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~アリスの部屋~


「……寝れるわけがない」


 右手にはイノリお姉ちゃん。

 左手にはラビ。

 それぞれ俺の腕を枕にして大爆睡。


「う、動けないし……辛い」


 そんな状態があれから数時間。

 小さな体躯では寝返りを打つという抵抗すら叶わず、今の今まで俺は自由を奪われている。


「声を掛けても全然起きないし……」


 そろそろ腕が限界だ……。

 そう思っていると扉の方からノックの音が聞こえる。


「失礼します。……やはりこちらにおられましたか」


 部屋に入って来たのはクロハさんだった。

 自室に居るはず俺を起こしに行ったが、居なかったのこちらに来たと言うところだろうか? もしくは単にイノリお姉ちゃん達を起こしに来ただけかもしれないな。……分析している場合か!


「クロハさん~、助けて下さい」


 俺は涙目になりながら救援を求める。

 もう腕の感覚が無いんです~!


「? あ、なるほど……すぐにお助けしますね」


 俺の状況に気づいてくれたようで、二人を両脇に抱えて持ち上げてどかしてくれる。

 や、やっと解放された!


「ありがとうございますぅ~」

「大丈夫ですか? 立てますか?」

「ん~~~」


 身体を起こすため腕を動かそうと試みるが痺れて動かない。

 どうやら立ち上がるのは無理そうだ。


「駄目そうです~」

「あの状況ですと無理ありませんね」


 それでも自力でベットの上で起き上がろうと苦戦していると、クロハさんに抱きかかえられていた二人が目を覚ます。


「……………………?」

「と、飛んでいるんだよ!」


 首を傾げて「どうして持ち上げられているの?」と眠たげな目をこすりながら目覚めるイノリお姉ちゃん。全身をバタバタさせながら「離すんだよ~!」と抵抗して騒がしいラビ。起きた時のリアクションは互いに全く違うものの、最終的には「どゆこと?」と言いたげな目で二人は俺を見つめる。


「今起こしますね」


 そんな二人の顔を抱えているクロハさんが知るはずもなく「邪魔だから降ろしますね」と言わんばかりに二人をゆっくりと床に降ろす。そして俺の両脇付近を持ち上げて床に立たせてくれる。


「あ、ありがとうございます」

「いえ、それより腕は大丈夫ですか?」

「この通り……駄目みたいです……」


 まともに動かない腕をプラプラさせながら動かなさ具合を主張する。

 ちなみにクロハさんに確認させる意図だけでなく、二人に「イノリお姉ちゃん達のせいですよ!」と言う意味を込めてプラプラさせた訳だが、当の本人達はまったく気づいてくれないようだ。


「アリス……………………大丈夫?」

「ご主人様の腕がぷーらぷらなんだよ!?」


 あまりに無自覚なので「二人にせいです!」と怒るのを通り越して、呆れてしまう。

 まあ、悪気があってこの状況になっている訳ではないので、強く言えないというのもあるけれども。


「……はぁ~」

「お気持ちは察します」

「………………?」

「どういうことなの?」


 頭に「?」を浮かべる二人。


「大丈夫です。気にしないでください……」

「アリスが言うなら……………………」

「わかったんだよ!」


 クロハさんに温かい目で見られる。

 違うんです。責めても仕方ないから諦めただけです。


「とりあえず、朝食の準備が出来ておりますので移動しましょうか?」

「はい……そうですね」

「ご飯……………………」

「たくさん寝たからお腹減ったんだよ!」



 ~ダイニングルーム~


(両手が痺れてまともに食べれない……)


 目の前には美味しそうなタマゴサンドとサラダにスープ。

 しかし腕が言う事を聞いてくれないので一口も食べることが出来ない。


「アリス……………?」

「もぐもぐ、ご主人様は食べないの? もぐもぐ」


 二人はそんな俺を見て心配する。

 これはもう食べさせてもらうしかないか……。

 だが二人に食べさせてもらうのは危険な気がする。

 なので俺はクロハさんに目線でSOSを送った。

 しかし「両隣に二人が居るので食べさせるのは無理ですね」と申し訳なさそうな顔をする。表情だけでなんて言いたいか分かっちゃったよ。もう笑うしかない。

 俺は諦めて二人に救援を求める。このまま何も食べられないよりかはマシだろう。


「あの……二人にお願いがあるんですが……」

「お願い…………………?」

「もぐもぐ、何でも言って欲しんだよ! もぐもぐ」

「その……タマゴサンドを食べさせて……もらえませんか♡」


 目を潤わせてお願いしてみる。

 手段は選んでいる場合じゃないからな全力だ!


「任せて………………!」

「もぐもぐ、ラビにお任せなんだよ! もぐもぐ」


 二人は自分の食べかけのタマゴサンドを俺に食べさせようとする。

 イノリお姉ちゃんのは、フォークとナイフで綺麗に一口大のサイズ。

 ラビのは、先程までもぐもぐとしていた名残の歯形がついている。

 俺は迷わずイノリお姉ちゃんの方を食べた。


「美味しいです!」

「これ………………楽しい」

「なんでラビのは食べないの!」


 不満そうにラビは自分のタマゴサンドを押し付けようとする。

 しかし俺は身体を逸らして全力拒否。

 当たり前だ。そんなもの食べたいと思う訳ないだろう!


「イノリお姉ちゃん、お替りが欲しいです!」

「うん…………………」

「ご主人様! ラビのが! ラビのがあるんだよ!」


 ラビをスルーして再びイノリお姉ちゃんの方を食べる。

 するとラビはフォークでサラダを乱暴に刺し俺に近づける。


「野菜も食べないと駄目なんだよ!」

「わかった! 食べるから!」


 ほぼ嫉妬で押しつけられたサラダを口に入れる。

 するとラビは満足げに微笑む。

 ちなみに食べた理由はサラダは一切手を付けられていなかったからだ。

 ラビ……自分で言ってるだからちゃんと野菜を食べような。


「次はこっち……………………」

「はい!」

「私のタマゴサンドを食べ――」

「それはいらないです」


 不満そうな顔で「なんでなのー!」言うラビを差し置いてイノリお姉ちゃんにスープを飲ませてもらう。なんというか……頼む前は意識しなかったけど普通に幸せ空間だな……。

 思っていたよりまともに食べさせてくれるし(ラビは除く)美少女達に食べさせて貰うシチュエーションも案外悪くないかも。(ラビを覗く)不満そうな顔をしている。


「次は―――」

「うん……………………」

「ラビのもー!」

「いらないです」


結果的に腕が痺れて動かなくなるのも「悪くないなー」と思うアリスだった。



「ラビのも食べてなんだよー!」



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