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「着いたぜ! ノーリ遺跡だ」


 ワズディンさんの声に釣られて外を見ると、世界遺産とかに登録されていそうな雰囲気のある神殿みたいな建物が見える。これが遺跡か……、なんというかすごい。その一言に尽きる。


「イノリお嬢様、アリスお嬢様、馬車での説明は、ちゃんと覚えていますか?」

「うん…………………」

「はい! バッチリです!」


 イロハさんに移動中説明してもらった、遺跡での約束事をおさらいしてみよう!



1.決して一人にはならない


 不測の事態を除き、イノリお姉ちゃん以外の誰かと必ず同行すること。つまり、少なくとも1人は戦える人の傍に居ろとのことだ。



2.前に出ないこと


 前に出るとモンスターや魔物が現れた際に危険なのと、いざという時に対応が遅れてしまうことを加味してだそうだ。ちなみに前にシロハさんとワズディンさん、後ろにクロハさんとイロハさん、となるようにして、その間に挟まるように行動しろとのことだ。



3.迂闊にモノに触れない


 どうやら、遺跡の中には仕掛けやトラップなどが多数あるらしい。迂闊に触れると怪我や不測の事態が起きる恐れがあるので、気を付けてくださいとのことだ。



4.光る地面の中に入ってはいけない


 光る地面には赤、青、黄色の3種類あって、

 赤色の光を放っているものだと、一つ下の階層に飛ばされる。

 青色の光を放っているものだと、遺跡の入り口まで戻される。

 黄色の光を放っているものだと、ランダムな階層に飛ばされる。

 とのことらしい。

 イロハさん曰く、黄色は何があっても入ってはいけませんとのことだ。



5.怪我をしたり体調が悪くなったらすぐに言うこと


 遺跡の中では、何かあれば命に係わる危険性があるので、すぐに報告するように、とのことだ。寒いでも、暑いでも、なんでも構わないそうだ。



6.我儘を言わないこと


 基本的には、イロハさん達の指示に従って行動してほしいとのことだ、思い付きで行動すると不測の行動に陥りやすくなるでよろしくお願いします。とイノリお姉ちゃんが特に言われていた。



7.死なないこと


 この世界でも例外はなく、死んでしまえばどうしようもないらしい。だから、上記の事は必ず守ること。不測の事態で独りになってしまった場合は、諦めずに青色の光の地面を探すこと、だそうだ。



以上7つが、遺跡での約束事だ。


 この話を聞いてから、俺の心は遺跡に夢中だ。

 好奇心でワクワクが半分、未知への恐怖にドキドキが半分。

 社畜時代には、感じえなかった高揚感だ。


「準備はいいかい、お嬢さん方?」


「はい!」

「うん………………」

「抜かりはありません」

「こちらも問題ありませんよ」

「大丈夫だよー!」


「よし、じゃあ行こう!」


こうして俺たちは、遺跡の中へと入っていった。




◇◇◇




 遺跡の中に入ると白い光に包まれる。

 そして気が付いたら大きく開かれた場所へ飛ばされていた。


「ここが遺跡の中……」


 思っていたよりも明るい。そして広い。

 ぐるっと回って見渡した感じ、正方形方の大きなフロアのようだ。

 赤い光や青い光がぼんやりと見える。きっとあれが光る床だろう。


「初めての遺跡はどうですか?」


 いつの間にか隣にいたクロハさんに声を掛けられる。

 他のみんなはどこだろう? と思って見渡すとイノリお姉ちゃんと一緒に色々と見て回っているようだ。


「ワクワクします! それに、とても広くて明るいです!」

「そうですか、でも元々は明るくはなかったんですよ」


 クロハさんが言うには、本来遺跡は暗いのが当たり前らしい。

 こうして明るいのは、過去に来た冒険者達が明かりを出す魔具を設置して、探索しやすいようにしてくれたお陰なのだそうだ。


「なるほど、そういう訳だったんですね」

「はい。それにこの第一階層は、モンスターの類も狩り尽くされているので色々と安心です」


 現在居る階層を第一階層というらしく危険が無く安全だそうだ。

 ただ、これより下の第二階層以降は普通にモンスターが出現するらしく降りていくほどに危険度が増すらしい。


「いったい何階層まであるんですか?」

「そうですね、ノーリ遺跡の場合ですと、20階層ほどありますね」

「そんなにですか!?」

「はい、ですが少ない方ですよ。他の遺跡ですと、100階層以上のものも確認されていますから」


 上には上があるんだな……。遺跡って奥が深い。


「他に聞きたいことはありますか?」

「クロハさんたちは、どうしてそんなに遺跡の事に詳しいんですか?」


 遂に聞かれてしまいましたか……。と言いたげな顔をする。

 まあ、大体予想はついているが。


「実は私達三姉妹は、昔冒険者をしていた時期がありまして」

「すごいじゃないですか!?」


 反射的にリアクションはするもの、内心驚きは少ない、予想通りだったからだ。


「いえ、それほどでもありません。それに今はヨツバ家のメイドですからね」

「冒険者の頃は、やっぱり遺跡とかに行ったりしていたんですか?」

「はい、世界各地の遺跡に行きましたよ」

「世界各地!?」

「色々なところに行きましたね……」

 

 どうやら遺跡自体は、他の地域にも数は少ないがあるらしく、クロハさん達は、東西南北ありとあらゆる遺跡を回ってきたらしい。そんなに凄いのになぜメイドに? そう聞こうと思ったが、クロハさんが魔法を使えるようになった経緯があまりに興味深かったので頭の外へと消えた。


「エチシアに行くだけで、誰でも魔法使いになれるんですか!?」

「魔法使いと言うと語弊がありますが、魔法は使えるようになりますよ」


 クロハさんが言うには、元々は槍を使っていたそうだが、エチシアを訪れた際にたくさんの魔法を使えるようになったので、魔法使いになったのだとか。凄いな憧れる!


「私もエチシアに行けば、魔法を使えるようになりますか?」

「恐らくは使えるようになるかと、個人差はありますけどね」

「個人差?」

「例えばシロハの場合だと、一つしか使えるようにはなりませんでした」

「なるほど!」


 人によって、適正みたいなものがあるのか! 俺はどうなんだろう?

 なんにしても俺にも魔法が使える可能性があるのか! もしエチシアに行けたら、どんな魔法が使えるようになるのかなー!

 

「お姉ちゃんー! アリスお嬢様ー! そろそろ第二階層に行こうー!」


 頭に色々と想像を膨らませていると、赤い光のする方角からシロハさんの声が聞こえてくる。


「話し込みすぎましたね、そろそろ私達も行きましょう!」

「はい!」

 

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