表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/396

45

 

 卓上に料理がぞろぞろと並べられていく。

 クロハさんが作っていたチキンソテー、ラビが作ったポトフ、等々。

 見ているだけで涎が垂れそうだ。


「お待たせしましたお嬢様方」

「うん……………………早く食べたい」

「そうですね! 私も早く食べたいです!」


 いつもながらに美味しそうな料理の数々を目の前にして気分が高まる。

 特に今日は目の前で作るところを見ていたから待ちきれない。


「それではいただきましょうか?」


 イロハさんが全員着席したのを確認して号令する。

 やっと食べれる!


「頂きます」

「いただきます!」

「いただきます…………………」

「いただきますなんだよ!」

「頂きますー!」

「頂きますね!」


 俺はスプーンを手に取り、ポトフに注目する。

 野菜がゴロゴロと入った琥珀色のスープ。

 作っている時からずっと食べたかった。

 俺は半透明に透き通るキャベツを口に含む


「おいしい!」


 さっき作ったばっかりとは思えないくらいに味が染み込んでいる。

 柔らかくてそれでいて確かに繊維の感触があって心地よい。

 それにこのスープが凄い。

 イロハさんが(もしかしたらクロハさんが)事前に作っておいたのだろう。

 なんというかコクが強い。

 口の中に鶏のうまみやハーブの香りが絡みついて、最後にコトコトと煮込まれた野菜の甘みが口いっぱいに広がる。

 こんな美味しいポトフ食べたことも無いや。


「うん! おいしんだよ!」

「おいしい………………………」


 ラビ達も俺と同じようにポトフから食べたようで、美味しそうに頬を緩ませる。


「おかわりは沢山ありますから遠慮しないでください」

「ホントに美味しいねー! シロハどんどんお替りしちゃうよー!」

「シロハは自重しなさい!」


 シロハさんもどうやら気に入ったらしい。

 二人も口角が少し上がっている気がする。

 本当においしいよな。


「次は……」


 ナイフとフォークに持ち替えチキンソテーを食べやすい大きさに切る。

 どれどれ一口。


「うん! こっちもおいしいです!」


 皮はサクサク、身はジューシー。

 噛みしめる度に肉汁があふれ出す。

 塩加減というか掛けられたソースが油のしつこさを緩和して全体的に食べた後あっさりしている。

 なんていうか……いくらでも食べられそうだ。


「こっちも美味しいんだよ!」

「サクサク………………………ジューシー」

「お気に召してもらえたようで何よりです」


 皿の上の料理はあっという間に無くなっていく。

 まだまだ食べたいのにお腹がもう一杯だ。

 俺がフォークとナイフを置くと、イロハさんがタイミングよく口を開く。


「今日一日ラビット様にメイド体験をしていただきましたが、いかがでしたか?」

「そうですね……色々ありましたけど一応仕事はこなせていましたからね」


 皿を割ったり洗濯はめちゃくちゃだったけど。

 まあ、言われたことはちゃんと出来てたとは思う。


「私はメイドにしていいと思いますよ」


 俺がそう言うと、横に座っているラビが目を輝かせてこちらを向く。

 だが、今日一日思ったことがあったのか、躊躇うように尋ねてくる。


「本当に? 本当に私がメイドになってもいいの?」

「はい、私は良いと思います。もちろん皆がどう思っているかは別ですけど」


 俺はみんなの顔を見る。


「うん………………………」

「私もいいと思うよー!」

「そうですね。人手が増えるのは助かります」

「駄目な部分はこれから直していけばいいですからね」


 皆の賛同を得らえれる。

 問題はなさそうだ。


「そういうわけだから、今日からラビはメイドで決定です!」

「や、やったんだよ!」


 ラビは俺に抱き着いてくる。

 瞳に僅かに涙をにじませているが笑みで溢れている。


「ご主人様! ありがとうなんだよ!」

「私は何もしてないですよ。ポトフ美味しかったです」


 第2回ラビをどうするか会議を開くまでもなかったな。

 まあ、イロハさんの指導の下頑張れば大丈夫だろう。


「それではラビット様ではなくラビットとお呼びしないといけませんね」

「そうだねー! よろしくねラビットー!」

「ら、ラビで良いんだよ! こちらこそよろしくお願いしますなんだよ!」

「明日からはビシバシいきますので、そのつもりでよろしくお願いします。ラビ」


 ラビはイロハさん達に温かく迎えられたようだ。

 初めこそ不安だったけど、どうにかなるもんだな。


「ラビ………………………命令し放題」

「私はご主人様の言う事しか聞かないんだよ!」


 イノリの不敵な笑みにラビはあっかんべーと否定を示す。


「家長は私…………………………」

「私はご主人様のメイドなんだよ! イノリなんて知らないんだよ!」


 そんな二人のやりとりを見てイロハさんは呆れていた。


「メイドが主を呼び捨てなのは直さないといけませんね……」

「そうだねー! ヨツバ家のメイドだもんー!」

「追々直していきましょうか」


 こうしてラビは正式にヨツバ家のメイドとして迎えられることになった。

 しかしまだまだ一人前には遠そうだ。


「ごちそうさまなんだよ!」

「ごちそうさま…………………」

「ごちそうさまでした!」


 ご飯も美味しかったし、良かった良かった。


「食べ終わりましたか」

「じゃあ次はー!」

「お風呂ですね」


 あっ、この流れって……。


「みんなで入る…………………」

「メイドとして背中を流すんだよ」


 またみんなでのパターンだ!! 


「私は一人で入りたいな……って」

「本日は大分ぬるめにしております」

「早く行こー!」


 腕を引かれて連れてかれる。


「全然よくないー!!」

「何がですか?」

「私にお任せなんだよ!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ