風呂、そして一日が終わる。
「……ふはぁ」
湯船に浸かり、安息の吐息を漏らす俺。
一日の疲れが体中から出ていく感じがする。
「命の洗濯って大事だな」
「そうですね~」
「ああ……あ?」
がらがら、と風呂の扉が開き、声の主が入ってきた。
「しっつれいしま~す♪」
「おおぃ!? 梨香、何で入ってくんだよ!」
「え、一緒に入っちゃダメですか?」
「普通に考えてアウトだろ!」
「そんな! ずっと一緒に入ってたのに!」
「その言い方は誤解を招く! 一緒に入ったのは小学生ぐらいのときだろ」
「なら今も変わらないじゃないですか」
「社会的にダメだ! いろいろとサイズも違うし!」
「ええ~」
「いいから出てってくれ」
「……わかりました」
あれ?意外と簡単に諦めた?
「服を脱いでしまったのでこのまま出ていくと風邪をひいてしまいますが、兄さんを困らせる訳にもいきません……」
「わかったよ! いていいよ!」
「わーい!」
「その代わり俺が出る」
「ええっ!?」
「当たり前だっ!」
「ふふっ、その可能性もよんでましたよ、兄さん♪」
「おい! 俺のタオル取るなよ!」
浴槽にかけておいたタオルが取られた。
「このまま出ても良いですよ♪ただ私はどんなに湯煙が邪魔しても、もちろん手で隠そうが絶対に見ることのできる自信があります♪」
「くっ……!」
「私の勝ちですね……にいさぁ~ん」
「うわぁ、ちょ、やめ……!!」
「えへへ、兄さんの上ゲットです♪」
梨香が俺の上に乗ってきた。当然2人とも一糸纏わぬ状態で、俺の太ももの上には梨香の柔らかいお尻が……
(落ち着け、こういうときは元素を片っ端から言っていくんだ……水素、リチウム、ホウ素、窒素……」
「何故器用にひとつ飛ばしで言ってるんですか」
「少し黙っててくれ……」
「…………」
「…………」
それにしてもこいつ、本当にいい体つきしてんな……
「女の子は視線に敏感って聞いたことないですか?」
「……べ、べべ別に見てもなんも面白くねえし!」
「……ほう、こんなに背中に硬いのが当たってるのに?」
「う、く……!」
なんかもう、精神的に持ちそうになかった。
何で妹の身体なのにこんなに色っぽく見えるのかとか、こんなに胸大きかったんだとか、触ったら柔らかそうだなとか。
「……ックシュン!」
梨香が突然、くしゃみをしたことで我に返った。
「ほ、ほら、湯冷めしちゃったんじゃないか?今日はもう出ような?」
「……もっと兄さんと触れあってたかったのに」
「いつも目一杯触れてるだろ?早く出ないと本当に風邪ひくぞ」
梨香は残念そうな顔をしながらも、いそいそと風呂から上がった。俺も後に続いて出る。
その後、2人で温かいココアを飲みながら、寝るまでだらだら過ごした。
風呂では残念そうだったが、テレビを見ている時に頭を撫でてやったら、とても嬉しそうだった。
――明日もまた、2人で一緒に笑おう、梨香。