放課後の戯れ
放課後――
「兄さん、今日これからちょっといいですか?」
「どうした?」
「これから買い物に行きたいんですけど」
「何を買うんだ?」
「晩のおかずと、あと兄さんに少し選んでもらいたい物があって……」
「? ……ああ、いいけど」
「本当ですか!?じゃあ早速行きましょう!」
と、こんな感じで俺と梨香は学校を早々に出て、ショッピングモールへの道を歩き出したのだが……
「ちょっと、梨香引っ付きすぎ」
「何でですか?いつもと同じですよ?」
確かにいつも梨香と一緒に帰っているし、手を繋ぐぐらいは要求される。
しかし今は、梨香が俺の腕に抱き付いているのだ。
「外でこういうのは恥ずかしいし、歩きにくいし……何より当たってるんだけど」
「やだなぁ兄さん、当てているんですよ♪」
「いや、物理的にも社会的にも歩きづらいんだが」
「大丈夫ですよ。端から見たらラブラブなカップルにしか見えませんよ」
「カップル通り越して『バ』カップルにしか見えねえよ!!」
「私はバカップルでも全然、というかむしろ大歓迎ですけど」
「大体俺達ただの兄妹だし全然カップルじゃな――すみませんごめんなさいカップルに見えます見えるので股間に手を伸ばすの止めて下さいお願いします」
「もう~兄さん素直になりましょうよ~」
「だから股間に触るな!!」
「ええ~でもぉ~」
ムニムニ
「揉むなぁっ!!」
ヤバい。これ以上はほんとヤバい。
俺の中の何かがはじけて吹き飛んでしまう気がする。
「梨香すまん!」
「きゃあ!……もう、兄さんひどいです……」
「す、すまん……」
「もー、お仕置きですよ!」
ぎゅう!
「お店までおんぶして下さい!」
「おま、ちょ、背中に当たってる!」
「だから当てているんですよ♪」
むぅ……まぁ足を挫いた妹を運んでいるように見せればギリギリ大丈夫か。
「痛いよ~お兄ちゃん」
俺の思惑を知ってか知らずか、患者を装う梨香。
「ったく、調子のいいやつめ」
「えへへ、兄さんの背中、大きいです♪」
普通の男なら一発で堕ちるだろう天使の微笑みを見せる梨香を見て、こんないい妹を持てて幸せだと思わない兄はいないだろう。
――この後の悪魔のような策略さえなければ……