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砂漠の夢  作者: 東雲
2/3

この集落、エリア40では中等科を卒業すると同時にフィデースから新しく真名を与えられる。


エリアによって名づけの儀式に違いがあるものの、このエリア40では産みの親であるフィデースから一人前と認められた証でもあり、戒めだったりこうあって欲しいという願いを込めて名付けられる大切な贈り物だった。


今日、エリア40では40人近くの子供たちが真名をフィデースから貰い大人の階段を上った。


「ねぇ、ルークス」


「・・・」


「ルークス!」


「あっ、私か。どうしたのウィルペティ?」


「もう!私たちはさっきフィデース様から新しく真名を貰ったばかりでしょ!前の名前で呼ばないでくれ!」


「ご、ごめん。えっと、アモー?」


「それでいいわ」


満足そうにアモーと呼ばれた亜麻色のふわふわの髪を持つ少女のような風貌がニコリと笑った。いつみてもこの少女とも少年ともつかない性を持つこの子は自分とは違い美しいと思った。


「ルークスは新しい名前に不満でもあるの?」


「どうして?」


「だって、浮かない顔してるよ」


苦笑いしながら自分とは違う真っすぐに伸びた黒く美しい髪を撫でながら言った。アモーは自分とは何もかも違う彼女の全てを羨ましく思う反面、誇らしく思っていた。ルークスにして見れば、アモーの方が恵まれた容姿をしていたのだけれども・・・。


「別に不満はないけれど。そんなにひどい顔してた?」


「うん、なんか魂が抜けたような表情だった!それじゃあ、不安?」


「不安・・・かな。この後、フィデース様から呼ばれてるから。私、何か悪いことしたかな?」


「ルークス何か心当たりでもあるの?いつもの定期健診じゃないか?あの問題児のリベロですら呼び出しなんてされてないよ」


「心当たりはないかな。定期健診は五日前に受けたし」


「もしかして、お祝いとかじゃない?フィデース様はルークスを良く気にしていたし」


「私だけ特別なのもなんだか忍びない気がするけど、そうだったら良いな」


「それより、今日は私の家でお祝いしない?」


「いいの?」


「勿論よ!絶対、みんな喜ぶ」


「ありがとう!そろそろレガトゥス様が待ってると思うから行くね」


「分かった!家で待ってるからね」


丁度、曲がり角に差し掛かったところでアモーと別れた。






ルークス(光)・・・本作の主人公。真っすぐな黒髪と黒い瞳を持つ少女。


フィデース・・・エリアに一つある生殖を司る生みの親。神と崇められている地域もある。慈悲深いようプログラムされた存在。


アモー(愛)・・・癖のある亜麻色の髪と青い瞳を持つ性を持たず生まれてきた子。旧名はウィルペティ(紫の子)


エリア・・・エリア47まであり、地域によって風習や習慣が異なる。

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