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~第18階層~
「このダンジョンには『はずれ』しかないんですか!」
「『はずれ』……………いらない」
「お嬢ちゃん達もお怒りだな」
遺跡内を行けども行けども『はずれ』と書いてある紙しか宝箱に入っていない。
初めて遺跡に来たわけだが、これは常識なんだろうか?
だとしたら、たちが悪すぎる。入れたやつに報復してやりたい気分だ!
「にしても随分手の込んだいたずらだよねー!」
「そうですね、開けた宝箱全てというのは異常ですね」
「一つの遺跡で3枚も見れば多い方ですからね」
ちなみに開けた宝箱の数は10だ。
内訳としては、スライムの死骸1、『はずれ』9だ。
このまま最下層の第20階層に行っても『はずれ』しかないのでは?
そう思わずにはいられない。
「宝箱あったよー!」
「ワズディンさん、開けていいですよ」
「うん………………」
「お嬢ちゃん達すっかり飽きているな」
ワズディンさんが宝箱に石をぶつけて安全を確認する。
反応がないからミミックではないようだ。
それでは……いざ、オープン!
「『はずれ』だ!」
「知ってました」
「うん………………」
真顔で答える。そろそろ『はずれ』以外をください。
この遺跡の名前はなんだっけ? ノーリだっけ?
はずれ遺跡に改名した方がいいと思う。
「次……行くか」
「そうですね」
「うん………………」
テンションがガタ落ちしながらも、遺跡探査は続く。
なぜかって? 決まっている! 意地だ!
せめて一つで良いから魔具が欲しい!
その気持ちだけで俺とイノリお姉ちゃんは動いている。
「前方!スライム3、ワイト3、くるぞ!」
「やっちゃうよー!」
「後ろからも来ています。スライム10体」
「アイシクルランス!」
前後で戦闘が始まる。
この時、俺とイノリお姉ちゃんは何もできないので見ているだけ。
暇なので実況でもしようか……。
前を見る。
「これで最後だよー!」
「おりゃあ!」
ワズディンさんが空振り! 結局シロハさんが止めを刺した!
後ろを見る。
「どうかしましたか?」
「いえ、別に!」
モンスターの死骸すらなく、既に戦闘が終わっていた。
実況終了!
強すぎて実況にもなりません……。
「赤い地面が見えるぜ!」
~第19階層~
「残すもあと1階層ー!」
「おいおい、それじゃ最後まで行く気満々じゃないか」
まさかここまで来ることになるとは……。
個人的には、第15階層で魔具を見つけて帰るとばかり思っていた。
だがここまで来たら、この階層で魔具が見つかっても第20階層まで行きたいな。
遺跡内を歩いていく、途中トラップやモンスターに遭遇しながらも宝箱を幾つか見つける。
だが、予想通りというか『はずれ』しか入っていなかった。
「………………」
「……『はずれ』」
この階層も駄目だ、そう思いながら歩いていると、扉が3つある部屋に差し掛かる。
そして例のごとく文字が書いてある。
右の扉
キケン、トラップタスウ
真ん中の扉
アオ
左の扉
アカ
「どうする? 右に行けば宝箱があるかもしれないぞ」
そう、ワズディンさんが提案する。
確かにあるかもしれないが……。
「でも危険って書いてあるしねー!」
「お嬢様方を危険にさらす訳には」
「却下ですね」
当然のごとく止められる。
個人的には確かめてみたいが、どうしようもないだろう。
そう諦めていると、イノリお姉ちゃんが閃いたように口を開く。
「ワズディンだけ………………見てくる」
「なるほど!」
俺もそれに乗っかかるように同調する!
その手があった! 何も全員で行く必要は無い!
この中ならワズディンさんが一番頑丈そうだし適任だろう。中々のアイデアだ!
「け、けどな嬢ちゃんたち」
「ワズディンなら出来る………………」
「カッコいいワズディンさんなら出来るはずです!」
「か、カッコいい!」
大分揺らいで来ている。
後もう一押しだ! 畳かけるぞー!
俺はワズディンさんをしゃがませて耳元で呟く。
「お願い、ワズディンお兄ちゃん♡」
「任せろ!!!」
鼻息を荒くして右の扉へ突入していく。
あんなに勢いよく突入して大丈夫だろうか?
「行かせてよかったのですか?」
「彼も一応冒険者ですからね、自己責任です」
「すごいガッツだねー!」
右の扉の方から色々な音が聞こえてくる。
きっと色々なトラップが作動しているのだろう。
ドッカーン!!
ゴゴゴゴゴゴ
ビュールルーー
ズドン……ズドン……
タスケテクレーーー
しばらく扉の前で待っていると、ボロボロのワズディンさんが戻ってくる。
右手に何かを掲げている! もしかして魔具が見つかったのか!
『はずれ』
「ワズディンさんは頑張りました!」
「うん…………………」
「ナイスファイトだよー!」
結果的に『はずれ』だったが、良いものが見れた。
アンタは最高だよ! ワズディンさん!
アフロヘア―も似合ってます! カッコイイデス。
「駄目でしたか……」
「次にいきましょう」
励ます三人を他所に、クロハさんとイロハさんは左の扉を確認していた。




