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「なんで着いてくるんですか……」
「釣れないことを言うなよ、俺とお嬢ちゃんとの仲だろう?」
俺たちはラビの尾行を続けていると、なぜだかワズディンさんも一緒に着いてくる。
正直これ以上人数が増えると目立ってしまうで離れて欲しいのだが……。
「ワズディンさん、正直邪魔です!」
「まあまあ、邪魔しないようにするから!」
む、全然引き下がろうとしない。
一体何を企んでいるんだ。
いや、ワズディンさんだし多分何となく着いて来てるだけか?
「ラビット様が店に入りました」
「ソーセージ屋……………………」
ワズディンさんの相手をしているとラビは既に店に入っていた。
次はソーセージ屋か……。というよりここでラストか。
メモ書きに野菜とソーセージだけだったしな。
野菜は既に買ったし、後はこれだけだ。
「今更だけどお嬢ちゃん達はどうしてラビットなんか付けているんだ? 同じ格好だしあの後どうなったんだ? メイドにでもしたのか?」
「えーっと、そんな感じです」
無視しても良かったがうるさいので適当に答える。
何とかワズディンさんを何処かに行かせる手段はないものか?
んー…………! 閃いたぞ!
俺は二人に気づかれないよう小声でワズディンさんに耳打ちする。
「ワズディンさん、ちょっとソーセージ屋に行ってラビの様子を見てきてくださいよ」
「俺がか? 別に構わないが……」
「さすがワズディンさん、頼りになる~」
頼りになるに反応して、ワズディンさんは鼻息荒めにソーセージ屋に向かっていた。
さすがワズディンさん、ちょろい。
「ワズディン………………きもい」
「行ってしまわれましたね」
「ソーセージを買いたくなったんじゃないですか?」
しれっと誤魔化して合わせる。
別に誤魔化す必要もないけど。
なんとなく……ね。
「とりあえず様子を見ましょうか」
~ワズディン視点~
店に入るとラビットの奴が最後尾に並んでいた。俺が後ろに並んだというのに全く気付いていない。お嬢ちゃん達と一緒でこの頭だから気づいていないのか?
「ふっふ~これで最後なんだよ」
両手に野菜の入った紙袋を抱えながら笑っている。なんだおつかいを任されていたのか? 俺はてっきりラビットがまた悪さをしないように監視をしていたのかと思ったぜ!
だがそれも思い過ごしだったようだな。だとしたらお嬢ちゃん達はなんで隠れながらラビットなんかを着けていたんだ? まあ、俺なんかが考えても仕方ないか。
「可愛らしいメイドのお嬢ちゃん、注文どうぞ」
気づくとラビットが先頭になっていた。ソーセージ屋の店主がやらしい目線をラビットに向けている。解せんな。
「ソーセージが欲しいんだよ!」
「どのソーセージが何本欲しいんだい?」
「えーっと……」
ラビットは両手に抱えた紙袋を一旦床に置くとポケットから一枚のメモ用紙を取り出す。
「12本欲しいんだよ!」
「ソーセージは何でもいいのかい?」
「えーっと、ちょっと待ってて欲しいんだよ!」
ラビットは再びメモ用紙に目を通す。どれどれ、俺もこっそりと覗き込んでみる。……ソーセージとしか書いていないな。
「わからないんだよ?」
「おつかいかい? どれどれおじさんに見せてごらん?」
ラビットは店主にメモ用紙を手渡す。書いてある他の食材を見て理解したのだろうか、店主は「なるほどね」と言って普通のソーセージを取り出す。
「はいよ、ソーセージ12本だ」
「ありがとうなんだよ!」
ラビットは麻袋からお金を取り出し、店主に渡す。
「はいよ、確かに」
視線こそ下卑たものだったが結構いい店主ではないか? 人は見た目で判断してはいけないな。
「お嬢ちゃん、可愛いからとっておきのソーセージを一本おまけしようか?」
「とっておき? どんなの?」
「それはね、おじさんのソーセージーだよ」
「? おじさんの?」
「すぐに用意するから……」
「店主! 急いでいるんだ! 至急ソーセージを一本くれ!」
単なるセクハラ親父だった!
このゴミ店主、衛兵を呼んで捕まえさせてやろうか!
「え? 男にはちょっと」
「? とにかく私は人を待たせているからもう行くんだよ」
ラビットは床に置いた紙袋の隙間にソーセージの袋を入れると、持ち上げて店の外へ出ていく。良かったぜ、これ以上あの店主と一緒に居させるのは良くない。はっ! まさかお嬢ちゃんはこれを見越して俺に様子を見に行くよう頼んできたのか!
「お客さん? 結局どのソーセージが欲しいだい?」
「いらん! 買う気が失せた!」
「? 急ぎで必要じゃなかったのか?」
怪訝な顔をする店主を無視して店を出る。
ラビットは無事買い物が出来たみたいだし、お嬢ちゃんに報告しよう。
そう思い、先ほどまでお嬢ちゃん達が隠れていた場所までいくと、もぬけの殻だった。
「あれ? お嬢ちゃん達は?」
~アリス視点~
「ラビット様が出てきましたね」
「買い物終了……‥………………」
「無事買えたみたいですね」
様子を見てくるように頼んだのにワズディンさん全然戻ってこないな。
もしかして普通に買い物しているんじゃ……。
……ワズディンさんだからありえなくもないな。
ハゲ頭になって改心したと言っていても所詮はワズディンさん。期待するのが酷というものだろう。
「急いで馬車の方へ戻りましょうか」
「うん……………………」
「そうですね」
ラビより先に馬車の方へ向かう。
そしてしばらく馬車で待機していると、紙袋を抱えたラビがやってきた。
「ご主人様ー! ちゃんと買って来たんだよ!」
「お疲様です!」
「お疲れ様でした、ラビット様」
「おつかれ……………………」
イロハさんはラビの荷物を受け取り馬車の荷台の方へ置く。
「それではお屋敷に戻りましょうか」
こうしてラビのおつかいは無事に終わるのだった。




