03
身体が揺れている。初めに感じたのはそれだった。
ガタ、タ…ガタタ……不規則なリズムが刻まれているのが全身を伝ってわかる。
揺れる度に何かが肌に触れる。むず痒い、この感触はだろうか?
目を開ける。どうやら触れていたのは乾いた藁のようだ。
「……?」
横になったまま、周りを見渡す。
茶色い色の布テント? 藁の山、それと樽が沢山ある。
「気が付いたみたいですね。大丈夫ですか?」
声のする方へ振り向く、女の人が手綱を掴み、馬を引いている。
「ここは一体……え?」
「嘘だろ・・・?」
自分の声に驚く。
俺をお兄ちゃんと呼んでいた少女の声に瓜二つだったからだ。
「どうやら混乱しているみたいですね」
「そろそろ、街に着きますから安心してくださいね」
どうやら心配されているらしいがそれどころではない。
自分の手を見る。明らかに見慣れているものと比べて小さい
身体も見てみる、明らかに自分の知るものではない
「それに、これは……」
あの少女が着ていた服そのものではないか。
「一体何が起きているんだ」
混乱してきた、本当に何がどうなっているんだ
落ち着いて思い出してみよう。
確か、赤色の扉を開けて……それで吸い込まれて……
……そこから先が思い出せない。何が起きたんだろう。
「着きましたよ。動けますか?」
不快な揺れが収まり、手を差し出される
「はい……あの?」
「どうかしましたか?」
「ここは……どこですか?」