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 ラビの猛攻を全て受け切った俺は(殴られ続けただけ)無事イロハさんに救出された!

 しかし、ラビの機嫌は直ることなく、攻撃の矛先はイノリお姉ちゃんにシフトするだけだった!

 そんなラビを見かねたイロハさんは機転を利かせて仲良く買い物をして仲直り作戦を提案!

 まあ、実際は「次は買い物を致しましょう」と一言言っただけなのだが、そんなのは些末な事だ!

 ともかく俺たちはイロハさん先導の元、馬車に乗り込み、クロストへと辿りついたのだ!


「では……よろしくお願いしますね」

「任せるんだよ!」


 馬車を降りるとラビは一枚の紙と小さい麻袋を渡される。

 どうやらお使いリストとお金のようだ。


「心配ですね」

「うん………………………」


 実はこのお使い、ラビがちゃんと独りでお使いできるかどうかを見るものなので俺たちは同行しない。もちろん心配なので後ろからこっそり着いて行って様子を窺うわけだが……。


「やっぱり仲良く買い物するわけじゃないんですね」

「? 何かおっしゃりましたか?」

「い、いえ! 何も言ってないですよ!」


 仲直り作戦など俺の脳内だけの勝手な妄想だった。

 まあ、移動中の馬車でラビ独りに買い物をさせると聞いた時に「あ…違うのね」と心の中で呟いたのは言うまでもない。ちなみに後をつけるのをラビは知らない。


「よーし! 早速向かうんだよ!」


 ラビはメモに目を通すと足早に何処かへ向かっていく。

 そういえばイロハさんはラビに何を頼んだのだろう?


「行きましたね、それでは後をつけましょうか」

「は、はい!」

「尾行………………………」


 移動するイロハさんの後ろに着いて行く。

 正確にはラビに着いて行くイロハさんにだが、ややこしいな。

 ラビとイロハさんの距離間は大体30m、イロハさんと俺たち二人の距離間は3mと言ったところだ。イロハさん、ちょっと歩くの早いです。イノリお姉ちゃんと俺は少しだけ離れた距離なので、尾行の尾行みたいになっている。


「あっ! ラビが店に入りましたよ!」

「野菜屋……………………」


 二人の背中を眺めているとラビが野菜屋と書かれた看板の店に入っていく。

 頼んでいたのは野菜だったのか。

 そんなことを思っているとイロハさんが一旦こっちに合流する。


「店内に入るとさすがにバレてしまいますので出てくるのを待ちましょうか」

「はい!」

「うん…………………………」


 この間、非常に暇なのでイロハさんに何を頼んだのか聞いてみた。


「イロハさん、ラビに何をお願いしたんですか?」


 野菜屋に入っていったから野菜なのは間違いないと思うけど。


「そういえば言ってませんでしたね。こちらになります」


 イロハさんはラビに渡したのと同じ一枚のメモ書きを俺に見せてくれる。


<おつかいリスト>


 ・キャベツ    2個

 ・じゃがいも   6個

 ・玉ねぎ     3個

 ・ブロッコリー  2個

 ・ニンジン    2個

 ・ソーセージ  12本


「えーっと、これってもしかして」

「ポトフ………………………」

「はい、今日の夕食の食材でございます」


 どうやら夕食の買い物だったらしい。

 今日はポトフか……。あれって確か作るの簡単なんだっけ? あっ!


「もしかして今日の夕食! お昼同様に!」

「ラビが……………作る?」

「はい、お二人のご想像通りでございます」


 なるほど……、なるほど……。

 確かにこれならば基本切って煮込むだけなので下手な物は中々出来ないはずだ。

 でもお昼に食べたフレンチトーストは美味しかったよな?

 だからラビが料理下手というわけではないだろうけど。 

 まあ、あれも全部イロハさんの指示に従ってただけだったしな。

 作りやすいもので越したことはないと言ったところだろうか。


「おっ、誰かと思ったら嬢ちゃん達じゃないか!」


 考え事をしていると見知らぬハゲに声を掛けられる。

 なんだこのハゲ、随分となれなれしいな。


「お久しぶりです。先日はお世話になりました」

「? イロハさんの知り合いですか?」

「何を言ってんだお嬢ちゃん、俺だよ、ワズディン」

「え……、えぇぇーー!!!」


 見知らぬハゲかと思ったらワズディンさんだった!

 ハゲ頭だから気づかなかった!

 どうしたんですかその頭! あのアフロヘア―は一体どこに!?


「ハゲディン………………………」

「こっちのお嬢ちゃんは容赦ないあだ名をつけてくるな……」

「どうしたんですか! ハゲディn、ワズディンさん!」

「お嬢ちゃんも今ハゲディンって言わなかった? ねぇ?」


 俺の肩を掴んで問い詰めてくる。

 防犯ブザーがあれば速攻で鳴らすのだが、まあそんなものは無いので諦める。

 だが、本当にどうしてしまったんだ!?


「言ってないです! 空耳です! そんなことよりどうしてそんな頭に!」

「ふっ、それを聞くかい、聞いちゃうかい、お嬢ちゃん?」


 やけに聞いて欲しそうに詰め寄ってくる。

 きもいです! 気持ちが悪いです! 顔が近い!!


「いえ、やっぱりいいです。なので、とりあえず離してください」

「なに? そんなに聞きたいのか? 仕方がないな~」


 このハゲディン、離してくださいを話してくださいと勘違いしやがった。

 顔が近い! 近い! 近い! 助けてイロハさんー!


「あれは……お嬢ちゃんに叱られた時のことだった」

「イロハさんー! 助けてー!」

「ハゲディン様、衛兵を呼びますよ」

「そう一緒にアジーン遺跡に……って、あ! 悪い悪い!」


 イロハさんの鶴の一声でハゲディンさんは腕を放してくれる。

 危なかった……。もう少しで容赦なく金的をお見舞いするところだった。

 それをやってしまったら俺に変なイメージが付きかねないしな。

 奥の手は使わないに越したことはない。


「それで続きなんだが……」


 もう聞く気を若干失せていたが、ハゲディンさんは勝手に話続ける。


「あれは……お嬢ちゃんに叱られた時のことだった」

「そう一緒にアジーン遺跡に行ったあの日の事だ」


 続きとか言いつつ初めから話しているし。

 しかもそれ昨日の話じゃないですか!


「俺はお嬢ちゃんの言う通り、スライムの死骸を平然と宝箱に入れる究極のダメ男だった」

「いや、そこまでは言ってないです……」

「だが俺は改心した! 悪しき俺はあの忌々しきアフロと共に消え去ったのだ!」

「そ、そうなんですか。よかったですね」

「ああ! お陰でとても清々しい気分だ! 今日もギルドに行ってきたが俺をボンバーなんて呼ぶ奴は一人もいなかった! むしろ温かい視線を俺に向けて、『似合ってんぜ! その頭!』と新たな俺を歓迎してくれたくらいだ!」


 興奮気味に話してくる。喋り方とかも俺の知ってるワズディンさんじゃないんですけど。

 あと、多分それ同情かなんかだと思います。もしくはからかわれているか。正しくは「似合ってんぜ(笑)その頭(爆笑)」に違いない。


「これも全てお嬢ちゃんのお陰だぜ!」

「いえ、私なんて全然!」


 むしろ言い過ぎてしまったかもしれない。

 まさかワズディンさんがここまでするだなんて。

 まあ、よく見れば似合ってると思います。はい。


「謙遜しなくてもいいんだぜ! それしてもこんなところで何をしているんだ? 恰好もメイド服だし傍から見たら目立っていたぞ?」

「お嬢様方、ラビット様が出てきました」


 怪訝な顔で尋ねてくるハゲディンを無視して、野菜屋に視線を移す。

 紙袋を両手で抱えたラビがよちよちと歩いて出てくるのが見える。

 どうやら一応はちゃんと買えたようだな。


「移動しますね。こちらです」

「はい!」

「うん………………………」


「おーい、無視しないでー。はっ! もしかしてイケてる俺に照れているのか?」


 ハゲディンさんが何かを言っているが無視してラビの後ろをひっそりと付けるのだった。


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