コミックと告白
買い物が済み、俺と梨香は家に帰ってきた。
夕食も食べ、後の時間を本でも読んでだらだらと過ごしていた。
「兄さんは本当に読書が好きですね」
「お前は好きじゃないのか?」
俺の趣味は読書だ。
文庫からコミック、雑誌、実用書まで何でも読破する。
クラスの友達からも、『本が健のエネルギー源』などと言われる始末だ。
「いや、私も本は読みますけど……兄さんほどじゃないです」
「へぇ~、どんな本を読むんだ?」
「知りたいですか?」
「読書家としては興味がある」
「ふふん、そう言うと思って、私の本棚から選りすぐりの1冊を持ってきました」
そう言って出して来たのは、ブックカバーが付いたコミックサイズの本。
どんな本かと開いて見ると、まず目に入って来たのはとても鮮やかな配色の――
女の子の裸の絵だった。
「うおぉぉぉぉいっっっっ!!」
「?」
「『?』じゃねえだろ!なんてもん読んでんだよ!」
「まぁ兄さん、次の一文をご覧下さい」
「『キて、お兄ちゃん……』ふざっっけんなよ!!」
何で実の妹に近親相姦もののそっち系の本を見せられなきゃならないんだ……
「落ち着いて下さい兄さん」
「ここで落ち着ける兄がいたら逆に引くわ!」
「大丈夫です、次に私が言う一言で兄さんは安心するでしょう」
「お、おお……一体なんだ?」
「私はこれをつかって自分のを処理してませ――いひゃひゃひゃひゃ!にぃひゃんいひゃい!ひゃめてくらひゃい!」
「全然安心しねぇよ何言ってんだお前は!!」
梨香の頬をつねってお仕置きする。
「梨香……」
「いたた……何でしょう?」
「……この本没収な」
「あ、読む気になったんですか?」
「ちげえよ!」
何で俺がこんなもん読まにゃならんのだ……
「て言うかこれ使ってないなら何使ってんだよ……」
「気になりますか……?」
「いや別に、お前が一人で夜な夜なやってんのは聞こえてくるけど、俺が知る必要はないし」
そりゃ同じ家の中で、部屋が隣なのだから大きな声出されて気づかない筈がない。
「まぁ兄さんもパソコンに向かってやってましたからね。」
「梨香が全部消したけどな」
と、とたんに梨香が黙った。
「兄さんは他の女でもいいんですね……」
スッと俺の横にやって来る。
そして――
……チュッ
妹の――梨香の柔らかい唇が、頬に触れた。
突然のこと過ぎて俺は 体が動かずにいた。
「私は兄さん意外なんてあり得ませんけど♪」
「っ!…………」
もし梨香が妹じゃなかったら……
いや!梨香は妹なんだ!だからこれ以上は!!
ピロリロリーン♪
「あ、お風呂炊けましたね。先入っちゃって下さい♪」
そう言って梨香は踵を返し、洗い物をしにキッチンへと向かっていった。
「あ、ああ、入らせてもらうよ」
……危なかったぁ……