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「………っ、あれ?」
目を覚ますと見知ったベット上だった。
あれ? 俺は確か風呂に入って……。
そこまで考えて原因に思い到る。多分またのぼせて運ばれたのだろう。
「よいっしょ」
ベットから降りて周囲を見るとクロハさんが座りながら眠っていた。
多分また介抱していてくれたのだろう。
「二人は今日はいないみたいだな」
痺れを感じない腕を見て安心する。
また気づいたら一緒に寝ていたとかは心臓に悪いからな。
「クロハさん」
俺はクロハさんに駆け寄り起こすため肩を軽く揺する。
すると僅かに吐息を吐いて目を覚ましてくれる。
「……すみません眠ってしまいました」
「いえ、謝らないでください。また運んで介抱してくれていたんですよね? ありがとうございます」
これで何度目だろうか? そろそろ耐性と言うか……何とかしないと。
気絶する前のことを思い出すと正直鼻血が出そうになる。
全身をくまなく……思い出すのはよそう。
「いえ、当然のことですので。それよりお身体は大丈夫ですか?」
「はい。もう何ともありません」
「そうですか。それは何よりです」
俺がはにかむながら答えるとクロハさんは胸を撫で下ろしてくれる。
これ以上迷惑はかけられないし部屋に戻ってもらおう。
「多分もう夜も大分遅いですよね? クロハさんも自分の部屋に戻ってください」
「そうですね」
イロハさんは身体を起こして扉の方へ歩いていく。
俺はそれを見送るように歩いてく。
「それでは失礼させてもらいます」
「はい。おやすみです」
クロハさんが部屋を出て行ったのを確認して、再びベットに戻る。
今日は、いやもう昨日なのかな、とにかく疲れたな……。
ラビに着いていって色々見ていただけだったが、あちこち行ったので身体がくたくただ。
クロハさん達メイドはいつもこうやって仕事をしているんだろうなー。
考えるだけで大変だ。実際にやるのはもっと大変だろう。
「今日はどうしよう」
個人的には『はずれ』の犯人捜しも終わったし、魔具探しを再開したいのだが、メイド業も忙しそうだしな……。
まあ、明日聞いてみるか……。
そう思いながら俺は眠りについた。
◇◇◇
扉の開く音に気づいて目覚めるとクロハさんとラビが部屋の中に入って来るのが見える。
起こしに来てくれたのかな……。
目をこすりながらベットから降りる。
するとラビの元気な声が部屋に響いた。
「おはようなんだよー! ご主人様ー!」
「……おはよう。ラビ」
挨拶しながらラビをまじまじ見るとメイド服だった。
そうか、昨日正式にメイドになったんだけ?
まだ少し寝ぼけているな……。
「おはようございますアリスお嬢様。早速ですが着替えましょうか」
「ラビに任せるんだよ!」
いつも通り万歳をするように手をあげるとクロハさんが寝間着を脱がしてくれる。
すっかり着替えさせてもらうのも慣れたな。
そう思いながらラビを見ると、下着を引っ張ろうとしている。
「ラビ……何してるの?」
「? 下着を脱がしているんだよ?」
首を傾げながらラビは引っ張るのをやめない。
おいおい、朝から素っ裸になる気はない。
「ラビ。下着は着替えさせなくても構いません」
「え? そうなの?」
クロハさんがそういうと、ラビは引っ張るのをやめてくれる。
グッジョブ! クロハさん!
心の中でそう親指を立てるといつもの恰好に着替え終わっていた。
「終わったんだよ!」
「もう手を下ろしてくださって大丈夫ですよ」
それを聞いて上げていた腕を降ろす。
朝食を食べに行くか?
「ご飯の準備は出来てるんだよ!」
「一緒に参りましょう」
「はい!」
眠気も大分取れたので元気に返事をして俺達は部屋を出て行った。
~ダイニングルーム~
「おはようー! アリスお嬢様ー!」
「おはようございますシロハさん」
部屋に入るとシロハさんがテーブルの上に料理の配膳をしていた。
イノリお姉ちゃんとイロハさんはいないみたいだし、起こしに行っているのかな?
「今日の朝食はオムレツだよー!」
「それは楽しみです!」
とりあえず席に座ってイノリお姉ちゃんを待つ。
多分そろそろ来るだろう。
そう思っていると扉が開きイノリお姉ちゃん達が部屋に入ってくる。
「おはようございます」
「おはよう………………………」
「おはようございますアリスお嬢様」
眠たそうに目をこするイノリお姉ちゃんの横でイロハさんが身体を支えている。
夜更かしでもしていたのだろうか?
だいぶ眠たそうだ。
「揃いましたし朝食を頂きましょうか」
全員着席したのを確認してそれぞれ頂きますを言って食べ始める。
ふわふわでおいしい。
誰が作ったのかな?
「このオムレツは誰が作ったんですか?」
「私だよー!」
「すごくおいしいです!」
「そうー! ありがとうー!」
なるほどシロハさんだったか。
もしかしてラビが!? とか思ったがそんなことは無かったようだ。
そうこうしながら食べ続け、皿に料理が無くなるとクロハさんの口が開く。
「アリスお嬢様、本日はどうされますか?」
「あの……魔具探しを再開したいですけど大丈夫ですか?」
忙しいのはわかっていたので控えめに尋ねる。
するとクロハさんではなくラビが答えた。
「魔具探しなら私に任せるんだよ!」
口にケチャップをつけたラビが隣で「任せろ!」と自分の胸を叩く。
俺はそっと拭いてあげる。
「ラビは大丈夫なの? 今日からメイドの仕事を本格的にするんじゃ――」
「私の最優先はご主人様だから問題ないんだよ!」
それを聞いてイロハさんは呆れた顔をしている。
まあ、昨日今日では直らないか。
「ラビ一人のお供では遺跡には行かせられませんね」
「だねー!」
クロハさんとシロハさんは当然のようにラビを止める。
まあ、当然か。
「ですのでアリスお嬢様。本日は遺跡行は許可できません」
「やっぱりそうですよね……」
まあ、そう言われると思っていたからショックではないけど。
けど行きたかったな……。
「ですので明日にしてください。それでしたら本日中に準備しますので」
「え、良いんですか?」
しばらくは行けないだろうと思ったから驚きだ。
「まあ、前から行きたがってたのは知ってたからねー!」
「ですので本日は屋敷でゆっくりしてください」
どうやら行ってもいいらしい。
や、やったー!
「ラビも明日着いて行くんだよ!」
「そうですね。ラビも同行してください」
イロハさんも同行の許可が出る。
一人で遺跡を探索していたほどの実力だし、正直ワズディンさんよりかは遥かに頼りになる。
「わかりました! 私、今日は屋敷で大人しくしてます!」




