家庭事情と朝ごはん
ウチは――真城家は、実質2人暮らしだ。
両親はいる。しかし、親父もお袋も、今は海外に在住している。
い、いや、別にすさんだ家族関係とかじゃないから!
何故なのかというと、親父が美術品を扱う仕事をしているからだ。
世界中の美術品、発掘品の鑑定、修復をしていて、その手の業界では名の知れた存在らしい。
そしてお袋は、そんなこんなで世界中を飛び回る親父についていって、親父の家事手伝いをしている。
(会社がお袋の分まで負担してくれているので、親父は頭が上がらない)
というわけで、今この家には俺と梨香の2人だけだ。
「――兄さん、朝ごはんが出来ました♪」
「あ、ああ、ありがとう」
「どうしたんですか?」
「いや、親父たちのことを考えてた」
「今年は3か月前に1度帰って来たので、次に帰ってくるのはまだ先でしょう」
「そうだな」
「まぁ良いじゃないですか。それより私の作った朝ごはん食べて下さいよ~」
「わかったわかった。いただきます」
「美味しいですか?」
「うん、すごい美味しいよ。梨香は将来きっといい嫁さんになるな」
「まぁ兄さんったら、私をお嫁さんにしたいだなんて♪」
「そこまでは言ってないが……」
「私はいつでも受け入れる準備は出来ていますよ?」
「何を受け入れる準備なのか全く見当もつかないんだが」
「それはもちろん、兄さんの兄さん……」
「止めろ、どうとっても卑猥な意味にしか聞こえない」
「ちなみに今すぐでも大丈夫ですが」
「何で大丈夫になってるんだよ!」
発情期の犬か、お前は。
などとやり取りしている間に、朝ごはんも食べ終わった。
「ご馳走さま。早くしないと学校に遅れるぞ?」
「そうですね。では続きはまた夜にでも……」
「やらないからな!?」
ヤバい、マジで遅れそうだ。
俺と梨香は身支度も程々に家を出るのだった。