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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

あぁ……私は百合だから恋をしてこなかったんだ。

作者: ゆきろん

皆は好きな人を振り向かせるために何かするのだろうか。


好きな人へ、メールを送ったりして、仲良くなって行くのも一つの手だとは思う。


でも一番手っ取り早いことはなんだろうかと考えたとき、私はこう考えた。



………好きになって貰えるようにすればいい。





私は容姿が悪いわけではない。自分で言うのもなんか変な感じなのだが、多分変ではない。変ではないと信じている。

小さい頃から可愛いとは言われてきた。中学に入った時だって、三年間で何度も告白された。

告白は高校に入っても度々あった。二年間で六回程あったのではないのだろうか。

でも、私はその告白をOKしたことは一度もない。別に恋愛に興味が無いわけではない。とゆうか、折角の高校生なんだから恋したい。青春を謳歌したいと思っている。だけど、なんと言えばいいのだろうか。なんかこの人と付き合いたいと思ったことが無い。


なぜ?と聞かれた、逆に私が聞きたいよ。そんなこと。



そんなこんなで、高校二年の夏休み某所。


私は恋をしました。


ミンミンと蝉が忙しなく鳴いているいつも通りのとある夏休み。きっかけは私にも分からないけどいつのまにか恋をしてしまっていたのです。


相手は同じ学校の、同じクラスの子。その子の名前は、塔阪(とうさか)遊佐美(ゆさみ)ちゃん。

サラサラとした肩で整えられ、少しウェーブが掛かっている黒髪がとっても印象的な同じクラスの子だ。少しおっとりとした目も愛らしく、艶のあるピンクの唇、目の下にあるホクロ、スラッとした整ったボディ。遊佐美ちゃんの全てが私が好きになった理由なのだろう。これが一番考えられる事だ。



朝いつものように登校すると、もう登校してきている遊佐美ちゃん。


「おはよう遊佐美ちゃん」

「あっ、おはよう美咲ちゃん。今日も可愛いよ」

「ありがと。とっても嬉しいよ」

「私はどうかな?」

「遊佐美ちゃんもとっても可愛いよ」

「へへ。ありがと」



あ~。やっぱり可愛いと思う。

このやりとりは中学のときからずっとやっているのだが、何年たっても朝のこれは楽しい。何より、とっても近くで遊佐美ちゃんと話せるのが嬉しくてしょうがない。

まぁ、女同士なんだからどうってこと無いんでしょ?とか思うけど、好きなひとと話すのは緊張してしまう。



「あんた達朝から仲慎ましいことで……」

「あっ、実ちゃん。おはよう」

「実ちゃんおはよう」



この子も中学からのお友達。

栗崎 (みのる)ちゃん。

遊佐美ちゃんがいなかったら実ちゃんに惚れていたかもしれない。

きりっとした目をしていて、少し長めのストレートヘア。一般の高校生と言うのには少し足らない胸。本当に可愛いと思う。



いつものように二人を全身くまなく見て、一人脳内でおっとりとしてしまう。


いつも私はこんな感じだ。








私が恋をしたのは、中学二年生の頃。

恋をしたと言うよりは、目覚めたといった方が正しいと思います。



私は男の人より、自分と同じ女の子が好きなんだと。


私が、女の子が好きだと気付かせてくれたのは実ちゃん。

私が惚れたのは、中学に入ってからの大の仲良しの美咲ちゃん。

あの、ほわわんとした雰囲気を纏いながら、毎日私といてくれる美咲ちゃん。

茶髪のほわんとしたロングヘアーで、丸いおっとりとした目、豊満な大きな胸、和ませてくれる綺麗で優しい声、全てが私の理想。

いつか私に振り向かせて、本当の事を告白して、付き合いたいと思う。


私は、毎日毎日どうやったら美咲ちゃんが振り向いてくれるかを考えている。

最近では日課のようなものですらある。

この相談に乗ってくれるのは、私に恋心を芽生えさせてくれた実ちゃん。

私が男の人が好きじゃなくて女の子が好きと言う事を言っても、それを応援してくれている。嫌な顔を一つしないで私の相談にほぼ毎日乗ってくれている。


美咲ちゃんがこんなにも可愛くなかったら、実ちゃんに惚れてしまっていたと思う。

でも、それは美咲ちゃんがいる限りそれはない。実ちゃん以外でもそうだと思う。どんなに可愛い子がいても私の覚悟は揺らがないと思う。






この二人をこんな百合の状態にしたのは多分私だ。


美咲と遊佐美。

二人は分かっていないが相思相愛。これでもかってくらいお互い思いを寄せている。なのに互いにその気持ちに気付いていない。

でもそれを時間の問題だろう。



教室の隅でお互いを褒めあっている二人を見て、和みながらも、まだ互いの気持ちの気付くのは早いと思い、デレあっている二人の間に割ってはいる。



「あんた達朝から仲慎ましいことで……」

「あっ、実ちゃんおはよう」

「実ちゃんおはよう」



毎日のようにこの甘ったるい空気を壊している気がする。

この空気はクラスの女子は皆気付いている。

気付いていないのは当事者のこの二人だけだ。



二人は、顔には出さず、気付いていないが私が来たことにより落ち込んでいる。

この気持ちに気付かない二人もどうかとは思うが。まだ二人がくっつくのは早い。


だって……私が二人で遊んで、修羅場にしたいんだもん。

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