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 遺跡の外に出ると既に夜になっていた。

 入った時は昼前だったから随分と遺跡の中に居たのだなと実感する。


「はぁ~疲れたぜ! さっさとクロストに帰ろうぜ!」

「本日はお疲れさまでした」


 馬車でワズディンさんをギルドへ送った後、俺達もお屋敷に帰っていった。



 ~ヨツバ家のお屋敷~


「疲れた…………………」

「確かにそうですね……私も疲れました……」


 屋敷の前に馬車が着く。

 遺跡の中を散々歩き回ったからもうクタクタだ。

 もう今日はこのまま寝てしまいたい……。


「お嬢様方はお疲れみたいですね」

「いっぱい歩いたからねー!」

「そうですね。無理もないです」


 遺跡の中でずっと戦闘をしていたのにも関わらず、

 俺たちと違ってメイドの3人は、どうやらまだまだ元気そうだ。


「眠い………………」

「私もです……」


 お屋敷に着いて一安心と緊張の糸が解けたからだろうか、眠気が全身を襲う。


「シロハ、お嬢様方をお部屋に」

「了解だよー!」

「私は馬車を置いてきますね」


 そして気づいたら俺は眠っていた。



 ◇◇◇



「………眩しい…」

「おはようございます。アリスお嬢様」


 カーテンの隙間から覗いている朝日に目を逸らすと、

 見慣れたメイド服姿のクロハさんがいる。

 そうか、疲れてそのまま寝ちゃったんだった。


「おはようございます……」

「お疲れみたいですね、動けますか?」

「はい! すぐ起きますね!」


 身体を起こし、ベットから降りる。

 筋肉痛の類もないし、割と大丈夫そうだ。


「この通り全然大丈夫ですよ」

「アリスお嬢様は大丈夫そうですね」


 アリスお嬢様は。という事はイノリお姉ちゃんは何かあったのだろうか?


「イノリお姉ちゃんは大丈夫じゃないんですか?」

「ええ、お察しの通り、筋肉痛で動きたくないそうです」


 ベットの上で悶えているイノリお姉ちゃんが目に浮かぶ。

 動きたくないレベルでの筋肉痛か……想像したくないな。


「お着替え……と言いたいところですが、先にお風呂ですね」

「お風呂ですか!?」

「はい、身体を洗いに行きましょう」


 衣服を見るとスライムの死骸のシミが付いている。

 気持ち悪いし、確かに洗い流したい。


「わかりました」

「では行きましょう」



 ~お風呂場~


 到着して早々衣服を脱がされる。

 自分で脱ごうとしたが相変わらずさせてくれなかった。


「じゃあ、私は入ってきますね……」


 未だに慣れない自分の身体に照れながら浴場へ小走りで向かう。

 恥ずかしいので早く済ましてしまおう!


「いえ、少々お待ちください」


 振り返るとクロハさんが脱ぎ始めていた。

 み、見えちゃいますよ!


「何でクロハさんも脱いでいるんですか!?」

「衣服が濡れてしまいますので」


 そう言って衣服を全て脱ぎ去り、こちらに向かってくる。

 皇帝スライムが2匹、揺れながら迫ってくる。

 相変わらず大きい……って見ちゃだめだ!


「どうかされましたか?」

「いえ、目にゴミが!」

「では汚れと一緒に洗い流してしまいましょうね」


 手を引かれて浴槽に連れて行かれる。


「では、洗いますね」

「………………はい」


 ・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・

 ・



 ~ダイニングルーム~


「おはよー! アリスお嬢様! ピッカピカだねー!」

「はい……柔らかかったです」

「何の話ー?」

「い、いえ、なんでもありません!」


 皇帝スライムが背中に密着してやばかった。

 あんなの普通じゃない! 階層主級だよ!


「シロハ、イノリお嬢様は?」

「まだ駄目みたいー、今はイロハお姉ちゃんが看ているよー」

「そうですか、でしたら先に頂いてしまいましょうか」


 椅子に座り朝食を食べる。

 今日はベーコンとレタスのサンドイッチか、うん、おいしい!

 レタスはシャキシャキ、ベーコンは焼いてあってカリカリ。

 それをパンがしっとりと包むように挟んであり絶妙だ。


「アリスお嬢様は今日はどうするのー?」

「そうですね……」


 どうしよう、昨日は遺跡で散々歩き回ったからな……

 お屋敷でゆっくりと過ごそうかな


「お屋敷でゆっくりしてます」

「了解ー! ならシロハとゆっくりしよー!」

「シロハは仕事をしなさい!」


 クロハさんの拳骨がシロハさんの頭にヒット!

 昨日の遺跡での動きを見た後だと、躱せるだろ……とか思ってしまう。

 もちろん思うだけで言わないけれども


「ごちそうさまでした!」

「よーし食べ終わったねー! 早速遊ぼーう!」

「シロハは皿洗いです!!」


 シクシクと泣きながら皿を持って部屋を後にする。

 クロハさん……容赦がない。


「それでアリスお嬢様はこの後どうされますか?」

「とりあえずイノリお姉ちゃんの様子を見に行こうと思います」

「かしこまりました」


 ~イノリお姉ちゃんの部屋~


「失礼します。イノリお姉ちゃんは大丈夫ですか?」

「だい…………………じょばない」

「見ての通り重症です」


 どうやら大丈夫じゃないらしい。

 布団の上で筋肉痛で悶えている。本を読みながらだが……


「イノリお嬢様、わざわざ本をお読みにならくても」

「王冠……………調べたい」


 本のタイトルと見ると『世界の王冠大辞典』と書かれている。

 なるほど、王冠を調べていたのか……。

 よく見ると傍らに昨日の王冠が置いてある。

 見比べていたのかな?


「何かわかりましたか?」

「全然…………………」


 どうやら成果はないらしい。

 試しに俺も本を覗いてみたが似たようなものばかりでよく判らない。


「これじゃあ分かりませんね」

「うん………………」


 置いてあった王冠を掴み、色々な角度から見てみる。

 これってどうしたら魔法が使えるんだろう。

 やっぱりかぶると使えるのかな、マントだと羽織っていたし

 そう思い、自分の頭にかぶせようとする。

 しかし寸ででイロハさんに止められる。


「アリスお嬢様、迂闊にかぶってはいけません!」

「え? どうしてですか?」

「それが魔具だとしたら、どのような魔法が発動するか判らないからです」


 イロハさん曰く、過去に使い方も判らずに魔具を使った者が死んでしまったことがあるらしい。

 だから、魔具に対して知識も無しに使用するのはとても危険なのだと言う。

 確かにイロハさんの言う通りだった。軽率だった……。


「勝手なことをしようとして、ごめんなさい」

「いえ、事前にお話ししていなかった私の落ち度です。申し訳ありませんでした」

「いえ、私が軽率だったんです! 頭をあげてください!」


 そう言うとやっと頭をあげてくれる。

 こちらが悪いのに謝らせてしまって本当に申し訳ない。

 今後は軽率なことは止そう……。


「でも、そうなると使えませんねこれ…………あっ!」

「どうかなされましたか?」

「魔具屋のおじいさんに聞けばいいんです!」


 今思えば簡単なことだった。

 判らなければ調べるのではなく、知ってる人に聞けばよかったんだ。


「確かに魔具屋で見てもらえれば確実ですね」

「うん………………名案」

「私、見てもらってきます!」

「うん……‥………お願い」

「私もご一緒いたしたいのですが、イノリお嬢様のお世話がありますので」

「はい! クロハさんとシロハさんに聞いてみます!」


 そう言って、王冠を持ったままイノリお姉ちゃんの部屋を後にする。

 目的は二人がいるであろう厨房!


「クロハさん! シロハさん!」

「どうしたのー?」

「何かありましたか?」


 王冠を持ったまま勢いよく部屋に入る。

 そのせいか二人とも少し驚いた顔をしてこちらを見つめてくる。


「私! 今から魔具屋さんに行きたいです!」


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