に居る。
俺達と言ってもメンバーは俺、クロハさん、シロハさん、ラビの四人だ。
イノリお姉ちゃんは若干行きたがっていたが、今回の目的はイノリお姉ちゃんために魔具を手に入れることなので「本末転倒になるから駄目です」と言って説得した。
イロハさんはイノリお姉ちゃんのお世話だ。さすがにフルメンバーは叶わなかったが今回はラビがいるので人数的には問題ないだろう。
ワズディン? そもそも誘ってないです。お屋敷からアジーン遺跡まで寄り道しなかったので、ギルドはもちろん行ってません。イロハさんに依頼のお願いもしてないからな。来ることはないだろう。今頃ハゲディンとしてきっと街を明るく照らしているに違いない。
「ご主人様! そろそろ行くんだよ!」
「はい! お願いします」
「では打ち合わせどおりに」
「了解ー!」
扉を開いて遺跡の中に入っていく。
眩い光と共に見知った第一階層へと飛ばされた。
~アジーン遺跡・第一階層~
「来ましたね。では行きましょう」
クロハさんがそう言うシロハさんとラビが前に出る。
事前に打ち合わせていたのはこうだ。
前衛にシロハさんとラビで持ち前のスピードでモンスターや魔物を掃討。
後衛にクロハさんで打ち漏らした敵を魔法で撃滅。
俺はその間で応援。戦えないのでそれしか出来ない。
一応ラビが魔具を貸してくれると言ってくれたが、初めて使う魔具はイノリお姉ちゃんと一緒に。と、心に決めていたので断った。
「とりあえず行きましょう。第4層までは以前も行きましたし覚えてますよね?」
「はい! 一応気をつけますがお願いします!」
クロハさんの後ろに着いて赤い地面に入る。
大体のトラップの位置は覚えているけど気をつけないとな。
「サクサク行くよー!」
「任せるんだよー!」
ハイテンションの二人がモンスターを蹂躙する。
圧倒的戦力差。地面にスライムの死骸が散らばっている。
そんな訳で第四階層までは知っていたのであっという間に第五階層に着いた。
~第五階層~
「ここからはアリスお嬢様は初めてですから十分にお気をつけください」
「はい! もうべったり着いて行きます!」
ここからは俺は未到の地なので大人しく進むしかない。
まあ、二人に任せていたら安心だけれども。
前衛に目を向ける。
時々こちらを気にしながらトラップなどに警戒して進んでくれている。
お陰で後を着いていくだけで安心だ。
「モンスターだよー! スライム3ー!」
「ファイア!」
ラビの指輪から炎の玉が出て、一瞬でスライムは崩れる。
瞬殺。正直一騎当千状態だ。
シロハさんがナイフで攻撃する前にラビが倒してしまう。
本当にトラップだけ警戒してればいい。見たいになっている。
「そこの床の出っ張りトラップだから気を付けてねー!」
「あそこの色の違う壁も触っちゃ駄目なんだよ」
「はい!」
こんな感じで、
第六階層。
「てい!」
第七階層。
「ファイア!」
第八階層。
「トラップ気を付けてー!」
第九階層。
「あっちなんだよ」
あっさりと進んだ。
~第10階層~
「やっぱりここからは雰囲気が違うんですね」
「モンスターも魔物もノーリ遺跡と異なるので気を付けてください」
第10階層まで行くとノーリ遺跡同様、扉が乱立していた。
確かアジーン遺跡の最終階層も20って言っていたから、ここからが本番だろう。
「こっちなんだよ」
「さすが一人で潜っていただけあって知ってるねー!」
「正直掃除よりも得意なんだよ!」
前衛の二人は沢山の扉に迷うことなく進んでいく。
むしろ楽しく会話しているよ……。
確かに掃除をしていた時よりもラビは活き活きしている。
やっぱり生粋の冒険者ということなんだろう。
「魔物なんだよ! キノコマン1」
「サクッとやっちゃうねー!」
初めて聞く名前に正面の戦いに注目する。
キノコマンは顔の付いた子供位の大きさのキノコだった。
髪型(傘)がてんとう虫みたいな模様で身体が白い。
顔はなんだか眠たそうだ。
グサッ!
「ファイア!」
一瞬で倒された。
キノコマンが炭になった。
「クロハさん、キノコマンって倒し方みたいのがあるんですか?」
「よく見てますね。さっきシロハとラビがやったのが良い例ですね」
キノコマンは少々厄介な魔物のようだ。
倒すときに一撃で絶命させないと悲鳴を上げるらしい。
その悲鳴が他のキノコマンを呼び寄せるだとか。
後、倒した死体をそのまま放置すると身体がマヒする胞子を出すらしい。
だからラビは最後に炭にしたんだな。
正直オーバーキルだと思って「キノコマン可哀そう……」とか思ったがあれで正しいんだな。
見た目もキモ可愛くないので、まあ、あまり抵抗はないな。
「アリスお嬢様ー! 行くよー!」
「赤い地面なんだよ!」
炭になったキノコマンを眺めていると、二人が赤い地面の前で待っていた。
こんなものを見ていてもしょうがない。クロハさんも待っていてくれているしな。
俺はシロハさん達の方へ向かって歩く。
「今行きます!」
「そこの壁にトラップがあるので触れないようにしてくださいね」
クロハさんの注意のもと、俺は赤い地面の中に入り、第11階層へと飛ぶのだった。




