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12

 

 目が覚めると朝日が差し込む。

 以前のボロアパートでは無かった経験だ。


「おはようございます。アリスお嬢様」


 声の方に振り向くとクロハさんがカーテンを開けていた。

 眩しい、だがベットの上で見る朝日は気持ちいいものだな。


「おはようございます。クロハさん」

「朝食が出来ております。一緒に参りましょうか」

「はい!」


 準備を済ませクロハさんに着いて行って部屋を出る。

 それにしてもクロハさんが部屋に来てくれてよかった。

 気づいたら部屋にいたから多分迷子になっていただろう。

 そう考えていると、昨日食事した部屋へたどり着く。


「おはよう…………………アリス」

「おはようー! アリスお嬢様!」

「おはようございますアリスお嬢様」


「皆さん、おはようございます!」


 こちらへお座り下さい。と、イノリお姉ちゃんの隣へ案内される。

 テーブルに目を向けると卵料理とパンが置いてある。美味しそうだ。


「お待たせしてしまいましたか?」

「大丈夫……………本を読んでいたから」


 何の本を読んでいるんだろう?

 覗いてみると『焼きマシュマロ弁当の謎』と書かれていた。

 意味が分からないタイトルだ。逆に気になる。


「それでは頂きましょうか」

「うん………………」

「いただきまーす!」

「いただきます」


 置いてあるパンを掴み、千切って食べる。

 美味しい! 温かいし、焼き立てかな?

 そう思っているとイノリお姉ちゃんが声を掛けてくる。


「アリス……………今日どうする?」

「どうする……ですか?」

「うん…………………」


 どうしよう? 俺は何をすればいいのだろうか……。

 そう考えているとクロハさんが助け船を出してくれる。


「街へ行くのはどうでしょう?」

「街ですか?」

「はい、生活に必要な物も揃えられますし」


 することもないし丁度いいな。

 ここは、クロハさんの案に乗ろう!


「いいと思います! 私、街に行きたいです!」

「街ー! シロハも行きたいー!」

「お嬢様はどうされますか?」


 首を横に振る。本に集中したそうだ。


「では、クロハとシロハは、アリスお嬢様に着いて行ってくれるかしら」

「かしこまりました」

「任せて―! 街に行ったら何を食べようかな~」


 こうして街に行くことが決まった。




 ◇◇◇



「そういえば、これから向かうのはどんな所ですか?」

「そうですね……街の名前はクロスト、ルベリアで一番大きい街ですね」

「クロスト?」

「そうだよー! 美味しいものがたくさんー!」

「そういえば記憶を無くしておいででしたね」


 馬車に乗りながら色々な説明を受ける。

 街のことから、この世界のことなど色々、特に興味を持ったのは地域の話だ。

 ここルベリアは、王都ハートの南部に位置する地方らしく。

 他には、王都から見て、北にエチシア、東にイムモシ、西にフラワーがあるらしい。

 それぞれ生活模様が大きく異なっているらしく、聞いていてワクワクする。

 いつか行ってみたいなー。そう思うと馬車が止まる。


「着きました、クロストです」

「へー、綺麗な街だ~」


 全体的に白塗りの建物が並んでおり、それぞれお店の名前がシンプルに書いてある。

 飾り気はあまりないけど、統一感があって落ち着いている。

 道をみるとゴミ一つ落ちていない。聞いていた通り清掃が行き届いているな


「アリスお嬢様、先ほど馬車で説明したこと忘れていませんか?」

「この街でゴミを落としてはいけないですよね?」

「そうです、安心しました」

「捨てている所を見つかりますと、あそこにいる兵隊さん達に捕まってしまいますから、気を付けてください」


 クロハさんの視線の先を見ると赤い服を着た、見るからに兵隊な男の人たちが居た。


「あの人たちですね」

「あの人たち怒らせると怖いんだよー」


 シロハさんが大げさに震えて怖がる振りをする。

 気を付けよう、迷惑をかける訳には行かないからな


「確認も済みましたし、行きましょうか」

「シロハ、あそこのお店行きたいー!」

「アリスお嬢さまの用事が先です!」

「あはは」


 まずは服からにしましょうかと、服屋と書かれた店に入る。シンプルだ。


 チャリーン


「これはこれは、ようこそおいで下さいました」


 ハゲと髭が特徴なオジサンがお出迎えをしてくれる。

 誰かに似ているな……、そうか! 課長だ! 特に腹回り!


「本日はどのような御用向きで?」

「お嬢様に合う服を下さいますか」

「こちらのお嬢様のですね?」


 そう言うと、こちらをじーっと見てくる。

 全身くまなくだ、正直やめて欲しい。

 そう思いながら、入社1日でやめていった女社員を思い出す。


「こういう気持ちだったのかな……」

「どうかなされましたか、お客様?」

「いえ!」


 お前がいやらしい目で見てくるからだよ!

 とは言えない。辛いところだ。

 まあ、被害妄想かもしれないが。


「大体分かりました。少々お待ちください」


 そう言って店の奥へ消えていく


「クロハさん……」

「何でございましょうか」

「あのオジサン嫌です……」

「そうですか? 腕は確かですよ」

「お待たせしました。こちらなどいかがでしょう?」


 試着してみたがサイズがぴったしだった。少しムカついた。

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