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あれから順調に階層を突破し、俺たちは第10階層までたどり着いた。
~第10階層~
「ここはなんだか雰囲気が違いますね?」
「扉がいっぱい………………」
先程までの階層は、道こそは複雑に分かれていたものの、扉なんてものは一つもなかった。
だがこの階層は、まるで部屋の一室かのように、行く先々に扉が付いている。
「ここからは、こういう部屋がたくさん増えていくぜ!」
「扉は勝手に開けないでねー! トラップがあったりするかー!」
シロハさんが言うには、扉を迂闊に開けるとモンスターが出てきたり、トラップが作動する恐れがあるらしい。
「まあ、宝箱が見つかる可能性もあるけどな!」
「宝箱ですか?」
何でもモンスターやトラップが出る危険な扉の先には、冒険者もあまり行きたがらないので、まだ見ぬ宝箱が眠っている可能性があるそうだ。
「危険だから今回は絶対に駄目だけどねー!」
「わかってるよ! けど夢があるよな!」
「危険を冒して宝を手にいれる。これぞ冒険ってもんだろ?」
ワズディンさんは、楽しそうにそう語る。
確かにその通りかもしれないな。俺も一応は男なので同意する。
まあ、今は女なので心の中でだけだが。
「おーっと、モンスターだよー!」
「多いな、赤3緑3のスライム! リスコウモリが2匹か!」
見上げると、リスに蝙蝠の羽をつけたモンスターがこちらに迫ってくる。
なるほど、確かにリスコウモリだ。
「飛んでるのは任せるよー!」
「スライムは任せろ!」
二人がそう言うと同時に、後ろからクロスボウの矢が飛んでくる。
「流石だねー!」
「こっちも終わったぜ!」
気が付くとリスコウモリは撃ち落され、スライムたちも倒されていた。
「さーて、剥ぎ取り剥ぎ取り!」
ワズディンさんがリスコウモリの羽をナイフでそぎ落とす。
見ていてあまりいい物じゃないな、グロい。
そう思っていると、イロハさんも刺さった矢を抜き出す。
「どうかなさいましたか?」
「い、いえ! お見事でした!」
その矢は再利用するんですか? とは、とても聞けそうになかったのでそう答えた。
実際見事だったし! 嘘はない!
お褒めに預かり光栄です。と、抜いた矢を持って元の後方へ戻っていった。
「次いくよー!」
~第11階層~
この階層も扉続きの階層のようだ。
「おいおい、この扉何か書いてあるぞ!」
「ホントだねー!」
シロハさん達が進もうとした扉に何かが書いてあるようだ。
何て書いてあるんだろう?
キケン、マワリミチ、セヨ
「危険?」
「先に来た冒険者が残していったメッセージでしょう」
「こっちから行った方が近かったのになー!」
「仕方ありませんね、迂回しましょう」
進んできた道を戻り、別の扉を開き進んでいく。
「みんな止まれ!トラップだ!」
「だねー!」
全員を止まらせると、ワズディンさんの前方に不自然な出っ張りが見える。
あれを踏んだら何か起こるのかな?
そう思っていると、緑色のスライムが一体こちらに向かってくる。
「ちょうどいいな」
ワズディンさんがそういうと、出っ張りの上をスライムが通過する。
ゴロドドッドド!!
トラップが作動したのだろう、スライムの頭上に複数の岩が降り注ぐ。
「もういいぞ!」
「うん、見た感じ他になさそうだしねー!」
岩の下敷きになったスライムの横を通り過ぎる。
トラップ……恐るべし! うっかり踏まないように気を付けないと
~第12階層~
周りを見当たすと前後左右に一つずつ扉がある。
他とは違って部屋からはじまるパターンもあるのか。
まあ、着いていくだけだから迷うことはないだろうけど。
「ここって、どっちだっけー?」
シロハさんが困り顔でこちら側に尋ねてくる。
「シロハ…………………迷子?」
「そうなんですか?」
「扉を見てみましょう、きっと書いてあるはずです」
上の扉
キイロ
下の扉
キケン、トラップタスウ
右の扉
アオ
左の扉
アカ
「どうやらこっちみたいですね」
「先人達に感謝だな」
「だねー!」
左に進むとすぐに赤く光る地面があった。
~第14階層~
ワズディンさんが何かを発見したようだ。
「宝箱があるぞ!」
「ホントだねー!」
指の先を見ると赤色の装飾がされた箱がおいてある。
遺跡に入って初の宝箱だ。
何が入っているのだろう? 魔具とか入っていないかなー!
「開けてみたい………………」
「私もです!」
「ちょっと待ってろよ」
ワズディンさんは落ちている石を宝箱に投げつける。
どうやらミミック対策らしい。迂闊に開けるとパックンチョ!
飛びつくのは馬鹿がすることらしい。止められなかったら多分開けてました。
「問題ないみたいだねー!」
「よし! 開けていいぞ!」
イノリお姉ちゃんと同時に開ける。
だけど、中身は想像していたものと全く違っていた。
「べちょべちょ………………………」
「スライムの死体しかないです」
「残念だったな」
「たまにあるからねー」
ワズディンさん曰く、持ちきれなくなったスライムの死体を宝箱に捨てる奴がいるらしい。
期待してた分がっかり感が半端ない。
「俺も捨てていくか」
ワズディンさんも緑色スライムの死骸を宝箱に入れていく。
お前のことじゃねぇか!!
ムカつくので、またワズディンさんをタオル代わりにしてスライムの死骸を拭いた。
「お嬢ちゃん、俺はカッコいいかい?」
「ソウデスネー、カッコイイデス」
「私もやる……………………」
スライムまみれで嬉しそうな顔していたが、全くカッコよくなかった。




