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枝垂波 夕陽の思考譚  作者: ravinis
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枝垂波 夕陽の心象、色の無き部屋

そこはまだ色のない部屋の中でした。


目覚めるとこの場所に居ましたが、不思議だと感じる事はありませんでした。


(喉が渇いたな…)


ふと、そう思った次の瞬間、目の前に茶色のテーブルとコップに注がれた水が置かれていました。


有り難く水を飲み干し、他に何かないのか探してみることにしました。


見渡すと相変わらず色もなく区切りの有無も分からない場所ですが、「そういえば」とテーブルに目を戻しました。


「色がついてる」


まわりに色が無い為、それはとても不思議な光景に思えました。


そもそもなぜテーブルが出てきたのか、不思議でなりません。


立っているのも疲れてきたので、「椅子でもあればな」と思考を巡らせると既に椅子が置かれていました。


自分の想像の中では曖昧な形をしていたものが補完されて目の前に置かれるのでますます不思議でなりません。


想えば何でも現れるのでしょうか?


試しにノートとペンを思い浮かべます。


やはり元々在ったかの様な雰囲気でテーブルの上に置かれていました。


使いそうなものをいくつか思い浮かべた後、この場所について考え始めました。


確か昨晩、読書をした後自室で眠りについたはずです。

あまりはっきりと思い出せませんが、読んでいた本の内容が、今の状況によく似ていたと思います。


きっと現状は本の内容に影響された夢なのでしょう。


妙にリアリティがありますが、特別珍しい訳では無いので周囲へのさらなる興味へと思考が切り替わりました。


「この無色の部屋に色はつけられるのかな?」


こうも周りが殺風景だと何かしらの景観が欲しくなるものです。

物は試しと自室を思い浮かべましたが、変化は起きませんでした。

次は、そよ風の吹く平原を思い浮かべますが、変化はありません。

物は出せても周囲は変えれないのか、想像力が足りないのだろうかと考えが行き詰まったところで、


「せめて星でも眺められれば良いのに」


湧いて出た言葉をそのまま口にしました。


瞬きを一つ重ね、開けた視界の先は


色無き部屋は頭上も眼下も黒へと変わり

その黒を穿つ様に様々な色の星が輝いていました。


信じられない変化に驚嘆の声を上げ、しばらく眺め惚けていましたが、突然抗えぬ眠気に襲われその場に伏してしまいました。


意識の途切れる寸前、重く静かに響く鐘の音が聞こえた事を覚えています。



目を覚ますと周囲の景色は同じですが、柔らかなベットの上に居ました。


「夢の中で寝て、夢の中で起きるなんてホントに変な夢…」


素直にそう思いましたが、いくつか試したい事もあったので、留まるのも悪くはありませんでした。


どうせ夢なのだから自分の心の望むままこの不思議な空間を動かしてみよう。

朝も夜も分からないけど今日を楽しもう。


私はそういう人間なのです。



書いていたペンを止め、欠伸を一つ。


この場所に来て数日程経ったと思います。


周囲にはいくつか変化が生まれました。


それと、意識が途切れる前の鐘の音がよりはっきり聞こえる様になった気がします。


それも書くことができれば、良いなと思いますが、とても眠くなって来ました。


布団に入り鐘の音を待ちます。


「明日は何を創り、何を書こうかな」
















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