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~アジーン遺跡、扉の前~
「ラビットは今日も来ますかね?」
「どうだろうねー!」
「こればかりは待ってみるしかありませんからね」
「今日こそは捕まえるぞ!」
次の日も俺たちはアジーン遺跡を訪れた。
ただ今回は、万が一遺跡に逃げられても対応できるよう、クロハさんとシロハさんはそれぞれ遺跡探索用の格好をしている。これならば俺たちも追いかけることが可能だ。
「あっ! 誰か出てきましたよ!」
「ラビットだ!」
ワズディンさんはまた考え無しにラビットの方へ走っていく。
止めようかと思ったが、それ以前に向こうもこちらに気づいて逃げた。
「な、なんで今日もいるのー!」
「待てぇぇぇ!!!」
昨日と同じように遺跡の中に逃げていく。
もちろんワズディンさんも入っていった。
「私達も行きましょうか」
「追いかけるよー!」
「はい!」
それに続くような形で俺たちも遺跡の扉の中に入る。
~第一階層~
中に入ると、例のごとく白い光に包まれる。
そしてノーリ遺跡の時同様、開けた空間に飛ばされた。
「中はノーリ遺跡とそんなに違いがありませんね?」
「遺跡の第一階層はどこも似たような造りですからね」
「いたよー! 追いかけようー!」
遺跡の中を走りながら軽く説明を受ける。
アジーン遺跡もノーリ遺跡と同じく20階層までのこと。
ノーリ遺跡と比べて、出てくるモンスターが少し変わること。
後は以前とあんまり変わらないそうだ。
「ラビットぉぉぉ!!!」
「だからなんで追いかけるのー!」
遠目に二人が赤い地面の中に入っていくのが見える。
俺たちも早く追いかけないと見失う!
「ここから先はモンスターも出ますから注意してください」
「はい! ノーリ遺跡の時のように大人しくしてます!」
「それじゃあ、私達も行こうかー!」
~第二階層~
第二階層に来てすぐに、三方向に扉が見える。
まずいな、どこの扉に入っていったんだろう?
「うぉぉ!!!」
右の扉からワズディンさんの声が聞こえてくる。
「こちらみたいですね」
「私が先頭を行くねー!」
「はい!」
先頭にシロハさん、真ん中に俺、最後尾にクロハさんとなるように右の扉へ進んでいく。
すると、道中スライムの死骸が落ちている。
「逃げながら戦闘もしてるみたいだねー!」
「すごいですね」
「先を急ぎましょうか」
スライムの死骸を踏まないように気を付けながら前に進む。
すると再び赤い地面が見える。
「どこまで逃げるんだろうねー!」
「とにかく見失わないうちに追いかけましょう!」
「そうですね」
~第三階層~
「また落ちています」
「頑張るねー!」
「こっちで間違いないようですね」
遺跡の中を進んでいくと、またスライムの死骸が落ちていた。
通った方角がわかって大助かりだ。
「おおお!!!」
「しつこいよー!」
進行方向の先に二人の声が聞こえてくる。
どうやら先程よりは近づいているようだ。
「近いですね」
「このまま追い込むよー!」
「はい!」
追いかけるペースを上げる。
するとワズディンさんの背中が遠目に見える。
「姿が見えてきましたね」
「あと少しで追いつきそうだねー!」
進むにつれて背中が大きくなる。
この分だと次の階層あたりで追いつけるのでは?
そう思っているながら赤い地面の中に入った。
~第四階層~
「うぉぉお!!」
「もー! 邪魔なんだよ!」
第四階層に来て少し進むと、二人と数体のスライムの姿が見える。
大分追いついてきたぞ! あと少しだ!
「ファイア!」
ラビットの指輪が赤く輝き、炎の玉がスライム達に向かって飛ばされる。
するとスライム達は全て溶けて死骸となった。
「今のはもしかして!」
「魔法だねー!」
「あの指輪によるものですね」
ラビットはスライムの死骸を跨いで、何事もなかったように進んでいく。
その後ろをワズディンさんも追いかけるが明らかにペースが落ちてる。
「待て……ラビット!」
どうやらスタミナ切れのようだ。
あれだけ叫びながら追いかけていたら無理もない。
そう思っているとワズディンさんに追い付く。
「大丈夫ですか、ワズディンさん?」
「スタミナ切れだ……少し休んでからまた追いかける……」
「分かったよー!」
「無理そうでしたら遺跡の外で待っていてください」
それぞれ声をかけてラビットの背中を追いかける。
すると進行方向に黄色い地面が見える。
「まずいねー! 黄色に入る気だねー!」
「あれはランダムに飛ばされるやつ!」
「シロハ! 先に行きなさい! アリスお嬢様は私が!」
それを聞いてシロハさんは物凄いスピ―ドで加速しラビットに迫る。
「す、すごい! 速い!」
「普段は私達に合わせてますからね」
どんどんラビットに迫って行く。
それに気づいてか、ラビットも加速し黄色の地面に向かって飛び込む!
「逃がさないよー!」
「なんでそんなに速いの!」
シロハさんがラビットに飛びつく!
すると勢い余って、二人とも黄色の地面に入ってしまう。
「シロハさんまで!」
「これではもう追えませんね」
クロハさんはあきれ顔になる。
これからどうしよう。一旦遺跡を出た方がいいだろうか?
「どうしますかクロハさん?」
「そうですね……とりあえずワズディンさんと合流しましょう」
ワズディンさんの居るところまで来た道を戻る。
すると、ワズディンさんはスライムの死骸を拾っていた。
「何してるんですか……」
「いやー、折角だから集めようかと!」
「拾ってる場合ですか!」
人が必死に追いかけていたのに、この人は……。
まあ、でもワズディンさんだしな……仕方ない。
事情を説明しながら青い地面を見つけて遺跡の外に出る。
~アジーン遺跡、扉の前~
「駄目でしたね……」
「今回はいけると思ったんだけどな!」
「黄色に入られると正直お手上げですね」
確かに黄色の地面に入られると、追いかけようがない。
何か策を考えないと……捕まえようがない。
そう考えながらシロハさんが遺跡の外に出てくるのを待つ。
「どうするんだ? このままじゃ捕まえられないぞ!」
「そうですね。少なくとも第一階層以内で捕まえないと黄色に入られますからね」
今後どうするかを話し合っていると、シロハさんが遺跡から出てくる。
「ごめんー! 駄目だったよー!」
「いえ、すごい走りでしたよ!」
実際あの走りはすごかった。
ワズディンさんなんか比べ物にならないくらい……あっ!
「そうです! シロハさんが初めから追いかければいいんです!」
「なるほど、アリスお嬢様の言う通りですね」
ワズディンさんとシロハさんは、ポカーンとしている。
足が速い人が追いかけた方が確実と言うだけの話なのに。
「ともかく次ラビットが遺跡から出てきた時が勝負ですよ!」
「シロハ、とにかく私達に構わず全力で捕まえに行きなさい」
「なるほどねー! 任せてー!」
「俺はわかってないんだけど!」
見上げると太陽が僅かに沈んでいる。
完全に沈み切る前に出てくるといいけど。
「誰か出てきますよ!」




